第3章これからのメンズ市場の可能性
「いつか、僕が理想とする
メンズ向け“美のデパート”をつくりたい。」
「JUNES」も現在7店舗ありますが、それぞれタイプが違いますね。
おおもとの「JUNES」と、「JUNES 01」などもう少し若者向けのナンバリング、あとはうちが考える理容室スタイルの「JUNES man」の3つに大きくわけています。どれも「JUNES」ではあるんだけど、それぞれ個性が出る店を目指しています。
業界として、「バーバー流行」の傾向があることについては?
僕は若いころ理容師コンプレックスの塊だったので、こんなに理容室、理容師がおしゃれな位置づけでとらえられていることはうれしいし、若い理容師たちの励みにもなっています。
一つ懸念しているのは、いま流行っているのは「バーバースタイル」であって、スタイル先行だとブームが去るのも早いものです。「おしゃれなもの」として一過性のブームで終わらせずに長期的にバーバー文化を定着させるためには、しっかりとした「教育」や「会社の仕組み」があってこそだと思います。
ただ「バーバー」を大きく「メンズ向けサロン」ととらえるなら、これから大きな可能性があると思っています。サロンを利用する人の平均年齢が上がっていくことを考えると、女性向けのサロンに居心地の悪さを感じる人も増えるでしょう。そして年齢を重ねてデザインよりも癒やしを求める人にとって、メンズ向けサロンは受け皿になれる。そう考えると、メンズ市場には新しいチャンスがやってきます。
近頃はメンズに力を入れる「美容室」もありますね。
うちにとってはライバルが増えてしまうとも言えますが(笑)、それでも僕ら「理容室」にチャンスはあると考えています。美容師さんはやはり女性客に力を入れている人が多いので、どこまで男性客としっかり向き合えるのかという「働き手側の課題」もあるでしょう。また、同じ空間で女性客が増えると男性客は居心地がよくないし、かといって男性客が増えると女性客が減ってしまう・・・そんなジレンマを美容室は抱えているように思います。
逆に「JUNES」が女性向けサロンを手がけたり、あるいはレストランなどほかの業種に乗り出したりといった予定は?
よく「女性向けサロンはやらないんですか?」と言われるのですが、まだまだ「メンズ」でできることはある。なので、ここで勝負していきます。会社としても下の世代に何を残していけるか模索していて、優先順位としてはそちらが先です。この仕事は簡単に利益を2倍、3倍にできるものではないし、成長したスタッフが独立してすぐ軌道にのっていけるかといったら難しい。どういう形でスタッフたちに還元して支えていけばいいのか、これは今後の課題として取り組んでいるところです。
レストランなど別の業種を自ら経営するつもりはなくて、やるとしたら「男の勝負レストラン」と同様にパートナーとしてやっていく形です。いきなり飲食を始めますといっても、そんなに甘い世界じゃありませんからね。新しく考えていることとしたら、「男の勝負レストラン」のお客さんとのつながりを今年は新たなアクションに活かせたらと考えています。現在は600名くらいの方に会員登録していただいているので、ここにうまく情報を発信していけたらと。とはいえ、まずは継続することが大切。「お客さんにとって有益であること」を基準にして続けていきたいです。
この仕組みをベースにして、将来的にはさまざまな企業とコラボして、家や車も売りたいとも考えています。単に仲介業者になりたいわけじゃなくて、ジュネスが考えるライフスタイルやこだわりが伝わるような商品をプロデュースして広めていきたい。若いころ、「美容の総合デパートができたら」と思い描いたことがあります。この仕組みをうまく使えたら、自社で在庫リスクを負うことなく、まさに「美のデパート」が実現できるといえますよね。
「美のデパート」とは楽しそうですね。
僕が思い描く「美のデパート」はもちろん男性向けのものです。「JUNES」が厳選したモノ・コトを提供して、イケてる男性のトータルライフスタイルをデザインすることがコンセプト。車や家はもちろん、ライフスタイルに関するモノ・コトすべてが扱う対象になりえますが、だからこそ男性目線で厳選することが大事。かなり壮大な構想なので具体的な実現時期は定めていませんが…、10年後にはいまよりも形になっているかな。いま提供している一つひとつのことをしっかりと厳選しながら続けていくことが、僕が理想とする「美のデパート」すなわち「トータルライフスタイルのデパート」に近づく道だと思っています。
インタビュー中に出てきた、このエピソードには驚きました。
ただ、こうも語っていました。
「オーナーが“右”といったら、その“右”で最大限にがんばる。
なんでも自由にやらせてくれるからこそ、しっかりしなきゃと思う」と。
メンズにできることの可能性を広げ、「JUNES」を未来につなげていく。
いつもあるのは、27年もの月日をともに歩んだオーナーへの感謝。
その気持ちが、常に挑戦し続けるBOWEさんの
原動力になっているのは間違いありません。