先輩女性インタビュー
サロンで働く先輩女性たち
長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください!
vol.86
自主練習で復帰を叶えた「まつエク」ママ。
休職中に、子育てから学んだ接客術とは?
子育て世帯が多く暮らす閑静な住宅街で、ヘアとまつげの施術を提供する「まつげエクステ&美容室 綿帽子」(以下「美容室 綿帽子」)。女性スタッフだけで構成された、細やかなサービスが自慢のサロンです。昨年から、まつげエクステスタッフとして活躍する宮本魅華さんは、まだ小さな2人の男の子のママ。出産後にブランクを余儀なくされながらも、再びサロンに立つことを諦めず、自宅で友人を相手に練習を続けてきました。「今は毎日が充実しています」という宮本さんに、まつエクに注いできた愛情について語ってもらいました。
Staff Data
宮本魅華さん 31歳
まつげエクステスタッフ。「美容室 綿帽子」緑区店(名古屋市)勤務。
まつげエクステスタッフ歴8年。3歳と1歳の男の子のママ。
9:00〜15:30で週3〜4日出勤、日曜休みのパート勤務。
宮本さんのLife History
★…ターニングポイント
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18歳
幼い頃から、美容師か看護師になるのが夢。高校卒業の直前まで迷ったが、最終的に美容師の道を選び、地元・福岡の美容専門学校へ進む。
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20歳
学校を卒業して上京し、都内で店舗展開するサロンに入社。アシスタント修業は楽しかったが、次第にカットよりも、まつげパーマの施術の方に面白さを感じるようになった。
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23歳
スタイリスト昇格も近かったが「まつげの施術1本に絞りたい」と考えて、結婚を機にサロンを退職。結婚式を済ませた後、都内のまつげエクステ専門のサロンで働き始めた。
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26歳
第1子を妊娠。夫の転勤に伴い、妊娠8カ月のときにサロンを辞めて東京を離れ、名古屋市内へ移り住む。
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27歳
長男を出産。育児をしながら技術を維持するために、ママ友達に頼んで無料でまつげエクステのモデルになってもらう。数年間、少なくとも週にひとりは施術をしていた。
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29歳
次男を出産。仕事を再開したかったが、子どもが保育園に入れず、自宅で練習を続けていた。
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30歳
★「他の区の保育園に空きがある」というママ友情報を得たことで、ようやく子どもを保育園に入れることができた。さらに求人情報で、勤務時間や休日が選べる「美容室 綿帽子」を知り、まつげエクステスタッフとして再就職を叶える。
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31歳~
仕事を休んでいる間も練習を続けてきたことで、技術的な不安も早く解消。サロンに7名いるエクステチームのひとりとして、忙しいながら充実した日々だ。
宮本さんへのインタビュー
Q. 美容師からまつげエクステスタッフへ転向した理由は?
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A. 地道な作業の面白さと、仕上がったときの「やった!」という達成感に惹かれました。
新卒で入社したサロンでは、ヘアのほかにエステやまつげパーマのメニューもありました。それらはカットに比べると、早くからメインの施術者としてお客さまに入ることができるんです。アシスタント時代はカットの練習も楽しかったんですが、徐々にまつげの方が面白く、自分に合っていると感じるようになりました。なので、スタイリストになる前に転向を決めたんです。まつげエクステの技術は、結婚後に2社目のサロンで学びました。メインで指名を入れられるまでは半年くらいかかりました。
全体のバランスを見ながら1本1本装着していくまつげエクステは、とても地味な作業。ジグソーパズルを組み立てるのが好きな人は向いているかもしれません。本数が多いコースでは90分ほど集中して施術。目が疲れて、首も肩もバリバリに凝ります。でも、丹精込めてきれいに仕上がったときは疲れも吹っ飛びます。そして、鏡を見たお客さまの顔がパッと輝くのを見ると「やった!」という気持ちになりますね。
Q. 出産後に復職するまで3年かかりましたが、何がハードルでしたか?
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A. 子どもの預け先が見つからなかったことです。
妊娠8カ月のときに夫の転勤で来た名古屋には、親戚も知り合いもいませんでした。本当は出産して落ち着いたらすぐに仕事を始めたかったんですが、住んでいる緑区は子どもが多く、長男がずっと保育園に入れなかったんです。私のように休職中だと、保育園の優先順位が後になりますから。でも少しでも手を動かさないと、4年間磨いた技術がゼロになるかもしれません。そこで、できたてのママ友に次々と「タダでいいから、まつエクさせて!」とお願いして、家のソファで施術をさせてもらいました。そのうちに噂が噂を呼んで、いろいろな方が協力してくれるように。お陰で休んでいる間も週に一度以上は練習を積むことができました。
次男が生まれたとき、ママ友から「隣の南区の保育園に行ってみたら?」とアドバイスされました。さっそく問い合わせたら何と空きがあり、晴れてふたりとも入園できたんです。とはいえ次のハードルとして、ママを雇ってくれるサロンがあるかが不安でした。でも幸い「美容室 綿帽子」の求人に出合い、採用してもらうことができました。ここでは勤務時間や休日の希望を聞いてくれるし、しかも指名制ではないので、安心して働くことができたんです。
Q. 再び現場に戻り、働き方が以前と変わったことはありますか?
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A. シンプルな言葉で接客すること。これは子どもから学びました。
まつげエクステはまだ慣れないお客さまも多いので、カウンセリングは気を使います。たとえば、お客さまのイメージと共に、「いつもビューラーを使うのか」「マスカラを何度塗るのか」などを詳しくたずねます。そして「こういう理由でここをこんな風にしましょう」とご説明し、納得していただいて施術に入るようにしています。そんなとき、以前はプロの使う言葉で話していました。でも今は極力専門用語を使わず、誰にでも分かるように話すことを心がけています。
実はこれは、育児を通じて気付かされました。3歳の長男が聞き分けのないときに「これはマナーでしょ?」とつい大人言葉で言えば、彼は「マナーって何?」と納得しません。ですから、子どもが分かるシンプルな言葉を選ぶようになります。これはお客さまに対しても同じです。自分だけが分かっていてもダメ。相手の立場で疑問や不安をクリアにすることが大事なんです。
Q. 頼れる親や親戚がいない土地で、仕事と子育ては大変ではないですか?
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A. 身体はきつくても、子どもを笑顔で迎えられる毎日がいいです。
働き始めて7カ月ですが、幸い子どもたちは丈夫で、保育園から呼び出しがまだ2回だけなので助かっています。夫は家事も育児もよくしてくれて、協力しながら子育てしています。確かに忙しい毎日ですが、とても充実しています。私は、昼間は外で仕事をして、夕方「おかえり!」と笑顔で子どもたちに言ってあげられる今の暮らしのほうがいいですね。
今は、エクステをより長持ちさせる方法を極めつつ、先端の新技術にも挑戦しています。あまり大きな変化のなかった分野ですが、最近どんどん新しいものが登場してきたので、やり甲斐がありますね。
若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします!
私は幸運にも再就職先に恵まれましたが、現実的に、育児中のママを積極的に採用してくれるサロンは決して多くないかもしれません。でもだからといって、挑戦することなしに「仕事を続けるのは無理」と諦めるのはいちばんダメなこと。いろいろなところから情報を集めて、まずは可能性を求めて行動してみましょう。チャレンジし続ければ、きっと道は開けると思います。
Salon Data
まつげエクステ&美容室 綿帽子 緑区店
- アクセス
- 名古屋市営桜通線・野並駅から路線バスで「鳴丘二丁目」降車徒歩1分
- 創業年
- 2014年
- 店舗数
- 4店舗(直営3店舗、FC1店舗)
- 設備
- セット面11席
- スタッフ数
- 15名