先輩女性インタビュー
サロンで働く先輩女性たち
長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください!
vol.90
一度離れた美容業界に、良縁を掴んで再就職。
カラーリスト歴15年のママ店長の歩みとは?
手頃な価格できれいな髪色を維持できると好評の、カラーリング専門店「color lover」。三軒茶屋店の店長を務める鈴木望美さんは、創業時からのスタッフで、歴15年のベテランカラーリストです。仕事一筋で突っ走ってきた20代から一変、今は育児と仕事の両立を楽しむ日々。その間には、美容業界を離れた時期もあったとか。「今の会社に出合えたことが、人生の大きな転機だった」と語る鈴木さんに、これまでの道のりを伺いました。
Staff Data
鈴木望美さん 35歳
カラーリスト。「color lover」三軒茶屋(東京都世田谷区)店長。
カラーリスト歴15年。2歳の女の子のママ。
9:00~17:00、週5日出勤の時短勤務。
鈴木さんのLife History
★…ターニングポイント
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18歳
ヘアメイク志望で美容学校に入ったものの、自分の肌が化粧品に弱いことに気付く。そんな時、セミナー講師のカラーリストのアシスタントを務めることになり、新たな夢を見つける。
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20歳
美容学校を卒業後、講師のカラーリストが勤務するサロンに入社。一人前のカラーリストを目指して、約1年間休みなしで勉強に励んだ。
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22歳
カラーリストデビュー。店は毎日盛況で、自分のお客さまを担当しながら先輩のお客さまもケアするのに四苦八苦。でも苦労した分、得るものも多かった。
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29歳
勤務10年目にサロンを退社。世界旅行やボランティア活動、化粧品会社の事務職勤務を経て、接客業への愛着に気付く。
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30歳
★「color lover」がオープニングスタッフを募集していると聞き、運命を感じて応募。カラーリストの経験しかない自分にとって、「カラー専門店」というコンセプトはぴったりに感じられた。入社を果たし、第1店舗目となる学芸大学店の店長に就任。
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31歳
結婚。その2カ月後に妊娠が判明。妊娠中は体調もよく、8カ月目までフルタイム勤務を続け、最後2週間だけ時短に変更した。
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32歳
夏に長女を出産。保育園入園のタイミングで復帰する予定だったが、翌年の入園が叶わず1年待つことに。
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34歳
1年8カ月の育休期間を経て時短で復帰。三軒茶屋店の勤務となり、2カ月後に店長に任命される。
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35歳~
店にもっと多くのお客さまが来てくれるように、スキルアップに励む日々。スタッフ教育にも力を注いでいる。
鈴木さんへのインタビュー
Q. 最初のサロンを退職して一度離れた美容業界に、また戻ってきた理由は何でしょう?
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A. 事務職を経験して、接客業の楽しさを再認識しました。
最初のサロンを辞めたのは、10年間突っ走ってきたことで、少し休みが必要になったから。充実した日々で仕事も楽しかったのですが、「自分ってなんだろう?」と。退職後しばらくは世界を旅して回り、東日本大震災をきっかけにボランティア活動に打ち込みました。その後、化粧品会社の事務職を始めたのですが、PCと向き合って黙々と仕事をするというのが性に合わず…。やっぱり自分には接客業が向いているのだと実感したんです。
美容院で働きたいと思いましたが、スタイリスト歴はない。今からカット技術の習得は厳しいかなと思っていた時に、「color lover」の求人を見つけました。カラー専門店というコンセプトが、まさに自分にぴったりで、飛びつくように応募していました。
Q. 2歳のお嬢さんを育てながらの店長職。育児と仕事の両立は大変ではないですか?
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A. 店では副店長、家では夫のフォローがあり、とても助かっています。
産休前は学芸大学店で店長を務めていましたが、育休明けに配属されたのが、ずっと店長不在の三軒茶屋店でした。スタッフたちもその状況が不安なようでしたし、会社からは「時短でいいから店長を」と言っていただけたので、快く引き受けました。もちろん当初は、「1日通してお店を見ていることができないのに、店長でよいのだろうか」と不安もありました。でも私が帰った後は副店長がフォローしてくれているので、安心して任せています。その分、退勤の17時までの間に自分のできることを詰め込んで、必死でやりきる毎日です。そして家では、仕事のことは一切しないと決めています。
ありがたいのは、夫が自営業で自宅を仕事場にしていること。掃除などの家事は彼が全部やってくれるので、私は育児と食事のことだけに専念できます。子どもが熱を出して、保育園にも病児保育にも預けられないという時には、夫が家で看病してくれることも。おかげですごく助かっています。
Q. 子育てしながら美容の仕事を続けていく上で、カラーリストという職業にはどんな利点がありますか?
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A. 指名制をとらないカラー専門店だからこそ、時間の融通が利いて、育児と両立させやすいのではないでしょうか。
「カラーリストだから子育てと両立しやすい」という点はあまりないですね。でもうちの店の場合、カラー専門店で指名制をとっていないために、時間の融通が利くというメリットはあります。お客さまを店のみんなでお迎えしているので、予約があれば絶対に出なければいけないという拘束がありません。自分の都合に合わせて自由にシフトを入れられることが、子育て中のスタッフには魅力的な環境だと思います。
私自身、子どもがいて家庭があって、それでも自分の好きな仕事ができるというこの環境にとても満足しています。子どもがいてもある程度責任のある役職をいただき、会社の将来設計など、大きなことにチャレンジさせてくれるというのがありがたい。カラーリストをやってきて、この会社に入れたことが、自分にとって本当に大きな収穫だと思っています。
Q. 母親になって、仕事への向き合い方に変化はありましたか?
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A. スタッフの親御さんの気持ちを考えて、注意の仕方を工夫するようになりました。
多くの人に「まるくなった」と言われますし、自分でもそう思っています。それは子どもを産んだことで、スタッフもお客さまもみんな「人の子」だと、改めて思えるようになったから。今まではスタッフを指導する際、本人のためを思って厳しい伝え方をしていました。でも、自分の子どもが保育園で厳しく注意されていたら悲しいですよね。スタッフは20代後半から40代の大人ばかりですが、よい上司に恵まれて、よい環境で働けていたら、親御さんたちは嬉しいはず。間違ったことをしたら注意するのは当然。でもそれをどう伝えたら、親御さんたちが安心できるかを考えるようになりました。
例えば今は声を荒げずに、3段階の伝え方をしています。最初は口で言って、次はSNSのグループで伝えて、それでも頭に入らないようなら「控室に貼っておきま~す」と。おかげで控室は注意事項の貼り紙だらけ。そこまでやればスタッフも覚えるので、みんなが気持ちよく働ける環境が実現できるようになりました。
若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします!
忙しかったアシスタント時代、「なんで頑張れたのだろう?」と振り返ると、お客さまと接するのがすごく楽しかったんですよね。仕事は山積みだし、覚えなきゃいけないこともたくさんあって、朝の出勤時はひたすら憂鬱。でもその気持ちを晴らしてくれるのが、お客さまと過ごす時間でした。この仕事は大変なこともいっぱいあるけれど、お客さまと楽しい時間を作ることを自分自身も楽しめれば、長く続けていけるのではないかと思います。アシスタント時代から、接客の楽しさをたくさん感じてほしい。そうすれば私のように一回辞めても、「またお客さまと接して働きたい!」と、戻ってくることになるんじゃないかな。
Salon Data
color lover【カラーラバー】三軒茶屋
- アクセス
- 田園都市線三軒茶屋駅から徒歩30秒
- 創業年
- 2012年
- 店舗数
- 6店舗
- 設備
- セット面14席 ※color lover三軒茶屋
- スタッフ数
- 10名 ※color lover三軒茶屋(他店舗と兼任含む)