Vol.03
内田聡一郎さん
vetica
ヘアサロン「vetica」クリエイティブディレクター
1979年、神奈川県生まれ。県内のヘアサロン1店舗を経て、「VeLO」オープニングスタッフとして参加、店長兼ディレクターに。2009年には「VeLO」の姉妹店となる「vetica」のトップディレクターに就任。サロンワークをはじめ一般誌から業界誌、セミナー、数々のミュージシャンやアイドルのヘアメイク等、幅広く活躍。プライベートではDJ活動もしている。
http://velovetica.com/
[instagram] https://instagram.com/soucuts
お気に入りのファッション
デザイン重視だった20代。
30代後半の今は、
ベーシックなものに心魅かれます。
シンプルな中に、
ひとつ遊びを効かせるのがルール
白Tシャツが好きで、30枚ぐらい持っています。プライベートだとスキニーのパンツを合わせて、アウターや靴で遊びを入れる。シンプルな組合せの中に、1点だけ明るい色を入れるのが自分流のルールです。サロンワークでは、カジュアルテイストのセットアップがほとんど。若く見られがちなので、トップディレクターらしい風格を演出できるように、大人っぽい服装を心がけています。
買い物は代官山が多いですね。特に書店には週一ペースで。仕事への考え方やデザインのヒントを、そこで得ています。
こだわりの仕事道具
とことんこだわりたいのは、
見た目より“使い勝手の良さ”。
機能美を追求した、
シザー&シザーケース
「カオティックオリジンダブ」とコラボしたシザーケースを2017年2月に、「オオカワプロシザーズ」とのコラボシザーを6月に発売しました。
シザーケースは横幅をコンパクトに、かつ奥行きを広げて大容量に設計。シザー5本プラスαの小物が入る収納と、サイドにはペンなどをかけられるフックも付けて。上質なレザーは、使うほどにいいクスミ感が出てくるんですよ。シザーはセミオフセットハンドルで、親指の流動性が格別。刃は笹刃とストレート刃のいいトコどりで、今風のヘアスタイルが作りやすい形状です。
僕はどちらかというと職人気質なところがあるので、見た目よりも使いやすさにこだわりたい。形はベーシックだけれど、使う人の手になじむような機能美を備えることに注力しました。
未来の美容師さんへ
20代はひたすら練習。
みんなが出来ないことだからこそ、
やれる人だけが上にいける。
美容師として、人間として、
“自分の軸”を増やしてほしい
毎年4月1日、SNSに「20代美容師がやっておくべき7つのこと」という投稿を3年ほど続けています。若手の子たちに、この7つを重んじて仕事に励んでほしいな、と。
なかでも「1.美容師以外のコミュニティーをつくる」は最も大事。これまではひとつのキャリアを極める生き方が当たり前でしたが、最近はパラレルキャリアという考え方が生まれていますよね。がんばって美容師で80点をとれたら、別の何かでも80点、さらにもうひとつと軸を増やしていく。すると三角形に、四角形にと自分の総面積が広がって、多くの人に知ってもらえるきっかけになります。僕の場合なら、美容師であり、DJであり、一時期は読者モデルでもあった。その3つの軸を持っていたからこそ、生まれる“僕の価値”があったと思うんです。つまり美容師以外のステージで人間力を高めていくことが、結果、美容師としての成功にも繋がるのではないかと。ただし、相反するようですが「7.死ぬほど練習する」ことも大切だと思う。しっかり練習に励んで、同時に軸を増やして、それを30代でいかに自分のブランドに繋げていくか。そういうことを考えながら、20代を過ごしてほしいです。
常に客観的な目を持ち、いい意味で自分を演出している内田さん。実際にお話していても、発せられる言葉一つひとつに説得力と深みがあります。一方で、周囲への気遣いにもあふれている。「髪を切りに行く」というより「内田さんに会いに行く」。そんなお客さまが多いことに納得です。