先輩女性インタビュー
サロンで働く先輩女性たち
長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください!
vol.98
キャリア19年のママエステティシャン。
仕事への強い責任感が生まれたきっかけとは?
「体の中からキレイを引き出す」がコンセプトのエステティックサロン「キャロリーヌ」。その新宿本店でチームリーダーを務める熊谷恵さんは、19年のキャリアを持つエステティシャンであり、男の子ふたりのママです。人見知りな性格で苦労しながらも向上心を忘れず、店舗のリーダーへと成長。ママになった今、仲間のスタッフに心から感謝し行動できるのは、若い頃に責任ある立場を経験したからだといいます。優しい物腰の中に芯の強さを感じさせる熊谷さんに、エステティシャンとしての歩みをうかがいました。
Staff Data
熊谷恵さん 41歳
エステティシャン。
キャロリーヌ新宿本店(東京都新宿区)勤務。
エステティシャン歴19年。既婚。5歳と1歳の男の子のママ。
日曜日と月曜日(定休日)の週休2日、10:00〜17:00の時短勤務。
熊谷さんのLife History
★…ターニングポイント
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18歳
子どもの頃から動物好き。高校卒業後は動物看護師を志して専門学校で1年間学ぶ。
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19歳
個人経営の動物病院に就職したが、小さな職場環境に煮詰まり「日々人と関わる仕事がしたい」と半年で転職を決意。美容に興味があったので「キャロリーヌ」のエステティシャンの求人に応募し、採用される。
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20歳
2カ月の研修を終えて新宿本店に配属される。人見知りな性格のため、お客さまとのコミュニケーションに苦労したが、先輩スタッフの真似をすることで少しずつ克服。
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21歳
★池袋店に異動してすぐに、1番手と3番手のスタッフが体調不良で退職するという危機に直面。これを乗り越えるためには「2年目の自分も変わらなければ」と決心。お客さまや先輩スタッフのために行動するようになり、この頃から仕事への取り組み方が変わった。
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22歳
会社が新たに「プロジェクト5」という店舗の責任者養成研修を開始。「成長できるチャンス」と考えて参加した。
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24歳
研修一期生として、大宮店に異動すると同時に責任者に就任。初めてのスタッフの中で責任者を務めるのは苦労が多かったが、全員で力を合わせて目標を達成した時の達成感が大きかった。
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33歳
自由が丘店勤務の時に結婚。従来通りフルタイム正社員で働き続けた。
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34歳
数回の異動の後、再び新宿本店に戻った時に妊娠。つわりが重かったので責任者の役職は返上し、チーフ職に。妊娠7カ月まで働いて産休に入り、翌年長男を出産。
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36歳
約1年間の育休を取り、長男を保育園に預けてサロンに復帰。17:00までの時短勤務に。トレーナーのチェックを受けながら、約2カ月で以前の技術レベルを取り戻すことができた。
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39歳
夏に次男を出産。9カ月の育休の後、翌年4月に保育園に入園させて復帰した。
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41歳~
ふたりの子ども達がまだ幼いため、急な病気での休みも多い状況。今は他のスタッフのサポートに感謝しながら、できることをしっかりしていこうと考えている。
熊谷さんへのインタビュー
Q. 新人の頃に苦労したのはどんなことでしたか?
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A. 目上のお客さまと何を話していいのか分からず、戸惑いました。
人と関わる仕事がしたくてエステティシャンに転職したものの、元来人見知りな性格で、知らない人と話すのが苦手でした。サロンではお客さまの多くが目上で、しかも長時間接客ですから、最初は何を話せばいいのか分かりません。そこで、先輩スタッフと組んだ時にどんな声かけをしているのかを聞き、いいなと思った言葉を真似をすることから始めてみました。ひとりで接客を任されるようになったのは入社して4カ月くらい。日々接客をするうちに、まず自分がお客さまに興味を持つことが大事だと気付きました。そして、お客さまが興味を持ちそうなワードを投げかけることを意識するうちに、お話ができるようになっていきました。入社1年くらいで人見知りはずいぶん克服できたと思います。
Q. エステティシャンとして自信をつけたきっかけは何でしたか?
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A. 先輩スタッフの退職で生まれた責任感が、自分を変えてくれました。
入社2年目で池袋店に異動してすぐに、1番手と3番手のスタッフが退職してしまいました。7人体制だったサロンは大ピンチです。その状況で、お客さまの不安や2番手の先輩の負担を思った時に「自分も戦力にならなくては」と強く自覚しました。それまでは「接客はどうしよう」「お客さまにどう説明したら」と自分のことばかりに目が向いていました。でもその後は「お客さまのために」「先輩スタッフのために」と周りに役立つことを考えるようになりました。そうすることで率先して行動を起こせるようになったんです。明らかに自分が変わったターニングポイントだと思います。
ちょうどその頃、店長にあたる「責任者」の養成研修制度がスタート。「いいタイミング。成長できるチャンスだ」と考えて手を上げました。初めて責任者を務めた大宮店では、スタッフ同士の関係がうまくいかなかったり、お客さまから不満が上がるなど、私の未熟さから多くの苦い経験をしました。でもそれだけに、全員で力を合わせて目標を達成した喜びはひとしお。スタッフやお客さまに多くのことを学び、責任者の楽しさを知ることができた3年間でしたね。
Q. 子育てのため時短勤務になってから、サロンに立つ時に何を心がけていますか?
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A. 責任者だった頃の経験を思いだし、現場の負担を少なくすることです。
朝、慌ただしく子どもを登園させて出勤し、夕方は17:00に急いでサロンを出てもお迎えはギリギリです。休む間もないですが、働く時間も子どもと過ごす時間も楽しい。両方があるからこそ今の自分が成り立っている気がします。ただ職場に対しては、子どもの病気などでかなり休ませてもらっているので、周りの理解はあっても心が痛みますね。先日も、子どもと私が次々と感染症にかかって1カ月近くも休んでしまいました。会社には急な欠勤の時に他店にヘルプを依頼するシステムもありますが、やはり手間はかかります。責任者をしていた頃にママスタッフが突然休んだ経験は何度もありますから、言葉では「大丈夫」と言っても現場が大変なことはよく分かるんです。
ですから、他のスタッフへ感謝の気持ちは必ず言葉にして伝えています。また、最後のお客さまを送り出してどんなに時間がギリギリの時でも、使ったベッドは必ずベッドメイキングして帰ります。それだけのことでも17:00以降のスタッフの負担がずいぶん軽くなるんです。後始末をして帰ることだけは徹底しようと決めています。
Q. エステティシャンの仕事のやりがいとはどんなことですか?
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A. 良い変化をお客さまと共有でき、喜び合えた時です。
最初に新人研修を受けた時から、「エステティックの技術は奥が深くて本当に面白い」と感じてきました。基本的な施術のマニュアルはもちろんあります。ただそれで完結するわけではなく、経験を通じて「このタイプのお客さまにはこの材料を使い、こんな施術をすると結果が出る」という知識とデータを蓄積していくんです。また、お客さまを見たり触れたりするだけでは分からない生活習慣などの情報を、会話の中で少しずつ引き出していくことも大切。それによりホームケアのアドバイスをしたり、お手入れの内容を変えていったりします。そして、自分が組み立てた施術やアドバイスがお悩みの改善に繋がり、良い変化をお客さまと共有できた時。これこそがエステティシャンの仕事の醍醐味ですね!
今は時間を上手く使い、できる仕事をしっかりこなしていきたい。長くお世話になった会社ですから、働ける限り貢献したい気持ちです。将来機会があれば、また店舗の責任者の仕事もやってみたいですね。
若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします!
せっかくサロンに入っても、20代前半であっさり辞めてしまう方がいて残念に思うことがありました。若くていろいろなことに挑戦したい年頃ですし、私自身も一度方向転換をしたので気持ちは分かります。でも一度目指した道なら、最低3年間は学んで欲しいんです。専門学校などで教わったことと現場とのギャップは必ずありますし、人間関係や待遇への不満が一切ない職場もたぶんありません。もし今不満に思うことがあっても、学び続ければ見えてくるものがあり、状況も変わるかもしれません。だからすぐに判断せず踏みとどまって欲しいんです。もし転職をすることになっても、3年間で身につけたことや得た経験は無駄にはなりません。必ず自分の力になってくれると思います。頑張ってください!
Salon Data
キャロリーヌ新宿本店
- アクセス
- JR新宿駅南口から徒歩2分
- 創業年
- 1977年
- 店舗数
- 7店舗
- 設備
- ベッド数12
- スタッフ数
- 19名