「バーバー」人気の理由
今「バーバー」が人気の理由
近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。
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BARBER STYLE CLUB(宮城県仙台市)
仙台からストリートカルチャーを発信!
新規再来68%という驚異のバーバーとは?
2015年9月に仙台でオープンした「BARBER STYLE CLUB」。こだわりのバーバーが各地で誕生していますが、ここは全国的にも珍しいストリートカルチャーをコンセプトにした店舗です。インテリアはもちろん、スタッフのファッションもストリート系。店を経営する傍らバーバーのイベントを開催するなど、外部への発信にも積極的なオーナーのNeRoさんに話を伺いました。
自分自身が影響を受け、共感したストリートカルチャーで勝負。
「こんな店があれば」を自分の力で現実に。
道路からガラス窓越しに見える店内は、白黒チェックの床にクラシカルな椅子を並べたおしゃれなバーバーといった印象。でも実際に足を踏み入れると、かなり個性的な店であることに気づくだろう。フロアの一角にあるDJブース、レアなスニーカーの展示、ウォールペインティング……。そう、「バーバー スタイル クラブ」のテーマはストリートカルチャー。オーナーであるNeRoさんの“大好きなもの”を詰め込んだバーバーだ。もちろん、ただ好きなものを集めた“趣味の店”とは違う。「最近はこだわりのバーバーが増えてすごくいいムーブメントを起こしていると思います。その中にストリートカルチャーを盛り込んだ店があってもいいのではないかと思っていたし、共感してくれる人もいるはず」と考えたNeRoさん。その予想は見事に当たり、新規顧客のリピート率は65~68%という高さ。開業して2年目、予約なしでの入店は難しい人気店だ。
表面だけではない、ストリートカルチャーへの深い共感。
NeRoさんが理容師を目指したのは高校時代。ストリートカルチャーに影響を受け始めたのもその頃という。「最初は音楽やファッションから。そのうちストリートは“ハングリー”がベースであることに気づきました。例えば海外の貧しい国で、見よう見まねでサッカーを始めた子どもが家族を養うほどのプレーヤーに成長したり。実は理容業も似たところがある。目標を定め、コツコツと努力を続けた人だけが成功に近づける職人の世界ですから」。独立するまでの10年間は技術を徹底して身に付け、経営も勉強。さらにはニューヨークを訪れ、ファッショナブルな新時代のバーバーとして評判の「FRANK’S CHOP SHOP」でも研修を受けたNeRoさん。満を持して店を構えたのは、専門学校に通い自分が理容師としての第一歩を踏み出した場所、仙台だった。
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店は壁一面ガラス張りで、歩行者が店の中を見ることができるオープンな造り
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店内にはDJブースが。もうひとりのスタイリストZUNさんが腕を披露することも
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壁に飾られているのはバーバーに関連する写真やイラストなど。バーバーカルチャーのかっこよさをビジュアルで表現
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クラシカルなバーバーチェアー。敢えて手動式を選んだのもこだわりのひとつ
多彩な活動の原点は、
「東北のバーバーカルチャーを盛り上げたい」という思い。
お客さまの信頼を得るには、丁寧な説明から。
利用者は男性限定で、10代後半から30代の占める割合が70%くらい。そんなお客さまに対して一番大切にしているのがコミュニケーションだという。NeRoさんは普段長髪で、ドレッドヘアにすることもある。「自分がラフな外見なので、不安に思う人もいるはず。だから初めてのお客さまには、ちゃんとした店であることをアピールします」。効果的なのは、技術的な説明をすること。「今どうしてこのような切り方をしているのか、話しながらカットするんです」。それから徐々に距離感を詰め、友人のような関係になるお客さまも多いという。「薄毛でも家庭の愚痴でも、相談事は何でもOK。フレンドリーに接しながら、ボーイズトークを楽しんでますよ」。独立までの間に、いろいろなサービスの仕方を学んできた。今はいくつかある引き出しの中から相応しいやり方を選んでいるだけ。支えているのは10年という豊富な経験だ。
さまざまな形で、仙台からバーバーの魅力を発信。
経営が軌道に乗ったのは、オープンして半年ほど経ってから。そこから現在に至るまで、NeRoさんは店の枠を超えてさまざまな活動を精力的にこなしてきた。例えばストリートカルチャーの輪を広めるべく、仙台のストリートシーンやクラブシーンを盛り上げているアーティスト&アパレル関係者とも積極的に交流。自分の店を舞台にしたミュージックビデオを撮影し、動画サイトにアップした。理容業界に対しても存在感を示しつつある。今年6月には『BARBER APACHE』の川上昌博さんをスペシャルゲストに迎えたイベントを仙台市内で開催。およそ250人が集まったという。また、全国規模の理容コンテスト「LAYRITE BARBER BATTLE」ではこれまでなかった東北予選の実施を求め、次回から行われることに。なぜ店以外の活動にも力を注ぐのか。「自分の店だけでなく、東北の理容業界全体を盛り上げていきたいんです」と話すNeRoさん。仙台を拠点にバーバーの魅力を発信するこの店から、しばらく目が離せそうにない。
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店販率は約15%で日常的に使いやすい水性ポマードの売れ行きが良好。海外製を豊富に揃えている
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WAHLのバリカンを愛用。「音はうるさいけどパワフル。バーバーとしてのロマンもありますね」とNeRoさん
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シザーはオランダのバーバー・シュコーラムと日本のメーカー・ミズタニがコラボして開発したモデルを使用する
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ドレッドヘアのNeRoさんとお店のスタッフ。ZUNさん(左)は同じ目標に向かってともに歩む同志だ
オーナーインタビュー
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オーナー・NeRoさん。福島県南相馬市出身。仙台理容美容専門学校を卒業後、栃木県宇都宮市の理美容店に入社。スタッフとして7年、店長として3年の経験を積んだあと、2015年9月に「BARBER STYLE CLUB」をオープン
Q.店があるのは仙台駅西側の繁華街ではなく、東側の住宅地。集客に不安はありませんでしたか?
A.最初はかなりドキドキしてました。
独立する際、それまでの顧客はすべて置いてきたのでゼロからのスタート。軌道に乗るまでの半年間は、やはり不安でした。それでも今バーバーが注目を集め、実際に集客できているのは、明確なコンセプトを掲げて成功を収めてきた人々のおかげ。例えば、仙台のイベントに来ていただいた川上昌博さんのように。自分には学生時代から温めていたストリートカルチャーというテーマがあり、バーバーとも親和性が高いので「きっとお客さまに来ていただけるはず」と考えていました。
Q.どんなヘアスタイルのオーダーが多いですか?
A.圧倒的にフェードスタイルが人気で、パーマ率は約20%です。
お客さまに話を聞いてみると、うちに来る前は美容室に通っていた人が多い。刈り上げの一種であるフェードはバーバーの技術なので「ようやく試せる場所を見つけた」という感じでしょうか。今はフェードスタイルがちょっとしたブームですが、いずれ違うスタイルが流行するかもしれません。でも自分はさまざまな技術を学んできました。男性のどんなリクエストにも対応できるのが最大の強みだと思います。
Salon Data
BARBER STYLE CLUB 【バーバー スタイル クラブ】
- アクセス
- 地下鉄東西線連坊駅より徒歩5分
- 創業年
- 2015年
- 店舗数
- 1店舗
- 設備
- セット面3席
- スタッフ数
- 3名