先輩女性インタビュー
サロンで働く先輩女性たち
長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください!
vol.100
パート店長として活躍のママエステティシャン。
クレームばかりの新人が成長できた理由とは?
大きなショッピングモールの一角で、フェイシャルからボディまでのトータルケアを提供する「ピー・ブリエ イオンモール四日市北店」。今年開催された「第7回エステティックグランプリ」の顧客満足部門で全国1位に輝いた、おもてなし精神あふれるサロンです。中でもひときわハキハキと元気オーラを放つのが、2児のママで店長を務める藤田可奈さん。未経験でエステティックの世界に飛び込んで、時には自信を失い、子育てとの両立に不安を抱えながらも前進してきました。「今はとにかく仕事が楽しい」という彼女の元気の源は何なのでしょうか?お話を伺いました。
Staff Data
藤田可奈さん 35歳
エステティシャン。「ピー・ブリエ イオンモール四日市北店」店長。
エステティシャン歴10年。3歳の女の子と、1歳の男の子のママ。
週休2日、基本は9:00〜18:00のパート勤務。
藤田さんのLife History
★…ターニングポイント
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20歳
短大を卒業して、地元四日市の幼稚園に就職。小学校の頃からの夢だった幼稚園教諭になる。
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25歳
職場での人間関係に悩み、通っていたエステティックサロンのマネージャーに相談する中で、エステティシャンに転職することを決意。大手チェーンの面接を受けて採用され、自分が通っていた店舗に配属される。
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26歳
ボディケアは3カ月位でお客さまの施術ができるようになったが、フェイシャルは上達が遅く、自信をなくして何度も「辞めたい」と悩んだ。
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29歳
マネージャーに勧められて、エステティックの国際試験を受けることに。業務終了後に猛練習して見事に合格。これをきっかけに少しずつ自信が持てるようになった。
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30歳
入社以来お世話になったマネージャーが独立し、店長を任されることに。「やるしかない」と意を決して頑張ったが、売上に結びつかず再び悩む日々。同年に夫と結婚。
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32歳
★第一子を妊娠し、産休を取って長女を出産。生後3カ月から子どもを親に預けて週3日、1日3〜4時間で働き始める。ママになって周りの人を頼れるようになり、肩の力が抜けた。
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33歳
1歳になった長女を保育園に預けてフルタイム復帰したが、体調を崩して1カ月以上仕事を休むことに。さらに4カ月後に第二子の妊娠が分かり、産休まで体調に合わせて休みながら仕事を続けた。
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34歳
長男を出産。4カ月の産休の後、長女の時と同様に短時間で働き始め、徐々に職場に復帰。6月に店舗が移転し「イオンモール四日市北店」となる。
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35歳~
今年8月に再び店長に就任。現在は長女と長男を保育園に預けてパート勤務。基本的にフルタイムだが、お客さまの少ない日は早上がりするなど、柔軟に働かせてもらっている。
藤田さんへのインタビュー
Q. 未経験での転職。どんなご苦労がありましたか?
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A. フェイシャルが苦手でしたが、国際試験で自信を付けました。
ボディは上達が早かったのですが、フェイシャルの技術は私には難しくて、なかなか上達しませんでした。また、先輩がサポートに入れるボディと違いフェイシャルは1対1なので、人見知りな私は緊張してお客さまと上手く話せなかったんです。入社3年くらいまでは、私をサロンに引き入れてくれたマネージャーに「もう続けられない」と泣き言を言って、その度に叱咤激励される繰り返しでした。
入社4年目の時、マネージャーに「フェイシャルの国際試験を一緒に受けてみない?」と誘われて、挑戦を決めました。試験勉強は本当に大変でしたね!理論は「私、看護師になるのかな?」と思うくらい専門的。苦手なメイクやネイルもあったので、毎晩マネージャーに立ち会ってもらって遅くまで練習しました。その甲斐があって何とか合格。それから気持ちが安定して、徐々に自信が付いていきました。実は同期入社の中に、5歳年下で技術や接客がとても上手な子がいました。それまではその子と自分を比べてしまって辛かったんです。でも、試験を通じて「自分に負けたくない」と思うようになってからは、比べることをしなくなりました。
Q. その後すぐに店長に就任。サロンを率いることは大変でしたか?
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A. 結果はなかなか出ませんでしたが、店長になったことで強くなれました。
お世話になったマネージャーが独立し、サロンで私が一番上になってしまったので、「やるしかない」という気持ちでした。プレッシャーはありましたが、店長になって初めて自信を持ってお客さまと接することができるようになりました。ここは長いお付き合いのお客さまが多く、当時も「前のスタッフの方が良かったわ」などとはっきり言われました。でも、厳しく意見しながらも来てくださるお客さまが一番ありがたいんです。昔は怖くて聞けなかった自分や他のスタッフに対する評価も、進んでお客さまに聞けるようになりました。そして徐々に「あなたのマッサージが好き」と言ってくれる方も増えてきました。
でも力及ばずお客さまは減り、売上は苦戦。なかなか結果が出せないうちに、長女の妊娠が分かって産休に入りました。その間、いよいよサロンを畳もうかという事態になった時、経営が前オーナーから今の社長に変わりました。「一緒に頑張りましょう」と手を差し伸べてくれて、救われる思いでした。
Q. 出産して職場に復帰した時、ご自分の何が変わりましたか?
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A. 人に頼ってこそ、何でもできるんだということを知りました。
「ピー・ブリエ」で、出産して仕事を続けるスタッフは私が初めて。不安でしたが続けたい気持ちが強く、復帰後の働き方を社長や会社の社労士と相談しました。社長からは「早めに復帰して欲しい」と言われ、私からは育児給付金をもらえる範囲で働きたいと希望しました。そして長女が生後3カ月の時から、週3日、1日3〜4時間くらいで働き始めたんです。その間は夫と私の両方の母親が預かってくれたので、安心して働くことができました。
翌年にフルタイムになった後もすぐに病気をしたり、2人目の妊娠が分かったり。申し訳ない気持ちで一杯でしたが、スタッフはひとりとして「いつ出られるの?」などとは聞かず、常に気遣ってくれました。ここ数年で体力が落ちたこともあり、「働き続けていいのかな?」と悩むこともありました。でも、家族や他のスタッフに支えられて今日まで来ています。
ママになって気付いたのは、人を頼ることで自分の力がもっと発揮できること。人に任せることは悪いことではない。それに感謝して、自分はできることに集中すれば良いんです。今までの私は、全部を背負い込もうとして「できない自分」ばかり見ていました。そんな負のスパイラルから抜け出せて、心がグンと軽くなった気がします。
Q. エステティシャンのお仕事のやりがいは何ですか?
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A. お客さまがキレイになると、お客さまより嬉しくなります。
お客さまを笑顔にできることですね。私はお客さまがどんどん変わっていくと、嬉しくてご本人よりキャーキャー騒いでしまうんです。この性格のせいで、駆け出しの頃はずいぶんクレームがあったんですよ。「あの子うるさい、辞めさせて」って(笑)。良い結果が出たときは「何が一番良かったんだろう?」という探究心を刺激されます。あとは、常に新しい技術や画期的な美容成分が出てくるので、そうした勉強も面白くて辞められませんね。
子育てが落ち着くまでは、予約の混雑状況に応じて出退勤させてもらえるパートでいようと思っています。指名制がない分、力のいるボディのコースは若いスタッフに任せることができるので、体力が続く限り頑張りたいですね。
若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします!
エステティックは、素手で直接お客さまの肌に触れる仕事です。手術をするお医者さんも、看護師さんも、介護士さんも基本的には手袋をしています。直にお客さまに触れて施術をするのはエステティシャンだけなんです。それだけで、本当に凄い仕事だと思いますし、そんな仕事ができることに感謝しかありません。ただ、エステティックに限らずどんな職業でも、仕事や家族や仲間、そしてお客さまへの感謝の気持ちが一番大事。あとは常に「自分は何ができるのかな」と考えて、学ぶ場を持つことだと思います。そうすればきっと、自信を持って仕事を楽しく続けられると思います。頑張ってください!
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