女性が活躍するサロン
女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣
結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。
vol.104創業時からブランクのあるママスタッフを雇用。
スタッフを信頼するママオーナーの経営哲学とは?
SK Group
「SK Group」は「小顔補正立体カット」で幅広い世代の女性たちから支持を受ける人気店。オーナーの神谷幸代さんご自身が2児の子育てをしながら2006年に創業しました。オープン当初からママスタッフを雇用し、ママが働くことが当たり前のサロンをつくってきました。岐阜と名古屋のサロンは店長たちに任せ、ご自身は東京で新しい美容の道を開拓中という、神谷さんの取り組みと経営哲学についてお話をうかがいました。
1取り組み
ブランクのあるママスタイリストに、トータルビューティーで対応してもらう。
どんな取り組み?
「SK Group」の採用は人物重視。ママやブランクのある人でも、やる気や潜在能力がありそうと感じたら採用している。スタッフがブランクによってカット技術に不安をもつ場合、レセプションなど他の職種から始めてもらったり、エステティックやまつげエクステ、ネイルなど他の美容分野の技術を身につけて売上に貢献してもらうことを薦めている。
なぜそうした?
「SK Group」の最初の店舗が岐阜県可児郡の「SK original」。「SK original」の開店当初から、神谷さんは以前勤務していたサロンの後輩で、子育てのために7年間ブランクのある鎌倉玲子さんを採用。「鎌倉はとにかく人柄がよくてがんばり屋さん。だからオープンのときにすぐ来てもらいました。けれどスタイリストになってすぐ子どもが生まれて仕事を離れていたため、カットを怖がっていたのです。それで、まずは自分のお客さまを獲得する自信をつけさせるために、『カット以外のトータルビューティーでファンをつかめ』といろいろな資格にチャレンジしてもらいまいした」(神谷さん)。
2取り組み
働き方や必要な制度は、スタッフたちに任せて決める。
どんな取り組み?
ママスタッフなど働ける時間に制限のある人は、パート勤務など働き方を選べるようにしている。育休明けにすぐ毎日勤務するのではなく、週2日くらいから始めて、生活スタイルが整ってから勤務日数を増やしていくなど、働くうえで必要な制度は本人たちに決めてもらっている。
なぜそうした?
神谷さんはオーナーとして、人材の採用や会社の経営方針を決めたり、新しい分野や新規顧客の開拓で岐阜、名古屋、東京間を走り回っている。その分、サロン運営は各店長に任せたり、労務管理や経理は、社会保険労務士、税理士、経理担当と専門家に任せている。また、社員に必要な制度はその都度本人たちの希望で臨機応援に対応している。「スタッフを信じて、責任をもたせて任せることで人は育ちます。また、それぞれのスタッフが抱えている事情が異なるので、どうしたら働きやすくなるかは本人次第。個別事情に合わせて仕事を続けられるように考えてもらい、それが可能になるように社会保険労務士や経理担当に調整してもらっています」(神谷さん)。
3取り組み
スタッフを成長させる技術を取り入れる。
どんな取り組み?
神谷さんは5年前に「小顔補正立体カット」という技術と出合い、自分自身がその技術を教える講師の資格を取得。サロンのスタッフにもその技術を伝授することで、カットに自信のなかったブランクのあるママスタッフも、自信をもって施術ができるようになった。
背景とメリットは?
「小顔補正立体カット」は、お客さまを小顔に見せることができるだけでなく、わかりやすくマニュアル化された画期的なメソッドだ。「私自身がこの技術に非常に感銘を受け、スタッフたちの成長のきっかけになると考えたのです」(神谷さん)。「SK Group」のスタイリストが全員「小顔補正立体カット」を学ぶことで、スタッフもサロンも飛躍的に進化したという。「カットに自信のなかった鎌倉もこの技術でお客さまに喜んでいただけたことで、スタイリストとして完全復活するきっかけになったようです」(神谷さん)。
オーナーインタビュー
- Q. ご自身も子育てしながらの独立でしたが、ママスタッフを雇用するメリットは?
-
A. とにかく時間の使い方がうまいのがママたちです。
子どもって何も待ってくれない存在なので、ママたちは常に複数の家事や育児を同時にこなしています。だから何をするにも手ぎわがいいし、時間の使い方がうまい。生産効率がいいのです。こうした人材を使わない手はないですよね。私自身が24歳で長女を出産。サロン勤務時代のほとんどを子育てしながらパートで働いていましたが、負けず嫌いでしたから「絶対1番になる!」とがんばりました。勤務時間が限られていたのでマネジメント業務ができないかわりに、売上で貢献したかったのです。うちのスタッフもそういう想いでやってくれています。また、オープン時からママスタッフがいたことで、「ママが活躍することが当たり前のサロン」と若いメンバーも思ってくれています。
- Q. 女性が活躍できるサロンにするために、オーナーの役割はどんなことだと思いますか?
-
A. 外に出て人脈を広げて、スタッフが活躍できる場を見つけてあげることです。
オーナーの役割は、女性に限らずスタッフの可能性を広げてあげることだと思います。だから私の役目は、新しいことを探してスタッフに向いていることを見つけていくこと。サロンが成長するにはスタッフ一人ひとりの成長が欠かせないからです。そのために、私は外の人、美容業界以外の人ともつながって人脈を広げる努力をしたり、さまざまなセミナーにも参加しています。そして新しいことを始めてみていいと思ったら、スタッフにもさせてみるのです。
だいだいオーナーはサロンにいない方がいい。上司がいない方が部下はイキイキするものですよね(笑)。スタッフを信じて任せる自信がないと、オーナーがいつまでもトップスタイリストとして君臨してしまうので下が育たないのです。オーナー自身が自分を自己承認してあげて、楽しみながら外に出ていってほしいですね。
Salon Data
SK original 【エスケーオリジナル】
- アクセス
- JR可児駅・名鉄新可児駅より車で10分
- 創業年
- 2006年
- 店舗数
- 2店舗
- スタッフ数
- 10人(全社)