女性が活躍するサロン
女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣
結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。
vol.10711名中6名がママエステティシャン!
「仲よく、意識は高く」を保つ秘訣とは?
エステティックサロンanon
千葉県柏市
JR柏駅から徒歩1分の繁華街で、話題の「ハイパーナイフ」による施術を提供しているのが「エステティックサロンanon」。スタッフの明るい笑顔と丁寧な接客から、たくさんの癒やしをもらえると評判の店舗です。現在のスタッフ11名のうち6名をママが占め、その子ども達は何と合計15人!仲間同士の絆が強く、出産後も「またみんなと働きたい」とママ達は必ず戻ってくるそうです。人の出入りが多いと言われるエステティック業界で、子育てしながら楽しく働ける環境をどう実現したのでしょうか。オーナーの齊藤由加子さんに、サロンの取り組みについてお話を伺いました。
1取り組み
パートは週末休みあり。ママの急な休みにはSNSでスタッフが自主的に対応。
どんな取り組み?
サロンは現在年中無休で、スタッフは週休2日でシフトを組んで働いている。その中でもパートスタッフについては、月のうち半分の土日を休むことができる。さらに遅番が免除されているので、子どものお迎えに間に合う時間に必ず帰ることができる。
またスタッフは日頃からグループSNSでつながり、緊急の連絡を取りやすい体制をつくっている。ママスタッフが子どもの病気などで急に休まなければならない時は、他のスタッフが自主的にシフトを交代するなど、お互いに融通し合いながらサロンを運営している。
背景とメリットは?
4年前のオープニング時に採用した5名中3名がママだったことから、全員ができることを話し合いながらサロンを運営する必要があった。急なシフト変更に「お互い様」で対応する体制も、スタッフの中で自発的に始まったという。子どものお迎えに間に合う時間に帰れて、月4回の週末が休めれば、ママスタッフの負担はかなり軽減される。日頃からママの頑張りをよく見ているためか、若手から不満が出ることもないという。「若い子には『いつかあなたもママになるから順番よ』と常々伝えるようにしています」と、代表取締役の齊藤由加子さん。
助け合いの風土があって働きやすいためママの定着率は高く、今ではスタッフの子ども達が合計15人にもなった。
2取り組み
出産後の復帰は各自の状況に合わせ、月に数日からでもOK。
どんな取り組み?
育児休業から復帰する時期や、復帰した時の働き方などについては個別に相談。会社として規定を設けることなく、それぞれの事情に合わせて柔軟に対応している。また、育児休業給付金をもらいながら一定の上限まで働ける社会保険の制度を利用し、月に数日から始める「慣らし勤務」も行っている。
背景とメリットは?
「anon」のママスタッフはみんな出産後すぐの復帰を希望してきたが、ネックは子どもの預け先だ。地域の保育園は待機児童が多いため、希望する時期に戻りたくても戻れないことも多い。そうした事情があるために、ママスタッフの復帰時の働き方はケースバイケースで決めている。保育園に入れるまで1年にわたり、夫の休日だけ子どもを預けて出社したママもいるという。
子どもが保育園に入れた場合でも、慣らし勤務の期間を持つことでママスタッフはスムーズに職場復帰ができる。また入園したばかりの子どもは熱を出すことも多いので、出勤日数を少なめにしてスタートすれば、シフトに穴をあけるリスクも最小限にできる。
3取り組み
近くに2店舗目を出店し、ママが働きやすい環境を整備。
どんな取り組み?
2018年3月に、同じJR柏駅の近くに2号店を開店し、スタッフも増員。スタッフが歩いて行き来のできる圏内に2店舗を持った。現在、2号店のメニューは1号店より少なくし、新人が習得しやすい施術に限定。比較的短時間でできるものばかりにすることで、両店の差別化を図っている。
メリットは?
近場で2店舗を展開すれば、スタッフの急な欠勤でシフトに穴があきそうになっても、別の店から人員を融通することができる。また全体のベッド数が増えたことや、2号店に比較的難易度が低いメニューを集めたことで、スタッフの教育もやりやすくなった。
将来的には1号店の閉店を1時間早めてママスタッフを勤務させ、2号店は逆に遅くして若手スタッフ中心で運営することも検討している。店舗の差別化で、売上を確保しながらスタッフが働きやすい環境を実現していくつもりだ。
4取り組み
月に1度の「全員出社日」に技術研修や親睦会を開催。
どんな取り組み?
「anon」ではオープン当初から、毎月初旬に全員出社日を設けている。当日は午前中で予約を切って閉店し、午後にママを含めたスタッフ全員が集合。メーカーを招いての研修や技術の練習、売上に関するミーティングなどを行った後に、親睦のための食事会を開いている。
背景とメリットは?
スタッフはシフト制勤務のため、普段は全員が揃う機会が全くない。若手中心のサロンでは閉店後に研修をするケースもあるが、パートが半数以上の「anon」では難しい。そのため日中の営業時間内に店を閉めて集合することにした。
日ごろ練習時間がなかなか取れないママスタッフにとっては、新商品の知識を得たり、技術を向上させるための貴重な機会となる。また、若手もママも一緒にお酒を飲んで盛り上がる食事会は、お互いの理解を深めるとともに、良いリフレッシュになっているという。
代表取締役インタビュー
- Q. 街中のサロンで、オープニングからママスタッフが多いのは珍しいですね?
-
A. 「欲しい」と思った魅力的な人材がママだったんです。
オープニングスタッフ募集の時に、人間性や個性を大事にしながら選考した結果としてママが多くなったんです。やはりエステティシャンはお客さまと1対1の時間が長いですから、人間的な魅力は大事。ママが素晴らしいのはコミュニケーション能力が本当に高いことです。初めての人とも臆せずおしゃべりできるし、話題の引き出しも多い。商品を薦めるのも上手なので、とても頼りになります。
でも、子育て中なのでパートが希望。正社員と同等の福利厚生は当然として、彼女たちがどうしたら活躍できるかを色々考えました。夜の部を独身スタッフひとりで営業したり、出勤の調整をするために一時的に定休日を設けたこともありました。今はスタッフも集まり2店舗目も出せて、次の展開を考えられるようになったところです。
- Q. 皆さん本当に仲良しですが、雰囲気づくりのコツはあるんですか?
-
A. 逆に、仲間内で馴れ合いにならないような意識付けをしています。
オープニングから全員で力を合わせてきたので自然と仲は良かったんですが、次第にダラダラした空気を感じることも多くなりました。そこで2年前に職場の雰囲気を一新したんです。まずあだ名を禁止して、お互いに下の名前で「〇〇先生」と呼び合うようにしました。また、ママには仕事中に子どものことを前面に出さないようにさせました。食事会も以前は子連れOKでしたが、今はスタッフのみにしています。スタッフの親睦を深めるのが本来の目的ですし、月に1度女性だけで騒ぐのもストレス解消になると思うんです。
ママスタッフには辛いことや悩みも多いですが、仲間同士でケアしてくれています。オーナーとしてそこにはあまり介入せず、一歩引いて見守ることも大事だと思っています。
Salon Data