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第2章急成長を支える手法とは?

「システム化するのも、人の想いに添うのも好き。
“血の通った仕組み”を大事にしたい。」

2017年1月、「丸亀製麺」を運営するトリドールグループと資本業務提携を結び、店舗展開をさらに加速させた

店舗展開に関しては、カット専門店の「QBハウス」さんと「fufu」さんの併設店舗もあります。面白い試みですね。

うちはヘアカラー専門で、「QBハウス」はカット専門なのでお互いにメリットがあると思っています。カットに通うついでにうちに来てもらえるし、「QBハウス」は男性客がメインなんですが、うちとの併設店舗では女性の割合が高くなっているそう。

僕は美容室が敵だと思っていないんです。「カットもできればいいのに」というお客さんには、近隣の美容室を紹介しています。うちのお客さんはもともと自宅で染めていたという人も多いですし。以前は髪を染めるのが面倒でもう少し先延ばしにしよう…と考えていた人が気軽に染めるようになったので、ヘアカラー利用者の市場が広がったとも言えるでしょう。

創業から4年で現在は約70店舗を展開。当初から全国展開を考えていたのですか。

そうですね。まず、ある範囲にどれだけ40代女性がいると1店舗の経営が成り立つかといった条件から試算して。それに基づいて考えると、全国で数百店舗、自分たちでできるのではないかと思えたんです。なのでそのために、最初の数店舗でちゃんと全国展開のための原型となるモデルのようなものを作ろうと思ったんです。

最初は路面店を出して実績を作り、同時に駅の商業ビルにアプローチを始めました。駅ビルの「アトレ」に出すことができて、その後に各地の「イオン」系列に出せるように。今もショッピングセンターに「空き店舗があったら出させてください」と声をかけています。最近は出店頻度が上がっていて週1~2店舗くらいのペース。全国を電車の路線や幹線道路などからお客さんの通いやすいエリア単位に細分化して、それらに戦略的に出店しています。

2017年にはうどん専門店「丸亀製麺」を運営するトリドールグループと資本業務提携を結んでいますね。

はい。共通の知り合いを通じてご連絡をいただいたのがきっかけです。元々店舗展開を加速させるための資金調達のため他の方とも話を進めていたんです。そんな中トリドールの粟田社長はうちのビジネスについて知った数日後には、当時うちが出店していた3店全店をご自身で見に行ってくれていました。そんなフットワークの軽さにも魅力を感じて、お願いさせていただきました。

現在は、すごいスピードで丸亀製麺を全国展開したノウハウ等を活かしてアドバイスをいただいたり、粟田さんにも出店だけでなく様々な側面で相談に乗っていただいています。

それほど急速なペースで出店を急ぐのはなぜですか?

創業した2014年の時点でさえヘアカラー専門店はすでに結構あったし、最近はさらに増えています。いわば他店との「陣取り合戦」です。今まではFC(フランチャイズ)展開している他ブランドが最も店舗数が多かったのですが、12月に「fufu」が1位になりました。

「fufu」さんは全店が直営店ですね。数を増やすことを考えたらFCもいいのでは?

会社を立ち上げた最初の想いとして、「お客さんと美容師が困っていることに応えたい」というのがあります。それを叶えるためには、人任せになってしまうFC展開は考えにくい。だから、何か他に良いやり方があれば別ですが、現在のところは難しいですね。

出店数が多いと人材も必要になりますが、採用面で苦労しませんか。

スタッフに対しては応募した理由や求人をどう見つけたかを聞いて、その後の採用活動に役立ててきました。

最初の頃に、大手も含めて思いつく求人方法を全部試してみたんです。リクルートの媒体はもちろん、その他大手の媒体やハローワーク、タウン誌とか。で、効果を常に見ながら最適なものを選んでいくようにしています。あとはエリアによる違いもいろいろ考えます。例えば地方ならばリスティングが効く場合もあるし、逆に広告を打たなくてもお店を見て直接応募してくれるママさんもいる。いろいろ調べて試して、その結果を踏まえて更に高速でPDCAを回す、という求人方法を採っています。地道なことをひたすらやっている、というか。

求職者に対するアピールとして、一般企業と同等の給与や子ども手当、休眠美容師も安心して現場に出られるトレーニング体制といった、働きやすい環境を整えています。特別なことじゃないんですけど、みんなが想像できる、ありがちなことはすべてやったという感じ。先ほど話したように、実際にうちで働いてくれる人に「なんで応募してくれたの?」って聞いたことも役立ったと思います。

「調査する」「聞きとる」を採用面でも徹底しているんですね。ただ実際は採用したくても、うまく探せないという声もあります。例えば休眠美容師はぜひ活用したい人材ですが、どのように探されていますか?

うちのスタッフはアシスタントのうちに美容室を辞めたローキャリアの20代か、出産・育児で現場を離れたママさんが多く在籍しており、休眠美容師だった方も半数程度いてくれています。休眠美容師にアプローチする方法も、実際に応募してくれた人に聞いていますよ。「どんな検索ワードでうちを見つけたの?」って。

逆に辞めてしまう方は?

離職率は4%くらいです。どんな環境なら働き続けたいのかを聞いて実践してきた結果ですね。最初の頃は店舗に毎日出勤して直接話を聞いていましたから。現在も企業内SNSやメールは必ず読んで返信するし、企業内のBlogを通じて考えを発信したり、そこで集まった声を活かしてやる新しいこともあったりします。

どうやったらうまく回るのか「仕組み化」するのが僕は好きだし、同時に人の想いを大切にして血の通った付き合いをするのも好きで。これを「冷静と情熱の間」なんて呼んでいるんですけど(笑)。そういう「血の通った仕組み」を作りたいと思ってやっています。

  • 指名制ではないので、ママ美容師も働きやすい。子どもの急な対応にも、スタッフ同士で調整し合ってサポートしている

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