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未来から逆算する人生なんてストレスだけで面白くない。
千葉
「セカンドID」を得ることによって、その人のセカンドキャリアの可能性も広がっていきそうですね。
小橋
昔だったら脱サラして店をやるとか、仕事をやめて自分探しの旅に出るとか、セカンドキャリアの出発点として劇的な変化を求める人が多かったですよね。けど今はそんな必要ないでしょ。目の前で起きていることが、すでに何かの「きっかけ」なのかもしれない。
千葉
具体的には、どんな事が考えられますか?
小橋
例えば趣味はファッション、休日はサーフィンがお決まり、なんていう人が、たまにそうだな、サルサの体験レッスンに出てみるとか、料理教室に参加してみるとか…。今までのコミュニティには決していないタイプの人と出会い、刺激を受けることで新しいビジネスが生まれるかもしれない。
何がどうなって未来につながるかなんて、わからない。だからこそ、目の前で起きていることに常に興味を持つようにしておかないとね。自分にとって不利益なことだって無視しちゃダメ。僕で言えば、30歳手前の病気のことだって転機だったと思っています。あれがあったから、開き直って前に進めたんです。
千葉
今後は、どのような仕事を考えていますか?
小橋
これからは「心の時代」になると思うんですよね。物質的に満たされて、情報も溢れている。さらにAIの発達によって、人間が煩雑な仕事から解放されると、アートを楽しむ余裕ができてくると思う。
そういう時代に必要なのは、「個人のセンス」ですよね。子供のうちから、それを磨ける場を提供してあげたい。
千葉
ご自身にお子さんが生まれてから意識は変わりましたか?
小橋
うちの子は、いま2歳。やっぱり最近は、子供の未来や教育の事をよく考えます。
僕の子供が大人になる頃には、「人類総クリエーター」というような状況になっていると思う。感じたことを形にして発信するのが当たり前の世界。それに対応した教育は受けさせたいですね。
千葉
その世界で重要になってくるものは?
小橋
当たり前ですけど「創造力」ですよね。創造力を磨くには、日常とは異なる世界に身をおいて、さまざまな価値観に触れること。いろいろな人に会って話をして、既成概念が壊れるような体験をたくさんすることです。
それにはやっぱり、“have to”じゃなく“want to”が大切です。内なる自分の欲求に従って進まないと面白くないし、感性も刺激されない。これは大人も子供も関係ありません。
千葉
年齢も関係ない、と?
小橋
年齢なんて関係ないですね。何歳になっても変化ってできますよ。人間って常に変化していく生き物なのに、大人になると変化が「悪」みたいに言われるでしょ。「フラフラするな」とか「一度決めたことを変えるな」みたいな。そんなのナンセンス。
常に変化して、将来どうなるかわからないから人生面白い。僕だってまだまだ旅の途中。ここからどう変化していくのか、楽しみで仕方ないんです。
そしてこの8月、40歳になる小橋さん。
「どんな40代にしたいですか?」・・・つい聞いてしまいましたが、愚問でしたね。
答えは、インタビューの中で何度となく語られていました。
自分の心のワクワクに従い、いつの間にか今の場所に立っていたように。
未来もまた、今からは予想もしない場所で、微笑んでいる気がします。