「バーバー」人気の理由
今「バーバー」が人気の理由
近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。
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Of the BARBER(東京都中央区)
オブヘア発の大人バーバーとは?
東京・銀座6丁目。ビルの3階でエレベーターを降りると、右手にはおしゃれなヘアサロン。そして、左手には「大人の男の格好良さ」を感じさせるバーバーが店を構えている。ここはあの「Of HAIR(オブヘア)」が2014年に出店したバーバーだ。3席のスペースに詰められたこだわりとは?ディレクターの市川晃紀さん、店長の白間光さんに話を伺いました。
「女性が多い美容室が苦手だが、おしゃれでいたい」という男性客がターゲット。
「これからはバーバーが求められる時代になる」と感じた。
「Of the BARBER」がOPENした2014年当時は男性客が理容室から美容室に流れてきた一方で、モードの世界ではフェード(刈り上げ)系のいわゆる「バーバースタイル」が注目されていた時期。新しいスタイルのバーバーもちらほらとOPENされ始めていた。そんな流れを敏感に察知し「これから多くの男性のお客さまに求められるはず」と、「Of the BARBER」をOPENさせた。「男性しかいない空間の方がリラックスできるという男性客は多い」とディレクター・市川さん。「そういった空間を演出しつつも、ヘアスタイルはバーバーらしいフェード(刈り上げ)スタイルからロングヘアまで、多彩なデザインが楽しめる。バーバーと美容室のいいとこ取りという感じでしょうか」。
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壁に飾られた、たくさんの白黒写真。年代やスタイルはさまざまだが、どれも「格好良い」のが共通点。「自分らしい格好良さを求めて、多くの男性に来てほしい」という想いが表現されている
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半個室のゆったりとしたカットスペース。忙しいビジネスパーソンたちが、ここで会話を楽しんだり、時には目を閉じてハサミの音に耳を澄ませたり…思い思いの時を過ごしている
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フェイシャルやシェービングで使用しているタオルは、すべて今治タオル。ふっくらと厚みがあり、ホットタオルにしても冷めにくいため、しっかり肌を保湿することができる
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ディレクターの市川さん。「ヘアスタイルの流行は、ファッションだけでなく政治など世の中の流れとも連動しているんです」と語る
客層は30~40代、スーツスタイルの男性が中心。
現在の客層は、30~40代の男性が中心とのこと。男性客の7割はスーツを着たビジネスパーソンだという。「当店では60分のクイックカット(シャンプー1回・カットで6,000円~)、90分のスタンダードカット(シャンプー2回・カット・ショートスパで6,200~7,200円)がありますが、9割の方はスタンダードカットを利用されます」と店長・白間さん。シェービング(3,800円)は約3割ほどの利用率と、平均よりかなり多い。シェービングの前と後で、それぞれオリジナルのオーガニックオイルなどで保湿し、マッサージとフェイスパックも受けられるという充実ぶりで、バーバーにいながらエステのようなケアが受けられるのが人気の理由だ。
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シェービングに使う道具一式。利用客のうち、2割は専用機器を使ったエステメニュー(毛穴ケアなど)も希望するという。系列店の常連客が、定期的にエステを受けにくることも
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オリジナル商材の数々。シャンプー、トリートメント、スキャルプエッセンスなどが人気だ。最近はエステ利用客を中心に、フェイスウォッシュの購入も増えてきたそう
インテリアから使用する道具、技術など、すべてが一流クオリティ。
店内の家具は、すべて本物のアンティークを使用。
店内に一歩足を踏み入れると、不思議と心が安らぐ雰囲気に包まれる。それでいて、少し落ち着いて辺りを見回すと、随所に好奇心をくすぐられるアイテムが散りばめられていることに気がつく。「家具や小物に至るまで、インテリアはすべて本物のアンティークです」と白間さん。社長の古里オサムさん自身が集めてきたこだわりの逸品ぞろいだ。「壊したら大変なので、大切に扱っています(笑)」との言葉通り、古びた中にも丁寧にケアされている様子が感じられる。そんな小物を眺めているだけで、時間を忘れてしまいそうだ。
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あたたかい光を放つ、アンティークランプ。当然LEDには非対応なので、こまめな交換が必要だ。ロマンには手間と金がかかるものなのだ
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社長自ら、年2回のパリコレ来訪のついでに、蚤の市で手に入れてきたというアンティークトイ。コロナ禍の前には、白間さんもよく同行していたという
バーバーに立つ前に、必ず専門店で修業している。
バーバーのスタッフはすべて、理美容のダブルライセンス取得者。かつ、店に立つ前に、歴史ある理容室で修業をしているという。また、ヘッドスパのスペシャリストも在籍しており、各スタッフはしっかりと研修を受けているため、その技術力の高さには定評がある。「ヘッドスパ専門店ではシャンプーがないところも多いですが、やはりヘアサロンやバーバーの強みはシャンプー。汚れもコリもじっくり落とすことができます」の言葉からは、技術に対する強いこだわりと自信がうかがえる。
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フルフラットになるシャンプー台。「バーバーには行きたいが、前かがみのシャンプーにストレスを感じる」という男性客に好評で、癒やしのひと時を提供している
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店長の白間さんご自身が、ヘッドスパを施術することも。「ヘッドスパは非常に人気で、予約が取り辛い日もあるほどです」
ディレクター&店長インタビュー
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写真左:店長・白間光さん。2012年入社。昨年から店長に就任。/写真右:ディレクター・市川晃紀さん。1994年入社。実家は新宿区早稲田にある老舗理容室
Q.お客さまに感じる変化は?
A.美意識がより高まってきたと感じています。
エステメニューの利用率や、スキンケア商品の購入率などが少しずつ高まってきたのを感じています。若いお客さまは化粧水を当たり前のように使っていたり、色つきリップを使って血色をよく見せている方もいらっしゃいますね。
Q.今後挑戦していきたいことは?
A.シェービング利用率をもっと高めていきたいです。
先ほどお伝えした通り、現在のシェービング利用率は約3割。バーバーとしては高いほうだと思いますが、もっと上げていきたいと思っています。今コロナ禍でマスクをしているからこそ、ヒゲを楽しんでいただきたいんです。バーバーならではのさまざまなヒゲデザインを提供していきたいと考えています。
Salon Data
Of the BARBER
- アクセス
- 地下鉄銀座線・日比谷線・丸ノ内線 銀座駅C2出口から徒歩2分
- 創業年
- 1990年
- 店舗数
- 8店舗
- 設備
- セット面3席 ※Of the BARBER
- スタッフ数
- 15名 ※Of the BARBER