イノベーターが
見ている未来
vol.86
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
sand
代表取締役 島崎 譲さん (age.36)
“ショート特化”のヘアサロンとしてSNSでも絶大な人気を集め、高い技術力を誇るスタイリストが多数在籍する「sand」。若手を多く抱えながら、スタイリストの平均年収は1,200万円オーバーを達成している。「個」の強さを生む秘訣は、チームサロンとして互いを高めあう関係性。それを実現する若手教育メソッドについて、代表・島崎さんにうかがった。
https://sand-hair.com/
第1章念願の就職先で失敗と成功を経験
「“あなたにはついていけない”
後輩のその言葉で、自分を変えました」
島崎さんは石川県のご出身で、美容学校は大阪。そして就職先は都内の人気サロンですが、東京に出た理由は?
美容師になるからには一番レベルの高い地域、一番レベルの高いサロンで働きたかったんです。独学ではカリスマにはなれないなと思って、自分が思う最もレベルが高いサロンを目指しました。
ところが採用試験で、最初は落とされてしまったそうですね。
そうなんです。自分としては自信があって、受かると思っていたので「まさか」という感じ。当時はもう志望先がそのサロン一択だったのでほかが考えられなかったし、どうにかならないかと思ってサロンに電話をしてみたんですが相手にしてもらえなくて。
だったら、「カットの予約を入れて客として行けば、話を聞いてもらう時間が取れるだろう」と考えたんです。それで親にお金を借りて、東京のサロンに向かいました。
すごい熱意ですよね。そうして結果的に粘り勝ちというか、めでたく採用されたと。
いま思うと気合が入っていたなと自分でも思います。後日、当時のことを上司と話したら「あまりにしつこかったから採用した」と言われました(笑)。そのサロンで10年ほど勤めさせてもらったおかげで力が身に着いたので、粘ってよかったなと。採用されていなかったら自分はどうなっていたんだろう…と怖いくらいです。
勤めた人気サロンでは、歴代最速で本店の店長に任命されたとか。そこに至るまでも順調でしたか?
いやぁ、失敗もありました。スタイリストデビューして2年目、26歳くらいのときのことですが、後輩から「あなたみたいな人にはついていけない」って言われたんです。
自分としては一生懸命にその子を育てていたつもりだったので、すごいショックで。だけどそう言われてしまうからには、自分の言動がどこか間違っている。それで、自分を改めようと、マネジメントとか、人を教育するっていうことについて勉強するようになりました。
すぐに「自分を変えなきゃ」と思えるのは、すごいですね。
ショックを受けてヘコんだからこそ、変わらなきゃと。自分ではそんなつもりはなかったけど、「我が我が」という姿勢がにじんでいて、後輩から「自分だけがかわいいんだな」って見られていたんだと思うんです。
それで本を読んだりセミナーを受けたりと自分でインプットできることをして。尊敬する先輩に相談して日頃の自分の行動を見てもらったりもしました。そうしてベクトルを自分に向けるんじゃなく、後輩や同僚に向けようって意識するようになってからは、うまく物事が回るようになりました。そのあとは、マネジメントで悩んだことは一切ありません。
Z世代の特性を理解したチーム戦略で
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