抗がん剤治療での「爪の悩み」を解決したい
女性の活躍支援をビジョンに、静岡県浜松市を拠点にネイルサロンなどを展開する「株式会社ビューティースマイル」代表取締役・高橋繁世さん。ネイルサロンで作成した展示用のネイルチップをリメイクして、抗がん剤治療中のがん患者の方に、ネイルチップを無償提供するボランティア活動も行っている。
抗がん剤治療中の方は、爪が黒く変色したり、弱くボロボロになってしまうことが多い。また治療中は、動脈に含まれる酸素量を計測をするパルスオキシメーターを爪の先に装着するため、ジェルネイルもマニキュアもできない。そこで「装着、取り外しが可能なネイルチップが、お役に立てるのでは?」と、活動をスタート。
その仕組みをシステム化させ、より効率的に広範囲に広めたいとの考えから、2022年11月にクラウドファンディングを。結果、244万7,000円もの支援金額に達した。
『患者さんからのクレームが“ない”』ことに心を痛めた
2年間で約500人ものがん患者にネイルチップの無償提供を行うなか、ある課題が…。
高橋さん『この活動はボランティアで、チップを無料で提供しているため、患者さんからはクレームや要望が一切なく、喜びの声しか届かないんです。もちろん、それもとても励みにはなっているのですが…。いまは、一人ひとりの爪のサイズを把握できず、オーダー制でもない。もしかしたら、“患者さんの爪のサイズに合わないものを提供しているかもしれない” “好みのデザインではないかもしれない”ということに、心を痛めていました。』
そこで、今回のクラファンで集めた資金をもとに、ネイルチップを受注&発注できるシステムを開発する。想定している流れは、こうだ。①患者自身が爪のサイズをスマホで測定→②サイズがマッチングしたネイルチップの中から、好きなデザインを選ぶ→③入力した住所あてに発送。これが実現すれば、一人ひとりにマッチしたネイルチップを送ることが可能となる。サイトオープンは、1年後の完成を目指している。
患者さんも、サロンも笑顔に
今後の構想を、高橋さんにうかがった。
『現在は、ネイルチップを抗がん剤治療中の方に提供していますが、それ以外にも爪に悩む多くの人に広げていきたい。病気で亡くなった方の爪がかなり傷んでいる場合、「葬儀のときは、きれいにしてあげたい」と願う遺族の方もいます。エンゼルメイク同様、爪もまた、チップで美しくみせることができます。
一方、ネイルサロンの方も、見本用に作ったネイルチップを毎回大量に廃棄しなければいけないことに抵抗を持っています。せっかく作ったチップを有効活用することができれば、患者さんも、サロンも、うれしいですよね。
これからも、たくさんの人に笑顔になってもらえるように。さまざまな企業と協業して、この活動を広げていきたいです。』
▼「Beauty Smile Heart 」HP
https://www.beautysmileheart.com/