「バーバー」人気の理由
今「バーバー」が人気の理由
近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。
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MERICAN BARBERSHOP TYO(東京都渋谷区)
ついに東京出店!3週間で新規集客300名超のワケ
神戸・福岡からカルチャーを発信し続ける「MERICAN BARBERSHOP」が、ついに2023年6月に東京で出店しました。OPENから約3週間で新規集客が300名を超えるというバーバーの人気の理由は、一体何なのでしょうか?「MERICAN BARBERSHOPらしさ」を保ちながらも、常に新しいチャレンジをしつづける彼らの新拠点に潜入し、その秘密を覗いてきました。
東京(渋谷)店ならではのこだわりは?
敢えて"裏側”であるスタッフルームを"表”に出した。
古びた味のあるビルの地下2Fまで下りると不愛想な鉄の扉に迎えられる。不安を抱えながらそっとドアを開けると、そこはまるでアメリカの下町のコインランドリーのような雑然とした空間。バーバーショップのスタッフたちがフランクに「こんにちは!」と挨拶をしてくれて、なんだか少しホッとする。何とここは、彼らがくつろくスタッフルームなのだ。
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"アンダーコンストラクション(建設中)”がテーマのスタッフルーム。エントランスとバーバースペースをつなぐ空間でもある
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入口を入ってすぐの場所にある、呼び出しベル。無機質かつちょっと妖しい雰囲気が彼らの遊び心を感じさせる
"スピークイージー”を「MERICAN BARBERSHOP」なりに解釈。
彼らが他店舗で行っているのが、表にバーバーを、裏にバー(酒場)を配置する”スピークイージースタイル“。そこを逆転させて、裏に配置すべきスタッフルームを敢えて表であるウェルカムスペースに持ってきたのだという。「”お客さんとスタッフ”という壁はいらない、フラットでいたい」という彼らの想いが反映された、いわば象徴的な場所となっている。
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クリエイティブ・ディレクターのヌマタ ユウトさん。「スタッフルームを表に持ってきたからこそ、あまりにもだらしない格好や態度は取らない」といった意識も必要と語る
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2023年4月から入社した嶋壽 兆展(シマヅヨシノブ)さん。元から居るスタッフの同級生だが、知り合いというだけでなく、技術や実績を買われて入社に至ったという
技術のこだわりと、現在のバーバー業界で人気のスタイルとは?
フェードの技術には、変わらぬこだわりが。
バーバーと言えばフェード(刈り上げ)スタイルが重要視されるが、技術のこだわりについても聞いてみた。「フェードにはこだわりがあって、鏡の前の一番光があたる位置にスタッフが立ち、バーバーチェアをろくろのように回してバリカンを当てていきます。そうすると滑らかにフェードが入れられるんです」と実演して見せてくれた通り、スムーズなテクニックはまさに職人技だ。2週間以内の来店であれば、フェードメンテナンスは2,200円~で受けられるという。
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バーバーといえばフェード(刈り上げ)スタイル。鏡前の光があたる位置に立ち、バーバーチェアをろくろのように回してバリカンを当てていく
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鏡の前には、各スタッフのこだわりの道具が並ぶ。シザーケースなどはつけずに「ファッションの統一感を壊さない」のも彼らのスタイルだ
バーバー業界のトレンドは安定の“サイドパート”と、ここ数年で台頭してきた“クロップスタイル”。
「サイドパート(いわゆる七三分け)は今も人気がありますね。あとはクロップスタイル。サイド~バックにフェードを入れて、前髪は前に下ろすスタイルです。短くすればタフでハードな印象に、長くすればさわやかな感じにもなります」(嶋壽さん)。髪に生えグセがある場合には、流れを整える”イージーパーマ”で髪を寝かせればビシッと決まるという。手入れのしやすいスタイルづくりにもこだわりが見える。
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現在人気の"サイドパート”スタイル。ビジネスマンに特に人気だとか
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サイド~バックを刈り上げた"クロップスタイル”
カルチャーを発信し続けるからこそ、全国にファンが生まれる。
おしゃれなだけじゃない、ここには“ムード”がある。
立ち飲みの”角打ち”を”NEO大衆スタンド”としてアレンジしたり、日本を代表する盆栽のブランドである「TRADMAN’S BONSAI」とのコラボなど…日本の古いものを「MERICAN BARBERSHOP」のフィルターを通してクールに再定義してきた彼ら。東京出店にあたっても、そんな彼らの取り組みを知り支持してきた人々が多数来店してくれたという。「男女比率は9:1で、30代を中心に、10代~40代の方が来てくれています。ヘアカットがうまいのは当たり前で、うち独特の”ムード”が支持されているのではないでしょうか」(ヌマタさん)。
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2023年7月9日に開催されたオープニングパーティーの様子。彼らに共感し、支持するメンバーが集まった
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仲間同士の語らいには欠かせないビールの自動販売機。昭和にタイムスリップしたような錯覚に陥る
表面だけではないストーリーがあるからこそ、共感が広がる。
福岡の高校サッカー部へのサポート活動として、サッカー部員には無償でヘアカットを提供している。
「”LOOK GOOD FEEL GOOD PLAY GOOD”というタグラインがあるんです。見た目が良くなったら、気分もあがって、仕事でも遊びでも最高のプレイができる。僕たちはヘアカットをしてるだけじゃない。彼らのプレイまでよくしちゃう。」と語るヌマタさん。
もともと自身もプロサッカープレイヤーを目指しており、過去自分が受け取ったものを返したいという想いから生まれた取り組みだ。自分たちが生きてきた道を大事にするからこそ、芯の通ったスタイルができあがり、そこに共感する人たちが生まれ広がっていくのだ。
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各スタッフ毎に割り当てられた鏡からは、それぞれのこだわりや仲間との絆が感じられる
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東京店のスタッフたち。各自が持つ想いや夢を「MERICAN BARBERSHOP」で叶えている
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お客さまの荷物置き場。雑然とした佇まいが、彼ら特有の肩の力が抜けた魅力を放っている
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大阪堀江「EIGHT GENTS」デザインのカットクロス。東京店のコンセプトや世界観を反映している
スタッフインタビュー
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ヌマタ ユウトさん(左)1988年生まれ、兵庫県出身。クリエイティブ・ディレクター/嶋壽 兆展(シマヅヨシノブ)さん(右)1986年生まれ、山口県出身。
Q.今のスタッフルームは、どう進化していく?
A.お客さんやスタッフが遊べる空間にしてきたい
スタッフはもちろんですが、お客さんが自分で遊べるようなコンテンツをどんどん持ち込んで欲しいと思っています。髪を切るついでに遊んでいくといった、ハブになるような店にしていきたいですね(ヌマタさん)。
Q.今後の目標は?
A.バーバーだけじゃないBARBERSHOPになりたい
「MERICAN BARBERSHOP」の、“BARBER”という部分が霞んでいくイメージ。バーバーのヘアカットだけじゃなくて、ウェルネス・ウェルビーイングとか全体を巻き込んだブランドになっていきたいですね。けど、それでも、ブランド名は「MERICAN BARBERSHOP」のままがいいかな。愛着あるんで(ヌマタさん)。
Salon Data
MERICAN BARBERSHOP TYO【メリケンバーバーショップ トーキョー】
- アクセス
- 渋谷駅から徒歩3分
- 創業年
- 2011年
- 店舗数
- 3店舗
- 設備
- セット面5席 ※東京店
- スタッフ数
- 6名 ※東京店