LGBTQ+のお客さまへの接客等を考えることで、「誰もが自分らしく美容を楽しむ、表現できる」そんな美容サロンを実現するお店づくりのヒントをご紹介します!今回は【サロンインタビュー編】
東京・銀座の「EIZO GINZA」は、LGBTQ+フレンドリーな美容室です。今回はトランスジェンダーであることをオープンにして働かれている美容師の宮島さんと、店舗責任者の立石さんにインタビューしました!
※トランスジェンダー…出生届に書かれた性別とは異なる性自認を持つ人
美容の未来のために、学びと調査・研究を
LGBTQ+のお客さまへの接客等を考えることで、「誰もが自分らしく美容を楽しむ、表現できる」そんな美容サロンを実現するお店づくりのヒントをご紹介します!今回は【サロンインタビュー編】
東京・銀座の「EIZO GINZA」は、LGBTQ+フレンドリーな美容室です。今回はトランスジェンダーであることをオープンにして働かれている美容師の宮島さんと、店舗責任者の立石さんにインタビューしました!
※トランスジェンダー…出生届に書かれた性別とは異なる性自認を持つ人
33歳・デザイナー。女性の体で生まれ、今は男性として生活しているトランスジェンダー当事者
カミングアウトしだしたのは高校3年生の終わりくらいです。自分が生きやすくなる環境をつくるには、近い人たち(親・友達)に話していかないといけないかなと思っていました。EIZOには新卒で入社しましたが、面接を受ける前にオーナーには話しています。
僕自身はサロンでは、特にセクシュアリティについて困ったことがなく(笑)、オーナーやスタッフにも男性として普通に接してもらっています。HOT PEPPER Beautyの『スタイリストページ』で、自身のセクシュアリティをオープンにしているので、ご自身がLGBTQ+であるお客さまもいらっしゃっています。
ただカミングアウトするんじゃなくて、「自分がオープンにしてできることはないかな?」というのは考えていました。LGBTQ+の方の中には、自分の周りにいる方、家族とかに受け入れてもらえないという話も聞いていたので、もっと周りからアプローチすれば変わるかもと思って。美容室など身近で普通に働いている人の中にも、LGBTQ+の人が存在しているんですよというふうに感じてほしかったというのがあります。
当事者の方だけではなくて、もし自分の周りにLGBTQ+の方がいて「どう接したらいいんだろう?」と思っている方にも、相談しにきてほしいなという気持ちもありました。ネガティブな反応はないですね。
LGBTQ+のお客さまであるかどうかにかかわらず、言葉は選んでいます。男女を感じる言葉、女性らしいですよ、男性らしいですよ、という説明はしないです。ヘアカタログの写真を見せるときも、モデルさんの男女にかかわらず見せています。例えば、刈り上げをするのは男性だけじゃないですよね。
あるお客さまから、刈り上げをしたくて、別のお店に行ったときに、「これくらいが女性らしいですよ」という提案をされ、「あー…(がっかり)」となってしまったと、聞いたことがあります。「宮島さんには、『〇〇さんには、これが似合うと思いますよ』という言い方をしてもらって嬉しかった」と言っていただけました。
お客さまの中には「美容師さんをびっくりさせちゃうかも」とか、「変に思われるかな」と気を遣ってしまって、自分を出せない方のお話は結構聞きます。予約時に書かれた名前や、書いている性別で、その人のことを判断しないことが本当に大切だと思います。予約時の性が男性だから「彼女いるんですか?」という話をしようとか、自分の中の当たり前をお客さまにあてはめないほうがいいかなとは思います。
プライベートについての会話をするときには、「彼氏・彼女」ではなく「パートナー」など言葉遣いには少し気を遣うなど、いろんな方がいらっしゃることを想定していただきたいです。
ジェンダーの知識について、知っているのと知らないのとでは接客の幅が変わるとは思います。
ディレクター。銀座店のオープニングメンバーで、宮島さんの良き理解者!
宮島がスタイリストデビューしたころ(2016年)は、まだLGBTQ+に対しても社会の認知度が低かったです。本人もHOT PEPPER Beautyでセクシュアリティをオープンにすることは迷いや抵抗があったように思います。プライベートな飲みの場で「相談がある」と言われたので、「(トランスジェンダーであることを)隠す理由もないし、出していいんじゃないの?」と伝えました。結果、本人も働きやすくなったんじゃないですか。LGBTQ+のお客さまも来てくれるようになりました。カミングアウト後、本人がイキイキしたように思います。
宮島のことは、トランスジェンダーという理由での特別扱いは全くしていないです(笑)。本人もこういうキャラだし、スタッフも特に気にしていないと思います。
一度サロンのミーティングで、「彼氏・彼女、旦那さま・奥さまという呼び方から、パートナーにしてはどうですか?」といった提案を宮島からもらったことはあり、それはもっともなことだと思ってみんなで変更したことがあります。でもそのくらいですよ。
LGBTQ+であるかどうかにかかわらず、『メンズライクなファッションが好きで、スカートを履かないと決めている女性』とか、『メイクしている男性』も珍しくない時代だし、『ファッションとしてスカートを履く男性』もいる。それらはすべて個性だと思っていますし、LGBTQ+のスタッフがいるからといって特別に何かをしようというのはないですね。お客さまに対しても、お客さまのなりたい姿そのままに『その人らしさ』をヘアを通して表現していきたいと思っています。
EIZO GINZA エイゾーギンザ
EIZO GINZAは、LGBTQ+を個性のひとつととらえ、お互いを尊重する理想的なサロンでした。
「この連載記事がそもそも不思議なんですよねー。(LGBTQ+が)そんな特別なこと?」と、立石さんに不思議そうに質問されると、「ナレッジ発信をせねば」と気構えて取材に向かった私がなんだか恥ずかしくなってしまうくらい。
こういった連載がなくても「LGBTQ+のお客さまが気持ちよくサロンを利用できる」「LGBTQ+のスタッフがイキイキと働くことができる」業界に早くなればいいなと思いながらサロンを後にしました。
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