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スターサロンと組んで美容業界に新風を開けたい
千葉
現在は35超と多岐にわたるブランド展開は、創業当初からの戦略ですか?
片石
起業した24歳の時から、1ブランドで100億とか200億の売上を目指すのではなく、マルチブランド戦略を考えていました。1ブランドで10億の売上でも、100個作れば1,000億になる。
今期は売上高80億円で、来期は100億に達する見込みです。成長率を考えると、5年後(2030年)には300億に届くところまで見えている。現状の取り組みを深化させ、エポックメイキングなM&Aができたら、全然いけると思っています。
千葉
ちなみに片石さんは高校生の頃、「美容師になりたい」と思った時期があったとのこと。美容関連でいうとすでにコスメ事業はされていますが、美容室との協業を考えたりなどは?
片石
アパレルと美容は近い業界。スターサロンとyutoriが組んで、業界に新風を開けたいなという目論見はあります。M&Aにおいて、PMI(M&Aの後に行われる組織・業務・文化の統合プロセス)をガチガチにするスタイルではないので、スターがいてブランドが確立しているサロンを、違う布で磨くというか。めちゃくちゃ伸びているところに、追い風を吹かせるイメージです。
ファッションの入口には、間違いなく美容室が存在する。自分も高校生の頃、原宿の古着屋に行って、キラキラした美容室でカットして…っていうのがワンコースでした。髪を切ることって、クリエイティブのなかでも限りなくインフラに近い場所だから、強いですよね。
特にメンズは、いろんなサロンを開拓するより、気に入ったところに通い続ける。垢抜けなかった学生時代から、大人になって、結婚して…みたいな、人生の変化を楽しむ“パーソナルなロマン”が、美容室にはある。そこに、流通をかませた商材を自社で作ることによって、一気にレバレッジをかけられるのではと、ジロリとにらんでいます(笑)。
千葉
それは楽しみです!(笑)
最終的には会社として、片石さんとして、どのようになることが理想ですか?片石
中期目標として掲げているのは、東京を拠点にアジア全域で展開するアパレルリーディングカンパニー。最終的な目標となると、何かのセクターで時価総額がアパレル業界で1位とか。でも、そこにはすぐいけるだろうから、何だろうな…。人生を終える時、「日本を統一した」っていう実感を持っていたい、とは思いますね。

インタビュアー/ホットペッパービューティーアカデミー・アカデミー長 千葉智之(右)
質問に答えながらも印象的なワードを織り交ぜ、自分の発言が世の中に出た時にどう見られるかまで、瞬時に計算している気がする。
創業初期、「3年後に年商5億を目指す」と宣言し、実際に3期目は5億円。
26歳の時、「30歳までの上場いけるんじゃない」と言い放ち、その通りに。
すべてを有言実行で叶えてきた戦略家が掲げる、2030年までに年商300億円。
さらには美容業界をジロリとにらみ、スターサロンと新風を開けたいというのだ。
空恐ろしくも、ワクワクしながら、その日を待ちたい。
