大阪の美容室に入社したものの、10カ月くらいで辞めてしまったんです。なので、国家資格は持っていますが、ペーパードライバーのようなもの。その後は、広告代理店、インターネット関連、イベント運営などいろんな経験をして、24歳の時に起業。5社10事業を運営していました。

それが、ほとんどうまくいっておらず赤字の状態でした。海外からアパレルを仕入れてネットで販売する事業もしていましたが、間に入っていた代理店がよくないやり方をしていたようで、突然アカウントが凍結され、何千万円もの売上が一瞬で消えました。

その出来事をきっかけに、これからは安定して着実に積み上げられるビジネスモデル、そして自分がもともとやりたかった「美容」に立ち返ろうと、2016年12月に「カラープラス」をオープンしました。

僕の母親は30代から白髪が多くて、ホームカラーと美容室でのカラーを交互にしていたんです。美容室でやったほうがラクでキレイに染まるけど、高いからと。ホームカラーの市場も大きいので、普段ホームカラーをしている人を、サロンに呼び込もうと考えました。

いちばん大きいのは、カラー剤を大量に仕入れることで、コストを大幅に抑えていること。ディーラーさんによると、1店舗あたりのカラー剤の発注量が、一般的な美容室と比較して、カラープラスは約6倍。店舗数も多いので、そのぶんメーカー・ディーラーさんにディスカウントしてもらっています。

次に、徹底的にムダを省いたオペレーションです。実は、1店舗目をオープンした当初は赤字で、“同じ時間で倍”のお客さまを施術しないと潰れてしまう状況に…。そこで、サロンワークのプロセスで、この作業はいる・いらない、“ながら作業”で可能なもの、と分解していきました。

たとえば、「お客さまの姿や車が見えなくなるまで、お辞儀をして見送る」というのは、やめました。忙しくてできない時があると、「前回はあったのに」と逆にマイナスになってしまうので。

“ながら作業”でいうと、「カウンセリングの途中から薬剤の準備をする」という形に変更。これは、現場のスタッフから「絶対無理」「お客さまに失礼」と猛反対されました。でも、やらなければ潰れる未来しかない。とにかく、一回やってみようと。

いざやってみると、お客さまも時間の短縮になり早く帰れるので、喜んでくれました。結果、満足度とリピート率も上がった。

入店からカウンセリング・カラー・シャンプーをして、ブローの場所にご案内するまで、約40分。ブローはセルフでお願いしています。郊外店舗の場合、車で来ているお客さまがほとんど。急いでいる時は、髪が完全に乾かなくても、早く帰れたほうがありがたいと言う方もいます。

自社サイトやホットペッパービューティーなどで、品質の良さを打ち出すようにしています。カラー剤はオーガニックを使用した日本製で、色持ちの良さが特徴。カラーの残留物質を除去する「REZO（レゾ）システム」や、マイクロバブルシャワーも導入し、髪や頭皮の負担を軽減しています。白髪染めは短いスパンで染める必要がありますが、「10年、20年と使い続けても安心な商材」と、胸を張って言えるほど。また、技術に関しても、きちんとした教育カリキュラムがあります。

オープンしたばかりの新店を除き、既存店では約90％がリピーターです。来店頻度は、全体で見ると1カ月半～2カ月に一回ですが、常連さんにしぼると1カ月以内。

最初にオープンした店舗の売上は、10年間ずっと微増し続けています。急に跳ねることもないけれど、目指していた「手堅く積み上げていく」ビジネスモデルを実現できました。