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イノベーターが
見ている未来

vol.12

確固たる世界観を持ち、新しい取り組みをしている「次世代リーダー」へのインタビュー。
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。

株式会社Diva

田邊みほさん (age.38)

ネイル業界初!「アシスタント制度」で教育を徹底。
それが多くの“月間100万円プレイヤー”を生む。

ヘア業界に比べると歴史が浅く、教育環境の整備も後れをとっていると言われることもあるネイル業界。そうした中でも、田邊さん率いるネイルサロン「Diva(ディーバ)」では、教育に力を注いで月間売上100万円を超すネイリストを数多く育て上げています。教育を重視するようになった原点とは?ネイル業界の発展を目指して、彼女が思い描く未来像と共にうかがいました。

1977年、大阪府生まれ。短大に通いながらネイルスクールで半年間学び、卒業後はエステティシャン兼ネイリストとしてサロンに勤務。2年後に独立し、23歳でエステティック&ネイルサロンをオープン。自身のサロン経営に加え、ヘアサロン「MODE K’s(モードケイズ)」ネイル部門の立ち上げにも協力。2007年に株式会社Diva設立、代表取締役に就任。現在は大阪、兵庫、奈良、東京に16店舗を展開している。2014年にはネイル業界の発展を目指して「一般社団法人Charis(カリス)」を設立し、会員サロンへ向けた勉強会を東京および大阪で開催。
http://www.naildiva.jp/

第1章ヘア業界とネイル業界、その教育環境の違いを痛感

「教育もせず、売上が伸びないのは当然です。
“私が何とかしてみせる!”ってタンカを切りました。」

田邊さんはネイリスト一本ではなく、最初はエステティックとの兼務からキャリアをスタートされたとか?

そうなんです。短大に通いつつネイルの学校は出たものの、私が働き始めた約20年前はネイリストの求人自体がほぼありませんでした。あっても経験が必要だったりして・・・。でも美容業界で働きたくて、見つけたのがエステティシャン兼ネイリストの仕事だったんです。そうしてサロンに勤めながらエステティックや脱毛などの技術も身に付けていきました。

そして23歳で独立して、ご自身のサロンをオープン。こちらはどんなサロンでしたか?

最初は、実家の一角をサロンとして利用していました。それとお客さまのところへ出張して、エステティックやネイルのメニューも提供して。最初は数回広告を出しましたが、後はリピーターやクチコミでお客さまが増えていって、25歳の頃には朝から晩までほぼ休みなく働きづめの日々に。その頃はもう実家ではなくマンションの1室をサロンにして、ネイルメニューに絞っていました。ネイルって定期的に何度もお客さまと会って、関係を深めていくことができます。それが自分には合っていると感じたんです。

リピーターの方も順調に増えていった秘訣は、ご自身では何だと思いますか?

1回目の施術では信頼を得られる「技術と接客」のあり方。そして2回目、3回目とその「信頼関係を深めていく」ことを大切にしています。技術面で言うと「いかにきれいに仕上げるか」という点を重視するネイリストさんは多いと思いますが、私の場合は「いかに素早く、1カ月持続するジェルネイルを仕上げるか」を重視してきました。自宅サロンでゆったりと何時間もかけて施術をする人もいますが、私はきちんと「90分」など時間を区切っていましたね。次もリピートしてもらうため、その場のことだけでなく「1カ月後のネイルの状態」を考えて、はがれずに持続する施術を心がけました。これってヘアも同じですよね。「サロンでカットした時から、1カ月後いかにきれいな状態でいられるか?」が大事だと思うんです。

お客さま視点に立ったサービスが、リピーターを呼んだのですね。そしてお客さまが増えたので、スタッフを雇ったという流れでしょうか?

前の職場では人間関係で悩んだこともあって、ひとりでやろうと考えて独立したものの手が回らない。それで26歳の時に初めてネイルのスタッフを雇いました。ところが最初は人を育てては辞めて・・・の繰り返し。経験を積むと「これならもう、自分ひとりでもできる」と独立を考えるスタッフが多かったんですね。それならいっそ「スタッフが全員、独立して社長になれるくらいにしっかり育てよう!」と。考え方を変えて、それが今も続いているんです。

関西を中心にヘアサロンを展開する「MODE K’s」、その「ネイル部門の教育」を手がけられたのもその頃ですか?

ちょうど同じ頃ですね。知り合いの紹介で「MODE K’s」の金井社長とお会いする機会があったんです。スタッフから信頼されている金井社長の人柄に惹かれて、それ以来とてもお世話になってきました。「MODE K’s」は美容師の教育環境がとても整っているんです。その様子を目の当たりにしたことは、ネイリストの教育の重要性を考えるきっかけになりましたね。

ところがネイルメニューを提供していた「MODE K’s」でも、当時はネイリストに対して美容師のような教育はされていませんでした。金井社長とお話する中で、「ネイリストは趣味感覚で志が低い人が多いし、売上もあまりあがらない」というようなことを言われ、カチンときて(笑)。ネイルの学校を出たとはいえサロン実務の教育をされていないのに、教育環境が整っている美容師と同じに考えるのは無茶です。「じゃあ、私がどうにかしてみせます!」って、タンカを切っていました。

具体的にはどういったことを?

月曜から土曜は自分のサロン、日曜は「MODE K’s」に出ていました。最初はスタッフの教育というより、私自身がネイルのお客さまを開拓することに。美容室に来て「ネイルもやってもらおう」と考えるお客さまがそもそもいなかったので、ヘアの順番待ちをしている方に声をかけたりして。最初はハンドマッサージを無料でさせていただきつつ、ネイルケアの紹介をしていきました。それでも時間が空いていたらサロンの掃除も引き受けて、そのうち美容師さんからも信頼してもらえるようになったんです。カット中にネイルの施術ができるように美容師さんに協力してもらったりして、次第にネイルのお客さまが増えていきました。

その後、「MODE K’s」のネイリストの教育も任されることになりました。当時は教育らしいものを受けていないし、お客さまがいなくても何か手を打つわけでもなく、ネイリストは後ろ向きな考え方の子が多かった。そんな子たちに「ほら、待っている人に声をかけておいで」って私自身がやった方法を伝えていきました。「そんなこと私にはできない」と言っていた子たちも、やらせてみるとお客さまが増えていく。「できない理由」なんていらない、とにかく行動する。そうすると最初は月に3万とか10万くらいしか売上がなかったのに、2カ月後には月60万円に。そのうち月に100万、200万というネイリストも出てきました。

すごい変化ですね!しかし月曜から土曜がご自身のサロン、日曜が「MODE K’s」では、とても忙しかったのでは?

忙しいけれど、両方楽しくて仕方がなかったんです。お客さまが増えて売上が伸びていくと、ネイリストたちも自信がつき前向きになっていく。そうしてみんながどんどん変わっていく姿がうれしくて。自分のサロンで試した教育がうまくいったら「MODE K’s」でも取り入れて・・・という感じで、両方がうまく機能していきました。

  • 独立後、自宅とは別に初めて開いたサロンでの1枚。大阪のマンションの1室を借りて営業しつつ、お客さまのもとへの出張も行うパワフルな日々

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