第2章2年かけてじっくり育てる教育体制。その理由とは?
「“プロのネイリスト”になるには、教育が欠かせません。
何より、成長して輝いている姿を見るのが好きなんです。」
現在「Diva」は、16店舗で150名ほどのスタッフを抱えています。教育は「MODE K’s」での経験を活かしたものですか?
教育体制は少しずつ変えていて、今は入社後の2年間はアシスタント期間です。月1回の社内検定をはさみながら、スパやマシーン、フットケアなど実際のサロンワークに必要なことを学んでもらいます。その間に検定をクリアするとまずネイルケアやマニキュアを担当できるマニキュアリストに昇格し、次の段階として入社から最短2年でネイリストデビューを迎えます。その後は研修や試験、面接、売上などを判断基準として副店長、店長、マネージャーとステップアップしていく仕組みです。研修などの社員教育は、「教育部」が担当しています。
「2年間のアシスタント期間」というのは手厚いですね。売上を考えると、なるべく早くお客さまを担当させたいというサロンも多いと思いますが?
私は「売上を気にして教育をおろそかにする」という考え方は、絶対にしません。経営者としてはダメかもしれませんけど、自分の利益を考えなければ何とでもなると思います。「プロのネイリスト」にするため、教育は必要です。技術だけではなく「接客力や営業力」を育んで、ネイリストとしての志を同じにしたいんです。
まずは、「教育ありき」と。
教育を重視するのは、単純に私が人を育てることが好きだからです。先ほどお話した「MODE K’s」のネイリストを教えた時のように、教育を受けることで「私にもできるんだ」と新しい自分を発見してくれる。それが喜びです。後輩スタッフが育つとライバル視する人もいるかもしれませんが、私は違います。ネイルの仕事は「個人プレイ」ではなく、アシスタントやネイリスト、管理者などが協力する「チームプレイ」だと考えているので。ですから育った後輩は、ライバルじゃなくて「共に働く仲間」です。
こう考えるようになったのは、独立後しばらくしてスタッフを雇った時の経験からです。自分ひとりから2人体制になった時、売上は2倍、3倍に増えました。仲間と一緒に働くと、後輩は先輩の姿に未来の自分を重ね合わせて成長イメージが描きやすい。私自身も仲間に刺激されて、自分を高めることができます。職場の人間関係にくたびれて独立したものの、「うれしい」とか「むかつく」とか、人がいないと感じられないものがあることに気付きました。一緒に働く仲間がいないと「がんばろう」って気持ちも湧いてこない。「嫌だ」と思う気持ちも大事で、その壁から逃げることをやめようと。その時に「人は、人によってしか磨けない」ということを、実感しました。