「白杖(はくじょう)をご利用のお客さまがご来店された」「メニューが見えにくいとおっしゃっている」…。そんな時、どうサポートすればお客さまに安心して過ごしていただけるのでしょうか。
今回は、視覚に障がいがあるお客さまがサロンで感じていること、本当に喜ばれる配慮を、お客さまのリアルな声をもとに徹底解説。明日から使えるコミュニケーションのヒントが満載です!
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「白杖(はくじょう)をご利用のお客さまがご来店された」「メニューが見えにくいとおっしゃっている」…。そんな時、どうサポートすればお客さまに安心して過ごしていただけるのでしょうか。
今回は、視覚に障がいがあるお客さまがサロンで感じていること、本当に喜ばれる配慮を、お客さまのリアルな声をもとに徹底解説。明日から使えるコミュニケーションのヒントが満載です!
「視覚障がい」とは、見えない、または見えづらいことにより、視覚からの情報取得に制限がある状態のことです。
メガネやコンタクトレンズで矯正しても、視力の弱さ、見える範囲(視野)の狭さ、光の感じ方(光覚)、色の見分け方(色覚)などに、何らかの制限がある状態を指します。
見え方や見える範囲は人によりさまざまです。「全く見えない(全盲)」方から、「見えづらい(ロービジョン)」方まで、一人ひとり全く違います。
なお、全盲の方やロービジョンの方は白杖を使うことで地面の状態や点字ブロックの導線を確認して移動します。
まずは「見え方は、一人ひとり違うんだ」と知ることが、心のこもった接客への第一歩になります。

お客さまがどんな配慮を求めているのか、アンケート結果を見ていきましょう。#3でご紹介した調査をもとに、さまざまな障がいがある方の回答の平均値と比べることで、特に視覚に障がいがあるお客さまのニーズが高い「配慮」を深掘りします!

視覚障がいの方(n=22)、全体平均(n=442)/ともに複数回答
予約時に注目したいのが、「店舗の設備が事前に明示されている」の項目です。
目からの情報が少ない分、「入口の段差はどうか」「通路の幅はどうか」といった情報を事前に入手し、店内の様子をイメージしておくことが、安心して来店するための重要な”準備”になることが分かります。


視覚障がいの方(n=22)、全体平均(n=442)/ともに複数回答
受付時やカウンセリング時のTOP3は、他の障がいがある方々と共通する、基本的な心くばりがニーズとして並んでいます。特に、1位の「安心できる待合スペース」や「荷物の預かり」からは、慣れない空間や手元の荷物などに気を使わずに安心して過ごしたい、という想いがうかがえます。
視覚に障がいがあるお客さまにとって、より特徴的で、特に高いニーズは、この後の「施術」や「会計」のシーンに表れてきます。

視覚障がいの方(n=22)、全体平均(n=442)/ともに複数回答
施術時では、ニーズの違いが最もはっきりと表れました。「障がいに応じて、施術中の伝え方を工夫してくれる」を希望する声は、半数以上のお客さまが、この点をとても重要視していることが分かります。
「今からシャンプー台を倒しますね」「サイドを3センチほど切ります」といった言葉によるご案内が、見えない方の不安を安心に変えることができます。
また、「音やにおい、照明などの刺激に配慮してくれる」も、特にニーズが高い項目の一つです。視覚で状況を把握できない(しづらい)分、突然の大きな音や強いにおいが、お客さまを驚かせたり、不安にさせてしまったりすることがあるからです。

視覚障がいの方(n=22)、全体平均(n=442)/ともに複数回答
会計時には、「キャッシュレス決済」を希望する声が特に多く、7割近い方のニーズがあります。手元が見えない、または見えにくい中でのお金のやり取りは、ご本人にとっても気を遣うもの。キャッシュレスなら、スムーズに支払いができますね。
そもそも待つ必要がないスムーズな仕組みが求められている、と読み解くこともできそうです。
前の章で見た「伝え方の工夫」や「さりげない気遣い」は、実際のサロン現場でどのように「うれしかった」とお客さまが感じているのでしょうか。


一つひとつのエピソードから、特別な設備以上に「安心して過ごしてほしい」という想いを伝えることの大切さが伝わってきますね。
次に、その想いをかたちにするための、視覚障がいのあるお客さまへの具体的なコミュニケーションのコツを5つに絞ってご紹介します。
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