先輩女性インタビュー
サロンで働く先輩女性たち
長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください!
vol.76
独立開業とFCを経て、出身サロンの幹部に。
“環境は自分でつくる”ママ美容師の生き方とは?
22年前の「LE-PLA BEAU」入社から美容師人生をスタートさせた本田さん。独立開業とフランチャイズ(FC)期間を経て、「LE-PLA BEAU」の幹部役員となり、今もサロンでハサミを握っています。結婚、出産など人生の転機が訪れるたびに、働きやすい環境を模索し、挑戦してきたからこその彩り豊かな経歴。これからの目標を「この会社で必要とされる人間であり続けたい」と語る本田さんに、お仕事観を伺いました。
Staff Data
本田恭子(ほんだきょうこ)さん 41歳
スタイリスト。LE-PLA BEAUの常務取締役で、trico店などに勤務(愛知県豊橋市)。
スタイリスト歴20年。既婚。9歳の女の子と2歳の男の子のママ。
週休2日、10:00~17:00(土日は9:00~19:00)のフルタイム勤務。
本田さんのLife History
★…ターニングポイント
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18歳
特殊メイクの仕事に興味があり、両親に進路を相談。「何か1つ、自分の頑張りを形に残してみたら?」とアドバイスされ、美容師を目指すことに。高校卒業後、美容専門学校に入学。
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19歳
★バイト先のマスターの紹介で「LE-PLA BEAU」の採用面接を受けて、入社が決定。懐の深いオーナーや、厳しいが面倒見のよい店長の指導を受け、だらしなかった自分を改心する。社会人として成長するきっかけになった。
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21歳
スタイリストデビュー。デビュー1年後に同じ店舗の先輩が全員退職し、自分が店で一番上の立場に。不安はあったが、アシスタントたちと協力して窮地を乗り越えた。
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23歳
会社が初めて大型店舗を出店し、そこへ異動となる。少人数体制からの大きな変化に戸惑い悩む後輩を、うまくサポートできずに落ち込んだことも。
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27歳
サラリーマンの彼と結婚することが決まり、会社を退職。独立して、自分のサロンを開業する。
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29歳
結婚。勤務時間は10時~19時と長めだが、日曜日を店の定休日にして、家族の時間を確保していた。
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32歳
長女を出産。産休・育休期間に自分が店を空けることで、スタッフたちの雇用が安定しなくなることに不安を抱く。そこに「LE-PLA BEAU」からフランチャイズの提案があり、提携を決意。
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35歳
「LE-PLA BEAU」のフランチャイズ店がすべて本部と合併。それに伴い、フランチャイズ店のオーナーから、本社の役員になる。
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38歳
長男を出産。2カ月間の育休を経て復帰。
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40歳~
会社が開催する「振り袖の展示会」が波に乗り、他社へ向けた研修会を行うようになる。そのサポートも、仕事の一環に。外の世界を見る機会が増え、恵まれた環境で働けていることを再認識できた。
本田さんへのインタビュー
Q. 結婚を前に一度、独立されていますが、その理由は?
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A. 店長が時短で働ける環境が、まだ整っていなかったからです。
結婚したら時短で働きたいと考えていましたが、当時はまだ、「時短社員」という労働環境がなかったのです。そのため「時短の店長」の前例もなく、店長である自分がみんなより早く帰る、という状況になるのにも耐えられませんでした。それで退職を決意し、美容師も辞めて別の仕事を探そうと考えていました。するとオーナーが、「自分でやればいいじゃん」と。事もなげに提案されたので思わず「なるほど」と思い、独立することにしたんです。
「LE-PLA BEAU」の事務所前にあった小さな空店舗にテナントとして入って、美容院を始めました。会社とは、退社後もずっとつながりがあって、前職の後輩が店の内装の手伝いに来てくれたりもしていました。
Q. ご自身が経営するサロンに託児所を設置していたそうですが、きっかけは?
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A. スタッフはみんなママ。子育てしながら働きやすい環境をつくりたかったのです。
店をオープンさせた当初、スタッフは3名いました。気心知れている昔の仲間で、ママになって職場を離れてしまった「休眠美容師」を集めたのです。中には妊娠しているスタッフもいたので、出産後の早期復帰を後押しできる託児所をつくろうと思い立ちました。お客様のための託児施設ではなく、スタッフ専用の託児所です。目先の利益を得るよりも、永続的な利益を生んでくれるスタッフたちが、安定して働ける環境をつくりたかったので。託児所のスタッフも片手間な人ではいけないと思い、保育士を雇いました。当時「LE-PLA BEAU」には託児所がなかったので、出産退社後にうちの店へ来るママスタッフもいたんですよ。
Q. 母親になったことで、仕事との向き合い方に変化はありましたか?
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A. 楽しく仕事している姿を、子どもにずっと見せていきたいです。
上の子がちょっと大きくなってきて、「なんでお母さんいつも遊んでるの?」と言うようになったんです。それを聞いて夫が、「きみが仕事に行く時に、いつも楽しそうに出ていくからだな」って。子どもがそういう風に思ってくれるなら、「楽しく働けるように頑張ろう!」って思えますよね。
それでも仕事が忙しい時には、イライラしながら家に帰って、子どもを怒ってしまうことも。子どもはまだ、それが仕事のせいだとわかっていないのが幸いです。成長してそのあたりが認識できるようになる前に、私も心を整える術を身につけていかなくてはと思います。
若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします!
出産は大きなイベントですが、出産することに照準を合わせるのではなく、出産した後をイメージすること。少し先のことを考えて動いていかないと、仕事との両立は難しいと思います。産後4カ月で復帰したいなら、どのくらいに子どもを預け始めるべきなのか。その時期に保育園が無理なら、託児所を探さなければいけないし、親に預けるなら早めの相談が必要です。仕事場でも、2カ月に1回来てくださるお客様が多い場合、4カ月休んだら2回分、他のスタイリストが担当することになります。その時にどれくらい失客するか、その後どのくらい努力すれば数字が取り戻せるか。自分で先読みして、計画を立てていく。環境は自分でつくるものです。「こうだからできない」という言い訳はせず、「こう変えたらできるかも」と考えること。そのために努力することが、長く仕事を続けるために必要なことだと思います。
Salon Data
trico【トリコ】
- アクセス
- 豊鉄バス停石巻登山口から徒歩5分
- 創業年
- 1992年
- 店舗数
- 9店舗
- 設備
- 19席 ※trico
- スタッフ数
- 15名 ※trico