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サロンオーナー必見!

人を雇ったら知っておきたい
労務のキホン

vol.9

〜労働時間を正しく知る編〜

適切な労働時間って、知ってる?

今回から、サロン経営でとても重要な労働時間の基本についてお伝えします。まずは基本の「法定労働時間」について解説してきます。
※青文字・下線が付いた箇所をクリックすると、その言葉の説明が見られます。

連載ショートストーリー

「サロンRの日常」9
  • 須多井 リスオ

    須多井 リスオ(スタイ リスオ)

    アシスタントを2年経験し、スタイリストデビューをしたばかりの23歳。「サロンR」勤務。デビューして意気揚々。オーナーも店も基本大好きで、サロンとともに成長したいとはりきっている。
  • 小尾奈 サロヒコ

    小尾奈 サロヒコ(オオナ サロヒコ)

    「サロンR」オーナー。スタイリストとして7年間別のサロンに勤務した後独立。「サロンR」を開業して3年目の33歳。スタッフを大事にしてサロンを成長させたいが、経営の知識はない。
  • 赤出 ミーコ

    赤出 ミーコ(アカデ ミーコ)

    「サロンR」に勤務するスタイリスト歴5年の須多井リスオの先輩。27歳。指名が多く、新婚で公私ともに絶好調。同僚からの信頼も厚いが、結婚を機に子どもがほしいと考え始めている。
  • 秋田センセイ

    秋田センセイ

    社会保険労務士。多数のサロンの労務管理相談を受けている、この企画の監修を担当。美容業界を他業界に負けないくらい、オーナー、スタッフともに働きやすい環境にしたいと考えている。
  • ビューティー

    ビューティー

    秋田センセイの名アシスタントの猫。先生の言いたいことを伝言するために、ここそこに現れるこの企画の陰のキーマン。サロンオーナーたちがいい経営者になることを心から願っている。
サロンRはブラック企業なのでしょうか?
POINT1

法定労働時間は1週間に40時間まで。

労働時間は法律で決まっているよ!

みなさんは「法定労働時間」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? これは労働基準法で定められた労働時間の限度のことで、原則として、「1週間に40時間、1日に8時間を超えて労働させてはいけない」とされています。
ただし特例があり、10人未満の事業場で、商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業の業種は「1週間に44時間まで」とされています。サロンは商業に入るので、10人未満のサロンの場合はこちらの適用になります。

「10人未満の事業場」って何?

「事業場」とは、サロンの場合ひとつひとつの店舗のことを指します(ひとつの事業場として独立性がある場合に限ります)。例えば、3店舗展開しているサロンで、A店は7人、B店は9人、C店は15人のスタッフが勤務している場合、A店とB店の労働時間の上限は1週間で44時間ですが、C店は40時間ということになります。この場合のスタッフには、正社員だけでなく、常勤のパートも含まれます。

POINT2

労働時間は1カ月単位で調整することも可能です。

月単位で見る考え方もあります

ポイント1を見て「うちは営業時間が10:00〜20:00だから無理!」と思った人もいるかもしれません。労働基準法では上記の通りに定められていますが、変形労働時間制という制度によって、労働時間を1カ月以内の一定の期間で調整することもできます。
例えば、1日の労働時間が8時間を超える日があっても、1カ月以内の一定期間を平均して1週当たりの労働時間がポイント1の範囲を超えていなければ労働基準法に違反していないということになります。シフト勤務や休日によって月単位で労働時間を調整できるということです。

例)1カ月が30日の月(4月、6月、9月、11月)の場合

★10人未満のサロンの例=「1週間に44時間」が法定労働時間
30日÷7日×44時間=188.5時間

★10人以上のサロンの例=「1週間に40時間」が法定労働時間
30日÷7日×40時間=171.4時間

それぞれ、その月で、マーカー部分の総労働時間を超えていなければ、1日に8時間を超える日を含んだシフトの調整ができることになります。

変形労働時間制を利用しても時間内に収まらないときは?

変形労働時間制を利用してもスタッフの勤務時間が上限の時間を超える場合は、時間外労働になります。時間外労働とはつまり残業のことで、時間外労働が発生した場合はその分の残業手当をスタッフに支払う必要があります。時間外労働については次回で詳しく解説します。

POINT3

スタッフの労働時間を把握していなければならない。

労働時間はしっかり把握!

ここまで読んで気づいた人もいると思いますが、残業代を支払うか明確にするために、「月ごとの時間外労働の有無」や、「超えている場合は何時間残業したのか」など、スタッフの労働時間をきちんと把握している必要があります。
ひとつめの方法は、タイムカードやICカードなどで、個々のスタッフの始業と終業の時間を客観的に記録すること。または、オーナーや店長などが始業と終業を確認して記録する方法もありますが、その場合は、スタッフ本人に確認してもらうとよいでしょう。

スタッフの労働時間を把握していないとどうなる?

スタッフの労働時間を把握しておらず、万が一スタッフから残業代の未払いで訴えられた場合、記録がないことで悪質と捉えられ、未払いの残業代以外にペナルティを科せられる場合があります。スタッフに残業代を支払うのは義務なので、きちんと計算できるように労働時間を把握する策を講じておきましょう。

今回のポイント

「サロンは長時間勤務が当たり前」と思われていた時代もありますが、今は働きやすい環境がなければ求人も難しい時代です。法定労働時間や変形労働時間制にのっとった時間内で勤務させることがベストですが、時間外労働が発生する場合は残業代をきちんと払うことが前提です。

次号では、時間外労働について解説する予定です。

秋田繁樹さん

監修

特定社会保険労務士

秋田繁樹さん

プロフィール:

社会保険労務士法人 秋田国際人事総研代表。東京都社会保険労務士会所属。国内大手生命保険会社、大手企業のシステムインテグレーターなどを経て、独立開業。人事労務のスペシャリストとして、多店舗展開の美容室の労務管理や就業規則・社内規定などにも詳しく、多数の美容室の指導相談に当たっている。http://www.akita-sr.com/

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