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女性が活躍するサロン

女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣

結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。

vol.516名中4名がママ、日祝定休、夕方閉店。
アシスタントなしでも売り上げが伸びるサロンの秘密とは?

Natural

宮城県多賀城市

仙台市のお隣、緑豊かな多賀城市の郊外にある一軒家サロン「Natural(ナチュラル)」。スタッフは全員既婚でキャリア10年以上、うち4人がママというこの店舗は、雑誌「宮城の一流店大図鑑」でも紹介された実力派サロンです。主婦でもあるスタッフの生活を優先した営業時間ながら、多くの大人女性の支持を集め、業績を上げてきた秘密は何なのでしょうか。オーナーの伊藤博之さんに、サロンづくりの工夫について聞きました。

1取り組み

主婦の生活サイクルに合わせてサロンを営業。
日祝定休、8:30開店で最終受付は16:30までに。

どんな取り組み?

通常なら集客を見込める日曜日と祝日をサロンの完全定休日とし、営業は平日と土曜日のみに限定。また、朝は早めの8:30にオープンし、最終受付時間を「カット16:30」「カラー16:00」「カット&カラー15:30」などと設定している。最後のお客さまが帰った時点で閉店するため残業はなく、早い日は16:30で終了。遅くとも18:00までには、必ずスタッフ全員が帰れるようにしている。

背景とメリットは?

「美容という職業を通してそれぞれが選んだ人生を充実させて欲しい」という思いから、福利厚生の充実とともに伊藤さんが重視したのが、全員が余裕を持って勤務できる営業スタイルだ。特に育児中のスタッフにとっては、早くサロンを上がれることで保育園の送り迎えがしやすい。週末の学校行事にも心おきなく参加できる。
「加えて、平日の日中に営業し、主婦が忙しくなる夕刻にサッと営業を終えることは“大人女性が日常を忘れるちょっと贅沢なサロン”という明確なメッセージ。店の特徴として打ち出すこともできました」と伊藤さん。主婦のお客さまからも「朝の家事が一段落した8:30から来店できれば、午後の時間を有効に使うことができてうれしい」という声があるそう。サロンで働くスタッフと生活時間が重なる客層を重点的に呼び込んだからこそ、実現できたことだ。

「常に変わる女性の価値観に気づき、まだまだより良い環境を創っていきたい」と話す伊藤さん

「常に変わる女性の価値観に気づき、まだまだより良い環境を創っていきたい」と話す伊藤さん

2取り組み

エイジングケアに的を絞った技術の取得や
アシスタントを置かないことでスタッフの負担を軽減。

どんな取り組み?

新しい技術や資格を取り入れるときは、美容界のトレンドやモードを追わないと決めている。徹底して顧客が求める「エイジングケア」のテーマに絞り込み、営業時間を使って勉強している。また、スタッフはスタイリストのみで最初からアシスタントは置かない方針。接客は最初から最後までほぼマンツーマンで行っている。

背景とメリットは?

限られた営業時間内でスタッフがスキルアップするには、手を広げすぎないことが大切だ。サロンでは明確に大人女性をターゲットにしているので、ダメージケアやスカルプケアなど、エイジングの悩みに応える技術を掘り下げることに集中。時間を効率よく使い、スタッフの負担を減らしている。結果として、エイジングケアの充実に魅力を感じ、通い続ける常連客も増えてきた。
また、アシスタントはいれば助かるが、先輩スタイリストとして彼らに教えなければならなくなるため、時間内に仕事をきっちり終わらせたい場合はかえって負担になる。それよりはベテランが同等の立場でお互いにサポートするほうが、効率がいいと考え割り切っている。お客さまのほうも、ひとりのスタイリストが最初から最後までマンツーマンで対応してくれることで、満足感が高まる。このように、経験と技術のあるスタッフが必要な仕事のみに集中でき、持てる能力を発揮できるようにするため、サロンとして可能な限り労力を減らすよう工夫している。

オーナーの伊藤さんは、ママスタッフの高橋奈美さんと一緒に、イタリア発の高級オーガニックカラーの資格を取得した

オーナーの伊藤さんは、ママスタッフの高橋奈美さんと一緒に、イタリア発の高級オーガニックカラーの資格を取得した

3取り組み

ママスタッフに対して毎月「子育て応援手当」を支給。

どんな取り組み?

小学校就学前の子どもがいる社員に、月々3,000円程度の「子育て応援手当」を支給している。今後は「小学校卒業まで」「中学校卒業まで」と期間を延ばしていき、将来的には子どもが18歳になるまで支給できるようにしたいと考えている。

取り組みの背景は?

現在、女性スタッフには店長経験者が3人もいる。かつては人の上に立ち、バリバリと仕事をこなしてきたベテランが働き方をペースダウンすると、第一線から退いたような気持ちになってしまい、スタイリストとして自信をなくしてしまうこともあるという。「でも決してそんなことはないんです。主婦としてママとして、職場ではプロとしてがんばっていることは素晴らしい」(伊藤さん)。オーナーとして「自分をもっと誇りに思って欲しい」という応援の気持ちを少しでも形にしたいと考え、今年から導入した制度だ。
ママががんばってきた足跡として価値のあるお金になるように、できれば家計ではなく、子どもの学資保険や貯金にあてて欲しいというのが伊藤さんの願いだ。

サロンのイベントでは全員が家族のよう。スタッフの子どもたち同士も自然と仲良しになる

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オーナーインタビュー

福島県郡山市にある、大型のデザイナーズサロンでスタイリスト・店長を経て独立した伊藤さん。「次は自分ではなく、スタッフを輝かせるプロデュースがしたい」と、新天地の多賀城市でサロン経営に乗り出した

Q. なぜ女性スタッフを応援するサロンを作ろうと考えたんですか?

A. 仕事が好きなのにやめてしまう美容師がたくさんいたからです。

これまで、キャリアも技術もあって仕事が大好きなのに、環境がなかったために美容師をやめた女性の話をたくさん聞いてきました。そして、単純に環境さえあれば長く活躍できるのだと考えました。実現できれば本人はもちろん、お客さまにもお店にとってもうれしいことです。
また、前職の社長がそういう取り組みに熱心な方で、その背中に憧れたのも理由のひとつ。今、美容師人口は45〜46万人といわれますが、資格を持っているのに働いていない「休眠美容師」が70万人もいるそうです。そんな美容師が活躍できれば「0」から「1」を生み出すことができる。クリエイティブなコンテストに出たり、アシスタントを教育するのも素晴らしいこと。でもそれはほかの人に任せて、僕は僕のできることで、美容師の活躍の場をプロデュースしたいと考えました。

 

Q. 他社とは違う割り切った経営ですが、売り上げに影響はありませんか?

A. 価値観を共有するお客さまが増え、手応えとやりがいを感じています。

女性が働きやすいサロンを目指すには、「どんな集客をするか」「どんなスタッフを募集するか」という根本的なコンセプトから練る必要がありました。主力となって欲しいのはキャリアのあるスタイリスト。ひとりの女性の顔を持ちながら、現場では本物のプロフェッショナルで、豊富な経験を通じてお客さまに多彩な提案ができます。彼女たちが力を発揮し、限られた時間で売り上げをあげるには、贅沢な時間を楽しみたい女性に来て欲しい。そのためには技術だけでなく、空気感も提供しようと考えました。
当店ではひとりで待てないお子さまの同伴をお断りしていますが、それも「大人のちょっぴり贅沢な時間」というコンセプトに共感してくれるお客さまのため。新規のお客さまに割引きをしないのも、価値を認めてくださる方を大切にしたいからです。結果、少しずつですが数字にも表れてきています。
今後の課題は今の価値観を広げすぎることなく、スタッフの福利厚生をいかに充実させるか。オープンから手探りの連続ですが、全員でチャレンジすることにやりがいを感じています。

Salon Data

Natural【ナチュラル】

アクセス
JR仙石線中野栄駅から徒歩15分
創業年
2014年
店舗数
1店舗
設備
セット面8席
スタッフ数
スタイリスト6名
URL
http://beauty.hotpepper.jp/slnH000081499/
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