先輩女性インタビュー
サロンで働く先輩女性たち
長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください!
vol.11
これからが第2ステップ!
子供とお店がくれた「伸びる力」。
憧れの有名サロンに入り、厳しい修業を乗り越え、25歳で人気スタイリストに。板垣さんが妊娠したのはまさに「これから」というその時でした。子育てもがんばりたいけど、美容師も続けたい。どちらもがんばり続けることに限界を感じていたある日、運命の女神が微笑みかけます。2人の男の子を育てながら、活躍の幅を広げている板垣さんにその道のりを伺いました。
Staff Data
板垣佳子(いたがきよしこ)さん 36歳
スタイリスト。
RHYTHM勤務(東京都渋谷区)
スタイリスト歴11年。9歳と6歳の男の子のママ。
同店のオープニングスタッフとして参加。
定休日と日曜の週休2日、フレックスタイム制で勤務。
サロンでは「ママの日」や新メニューの開発も担当している。
板垣さんのLife History
★…ターニングポイント
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20歳
希望のサロンに入れず、大手サロンに入社。
働きながらも、こっそり就活を続ける。 -
21歳
憧れのサロン、表参道「gokan(ゴカン)」に移る。
夜中まで店に残って、練習に励む日々。 -
25歳
ジュニアスタイリストを経て、4年目でスタイリストデビュー。
仕事の波に乗り、サロンワークだけでなく、休日はオーナーについて地方の講習に駆け回る日々。
寝なくても働けるぐらい体力があり、尖っていて強気だった。 -
26歳
デビュー1年目で指名客が月120名に。過去最高記録と言われる。
充実していた時期に妊娠が分かり、結婚。
産休の前例がなかったが、「続けたい」という想いで上司に相談。お店の理解は得られたが、自分の中で「できる範囲」がうまくつかめず、臨月まで休まずに時短で働く。 -
27歳
第1子出産。産後1カ月半で復帰。「ブランクを取り戻さないと」という焦りがあり、休むのが不安だった。
親も近くにおらず、平日は夫の帰宅後に出勤して閉店まで、お客さまが集中する土日は夫やシッターさんに子供を見てもらいながら働く。 -
29歳
★第2子出産。サロンに復帰するものの、保育園に入れず周囲にも頼れない状況に。
子育てとの両立にひとりで悩みながらも、仕事を続ける。 -
31歳
サロンを辞め、知人のサロンで場所を借りる「面貸し」で働き始める。
働き方に悩んでいた時期に、出店を計画中の佐藤さんと出会う。話を聞き、即日一緒にやることを決心。
オープニングスタッフとしてサロンづくりに携わる。 -
36歳~
サロンワークのほか、新メニューの開発や「ママの日」、後輩のレッスンなどを担当。プライベートも含め、今までの様々な経験を活かして、「外見だけでなく、内面もきれいになれるお手伝い」をするための美容にチャレンジ中。
※「ママの日」:ママがゆっくりサロンに来られる取り組みをしている日
板垣さんへのインタビュー
Q. 厳しいアシスタント修業。どうやって乗り越えた?
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A. 弱音は吐けなかったけれど、同僚と上司の言葉でがんばれた。
「gokan」に入って1年目が本当に厳しくて、心が折れそうになっていたんです。そのときに「辞めたいと思ってる?」と声を掛けてくれた同僚がいて。正直に「美容師は辞めたくないけど、このお店は辞めなきゃいけないんだと思ってる」と答えたら、「辞めたくないならがんばって。見てるから」と。それからは私が仕事で失敗しないように、自分の仕事もあるのにずっと見守ってくれたんです。
あとは普段は何も言わない上の人が、「僕は上の立場だから、何が良くて何が悪いか、公平な目で見られるつもり。何かあったらちゃんと言いな」と言ってくれて。だからといって弱音は吐けなかったけど、その言葉でがんばれました。私もそういうことが言える先輩になりたいなって思うし、いろんなところで人に助けてもらって乗り越えられたと思っています。
厳しい時代だったから追いつめられたこともあるけど、支えてくれた人もいて、だから育ててくれた環境に感謝しています。
Q. 働き方を変えようと思ったきっかけは?
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A. 第2子出産後、誰にも頼れず赤字に。
両立は諦めるしかなかった。美容師人生をまさに「突っ走って」いたときに妊娠。お店に産休の前例もなく休むのが不安で。第1子のときは頼れる親も近くにいない中で、四苦八苦しながら3カ月で復帰しました。
第2子出産後は周りの協力も得られない状況で、本当にひとりでやりくりするしかなくて。保育園にも1年入れず、シッターさんを雇ってお店に出ようとすると赤字だったんです。そのときが一番、美容師を続けていくモチベーションが下がっていたと思います。
そうなる前にもっと上の人に相談すればよかったんですが、言えなくて。お店もいろんな働き方を提示してくれたんですが、相談したときにはもう辞めて、マイペースに子育てをしようと決めていました。今、思えば、私がそこで産休や時短の道をつくった方が、お店にとっては良かったんだと思います。
Q. オーナーと2人でお店をオープン。感謝していることは?
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A. 自由がきかない私を受け入れて、
やりたいことを応援してくれること。オープン時は今よりもっと子育てが忙しい時期だったんですが、それを受け入れてくれてとても助けられました。特別な勤務体制なのでお互いがちゃんと理解していないとギスギスしてしまう。でもすごくよく話を聞いてくれて、「私がきちんとやっていける可能な範囲」というのを理解してくれています。そういう人に出会えたのは本当に大きかったです。
もうひとつは、一緒に働いていて、オーナーのお客さまに対する姿勢やお店づくりなど勉強になることが多く、自分が成長できること。お母さんがゆったり来られる「ママの日」の企画もそうですが、私がやりたいことを前向きに捉えてくれるので、「あ、がんばろう!」と思えるんです。
あとは、お店で働くことで、レッスン等を通じて若い人たちのエネルギッシュさや純粋に美容を学ぶ姿勢に触れられること。ライバル心ではないけれど、「自分も伸びていかなきゃ、くたびれている場合じゃない!」と思えます(笑)。
もうすぐオープンして丸4年。体力的な限界はあるし、子供のこともしっかり考えていきたいんですが、これからが第2のステップ。今の過ごし方で40代が決まると思っています。子供が育ってくれたというのも大きくて、気持ちは以前に戻せてます。若さはないけど、挑戦していくエネルギーはたっぷりあります!
若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします!
光は必ず来ますよ! だからいろいろあると思うけれど、どこかに出口は必ずあるので、諦めないことです。もちろん、そこが自分の目指す場所でなければ、無理にがんばり続けることはないし、本当におかしな環境だったら逃げることも大事だと思います。
でも、「がんばって抜け出したら違った景色が見える」というのが、私の場合はまさにその通りで。苦しいと思っていたときに光がさして、出口が見えて。いろんなことが客観的に見られるようになったとき、自分がすごく成長できたんだなって思ったんです。
あとは苦しいときにひとりでがんばらないで、誰かに助けてもらうこと。助けてくれる人は必ずいるので、もしお店にいなかったら、外でもいいから話を聞いてもらって。自分の「がんばろう」という気持ちを大切に、もっとみんなのことを頼ってください。
Salon Data
RHYTHM【リズム】
- アクセス
- 銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A1出口から徒歩6分
- 創業年
- 2011年
- 店舗数
- 1店舗
- 設備
- 5席
- スタッフ数
- 6名(うちスタイリスト4名、アシスタント2名)