イノベーターが
見ている未来
vol.85
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
カラダファクトリー
代表取締役会長兼社長 村田 尋一さん
カラダファクトリーは店舗数360を超え、整体チェーンとして国内トップ。創業20周年を迎える節目、またコロナ禍という2020年のタイミングで代表に就任した村田さん。『本社ががんばると、現場の仕事が増える』という言葉に象徴されるように、現場のリアルを知り尽くした村田さんが考える構想とは?
1964年、北海道生まれ。1983年株式会社ソシエ・ワールドに新卒入社。ヘアートップスタイリストでの技術職、取締役営業本部長を経て、2015年6月に株式会社ソシエ・ワールド代表取締役社長、2019年10月株式会社ソシエ・ワールド取締役会長就任。2020年3月31日退任。2020年4月1日より現職。
・「株式会社ファクトリージャパングループ」コーポレートサイト
https://factoryjapan.jp/
第1章「現場」第一主義
「お客さまに集中できる環境を。
仕事は“引き算”で、効率化」
村田さんは、2020年に着任されました。コロナ禍で、大変だったのではないでしょうか?
予定していたことが、ほぼできなくなってしまいました。店舗の大半がショッピングセンターに入っているので、休業もあり…。そのなかで、従業員の雇用を守る、給料を保障する、ということを念頭に、舵取りをしました。
少しメドがついてきたとき、やっと現場に目を向けることができて。2020年の夏くらいから、全国の店舗を一軒一軒まわりました。
はじめましての挨拶と、「大変な時期だけど、心配ないよ。一緒にがんばろう」ということを伝えたかったんです。
ジャマになってはいけないので、基本的に店内でお客さまとお会いしないようにしているのですが…。ある店舗をまわって帰ろうとしたとき、一人のお客さまに声をかけられたんです。「こちらのお店、なくならないわよね?なくなったら困ります」と。コロナ禍で、お客さまも不安にさせてしまったのかもしれません。あらためて「現場を大切にしよう」と、実感したできごとでした。
現場(店舗)に直接行ったからこそできた、貴重な体験ですね。
私自身、技術職出身なこともあり、「現場」の気持ちはわかるつもりです。どの会社でもありがちなのは、「本社がやってくれない」という不満が現場から出ること。逆に、本社ががんばると、現場の仕事が増える…という話もよく聞きますよね。
お店をまわっていると、やはり「やることが多い」と感じました。そこで、本社には「現場の仕事は、1足したら、2を引くイメージで」と、お願いしました。つまり“引き算”の作業です。大変な状況のときって、ついつい「あれも、これも」と仕事を増やし、結果的に現場の仕事が“足し算”ばかりになってしまうので。
「やることと、やらないことを決める」「1回決めたらやりきる」ということを、モニタリングして仕組み化しました。もちろん、それまでもみんな、すごくがんばってくれていました。その“がんばり方を変化させて、効率化を図る”ということです。
効率化の観点で、ほかに行ったことは?
メールの数とかもそうですよね。本社・教育部・担当マネージャー…それぞれからメールがいくので、現場で確認しなければいけない量が多い。それを指摘すると、「前も改善しました」とみんな言うんです。それが、フタを開けると戻ってしまう…。なので常に、「本当に効率化できてる?みんなラクになってる?」というのは、確認しています。
資料も、出てくる紙の大きさや、部署によって枚数が違うと非効率ですよね。たとえば、会議資料は「A4サイズ・3枚まで」と決めると、「いかに短い時間で伝えるか」と考えるクセができる。みんなの時間だけではなく、紙代の節約にもなります。
スタッフには、お客さまに喜んでいただけるサービスに集中してほしい。それが、すべてです。効率化を図ることで、お客さまへのサービスに目を向けることができ、顧客満足にもつながったのだと思います。
それらが功を奏したのでしょうか。2021年の出店はプラスだったとか?
我々の整体技術が、ビジネスモデルとして強かったこともあると思います。技術を実感してもらえ、お客さまが戻ってきてくださいました。
当社のサービスが必要と感じていただけたからこそ、コロナ禍前(2019年)との比較で、2021年の店舗数は国内でプラス23店舗出店することができました。
徹底した現場ファーストで、目指すは500店舗。
創業21年目、カラダファクトリーが目指す先。