お客さまに支持されたサロンを表彰する日本最大級のアワード、「HOT PEPPER Beauty AWARD」。「GOLD Prize」「SILVER Prize」受賞サロン、または「注目サロン」に選出されたサロンへのインタビュー。取り組みや受賞の秘訣をうかがいます。
本質的な「髪質改善」の提案で、
リピート率UP&店販比率18%!
un 溝の口【アン ミゾノクチ】
HOT PEPPER Beauty AWARD 2022 「注目サロン」選出
昨今、美容室の人気ワードである「髪質改善」。神奈川県・溝の口にある「un」も髪質改善を前面に出し、集客効果を上げている。そこにあったのは「流行っているから」という表面的なものではなく、「真にお客さまのためを思って」という本質的な提案。それが、満足度アップ&リピーター獲得につながっていた。
https://beauty.hotpepper.jp/slnH000465734/CONCEPT
こだわりの髪質改善&骨格補正カットが得意。お客さま一人ひとりに合わせて、毎日扱いやすいヘアスタイルを提案している。
AWARD受賞・
売上アップに向けた
取り組み
「髪質改善」に、こだわる理由
緻密な「カウンセリング」で、リピート率UP
お客さまのことを考えてこその「店販」
「髪質改善」に、こだわる理由
HOT PEPPER Beauty上では、至るところでミルボンのヘアケアアイテムシリーズ「オージュア」を前面に打ち出している。
「クーポン」は、どんなメニューにも基本的にはオージュアを組み込み、「こだわり」ページでは、オージュアの効能を丁寧に説明している。
オーナーの久保さんは、その理由をこう語る。
『オージュアを、すべてのお客さまに使ってほしいからです。僕も長年サロンで使ってきて、その効果に信頼を置いています。売上のため、ではありません。もちろんそれも大事ですが、一番の目的は、お客さまの髪質を良い状態にしたいから。
カットでどんなにいいデザインをつくったとしても、髪質の状態が良くないとスタイルが決まらない。なので、お客さまには常に“本格的な髪質改善をしましょう”と伝えています。』
HOT PEPPER Beautyの「こだわり」ページ
緻密な「カウンセリング」で、リピート率UP
unで大切にしているのが「カウンセリング」。久保さんは、現在44歳。お客さまの約半数が10年以上通ってくださる方で、20年近い付き合いの方も少なくない。それでも来店の度に、必ずカウンセリングを行う。
スタッフも同様だ。久保さんがカウンセリング教育で伝えているのは、まず「お客さまの希望を絶対に否定しない。聞き手となって、お客さまの“なりたい”に耳をかたむけ、認める。そのうえで提案をする」ということ。
お客さまの希望するスタイルが、髪質や骨格の問題などで難しいとしたら…。
たとえば、「それもデザインとして素敵ですよね。顔まわりの毛をもう少し長くすると、より素敵になりそうですね」という、“プラスの言葉”だけを使い提案する。
そうすることで、売上も、リピート率も変わってくるという。
また、スタッフには「対人分析」もレクチャー。スローなお客さまに、早口で話してしまったら圧迫感を与えてしまう。逆に、せっかちなお客さまには、そのスピードに合わせることで、心地よく感じてもらえる…といった具合だ。
それらを、スタッフ同士でロープレ(ロールプレイング:実際に近い疑似場面を想定し、スタイリスト役・お客さま役を演じることで、スキルを身に付ける研修)をメインに特訓するという。
HOT PEPPER Beautyの「口コミ」からも、カウンセリング&ホームケアを含めたトリートメント提案への満足度がうかがえる
お客さまのことを考えてこその「店販」
一般的なヘアサロンでの店販比率は売上の5%前後とも言われるなか、unでは約18%を誇る。
久保さん『美容師が家でもサポートできたらいいけれど、そういうわけにはいきませんよね?お客さまと一緒に帰れるのは、商品だけ。サロンでのヘアデザインをキープするため、また髪にダメージを与えないために、家でもいいトリートメント・セット剤を使ってほしい』との想いから、オージュアの店販も積極的に案内。
久保さんは、「今日のヘアデザインと髪質・季節でいうと、オススメはこのシャンプー・トリートメントです」と、ストレートに伝えることもある。
久保さん以上に店販比率が高いスタッフも。特別なことをしているわけではないと言うが、“10人お客さまがいたら、10人に絶対紹介する”という基本を怠らないそう。
ただ、お客さまにとっての“逃げ道”を、あえてつくっている。それは「退店に近い時間で、店販の案内をしない」こと。お客さまが断りづらかったり、気まずい思いをしないように、という配慮からだ。カラーの放置中などに説明し、もし興味を持ってくれれば、お客さまのほうから絶対に会計時に言ってくれる、と自信を持つ。
オーナーインタビュー
久保 宏育さん
1990年生まれ。2001年、東京・表参道の「PEEK-A-BOO」入社。2008年、東京・尾山台に自身のヘアサロン「gimmick(ギミック)」をオープン。現在は「un」ブランドと合わせて、計4店舗を展開。サロンワークを続ける傍ら、その卓越したカット技術で、セミナー講師としても引く手あまた。
ー長年通ってくださっているお客さまにも、カウンセリングは欠かさないとのこと。どのように、お声がけしますか?
まず、悩みがないかをきちんと聞きます。前回から、ある程度時間が経っているので「今日の髪の状態で、嫌なところや気になるところはありませんか?」と。
「白髪がすぐに出てきてしまう」などは仕方がないことかもしれませんが、カットやパーマで解決できることもあります。
もちろん、なかには「毎回聞かなくていい」と感じる方もいると思います。それは、先ほどお話した「対人分析」で察するようにして、季節の変わり目などタイミングを見て、お声がけします。
髪のクセや、その方のライフスタイルによって「春と秋」に聞く場合、はたまた「真夏と真冬」に聞くことも…。僕は、リピーターさんがほとんどなので、すべてのお客さまとの会話、髪の状態は記憶しています。
社外セミナーでカット講習を行う久保さん。日本全国、年40回ほど行うという
ー久保さんは、有名サロン出身で技術力にも長けています。スタッフのみなさんには、どのように教えていますか?
unは、中途採用のスタッフが多いんです。それぞれのサロンからきているので、いろんな技術がまじっている。なので、僕が直接カットの勉強会などを開くことが多いです。
技術以外の接客の部分も、みんなで磨き続けています。この10月に、ミーティングができるオフィスを新設したんです。ホワイトボードもあるので、ディスカッションしながら話し合うこともできそうです。
ー離職率が低いとのことですが?
「un 溝の口店」は、2019年のオープン以来、離職ゼロですね。 秘訣は…うーん、なんでだろう?よくわかりません(笑)。うちより、お給料がいいところは、いっぱいあるし。僕はただ、スタッフに感謝しかないです。
ーお給料は、どのように設定していますか?
出勤日数や売上によりますが、完全週休2日の場合、最低保証・月33万円。一番売上をあげているスタッフで、月70万円ちょっとでしょうか。
ーすごいですね!
うちがすごいのでは、ありません。スタッフが、すごいだけです。サロンワークでは売上で結果を出し、幹部として会社のことを手伝ってくれたりと。
ー働き方も、柔軟に応じてくれるとか?
週1からでもOKです。子どもを保育園に預けたり、いろんなスタッフがいるので。それを拒否するメリットは、ひとつもありません。
それでもいいから、うちの仲間でいて欲しい。
その子たちの未来、仮に60代・70代になってハサミを置いたとしても、面倒をみられるサロンになることが目標。書類に目を通す仕事など、その歳になってもできる仕事を用意して、安心して老後が過ごせる給料は出してあげたいですね。
スタッフのキャリアパスを広げるためにも、今後も店舗展開を進めていきたいです。
取材レポート
「その人のためを思ってこそ」は、対:お客さまだけではありませんでした。
スタッフの老後まで、面倒をみたいと語った久保さん。
『言葉にすると、“きれいごと”に聞こえてしまうかもしれませんが…。
一緒に歩んでくれるなら、最後まで一緒にやりたい。それだけです。』
その想いが、スタッフのみなさんにも伝わっているのでしょう。
離職がない理由が、わかった気がしました。
un 溝の口【アン ミゾノクチ】
- アクセス
- 神奈川県川崎市高津区溝口2-16-19
- 創業年
- 2019年(un 溝の口店)
- 店舗数
- 4店舗
- 設備
- セット面9席
- スタッフ数
- スタイリスト9名