高知県南国市の住宅街にある「YU-SEN（ユーセン）」は、アロマオイルを使った施術を得意とするリラクゼーションサロン。郊外、そして住宅街に位置するサロンならではの「クーポン」価格の設定！客単価UPに成功し、それによって可能になった手厚い待遇とは？

クーポンの工夫で、客単価が1,000円UP

すべて個室での施術。ベッドは温かくなるので、冷えで悩む方にも◎。間接照明＆ヒーリングミュージックが流れる空間で、心からリラックスできる

ー最初に、HOT PEPPER Beautyの「クーポン」で心がけていることを教えてください。

クーポン名を見れば、「施術内容・所要時間」がパッとわかるようにしています。あとは、「コスパがいい」と感じてもらうこと。アジアンテイストの内装、個室での施術、100種類ものアロマオイルから好きな3つを選べる、こだわりハーブティーの提供など、“価格以上のサービス”であることが伝わるように写真・文言を工夫しています。

ーアロマが100種類から選べるのは、うれしいですね！

実は、100種類用意していても、使われるのは大体30くらいなんです。でも、そこは「ムダを大事にしたい」。ほかのサロンがしないこと、つまり差別化ですね。実際、このサービスは「次に来たときはこのアロマにしたい！」と、リピーターの方に好評です。

丁寧にカウンセリングをしながら、一人ひとりに合ったアロマの提案もしてくれる。香りによる癒し効果はもちろん、頭痛、不眠、ホルモンバランスの乱れといった不調の改善にも期待できるそう

ー需要に応じて価格を変える、いわゆる「ダイナミックプライシング」を取り入れたとか？

はい。僕は神戸でもサロンを経営していますが、人口が多く繁華街にある神戸であれば、一律価格を上げても、お客さまはついてきてくれました。でも、高知という地方で、それは難しいかなと…。

高知南国店は、以前から土日はあふれてしまうくらいの予約があったんですが、平日はそこまで埋まっていなかった。なので、土日の価格を上げて、平日を下げました。それによって、平均客単価が5,500円から6,500円まで上がりました。

HOT PEPPER Beautyのクーポンページより。「平日」であれば、お得になるクーポンを用意した

高知南国店は、住宅街の中にある一軒家に佇む。近くにゴルフ場があり、プロゴルファーのお客さまにも愛されている

客単価UP→スタッフ待遇面の向上に！

ー価格変更について、お客さまの反応はいかがでしたか？

HOT PEPPER Beautyの「メッセージ配信機能」を使って、事前にお知らせをしました。

今まで土日に来ていた方でも、平日に来れる場合はスライドしてくださる方が結構いました。住宅街という立地柄、平日来店でも可能な主婦の方が多かったのも、功を奏したと思います。一方で、土日にしか来店できないお客さまの中には、一定数離れてしまった方もいらっしゃいます。ただ、スタッフの給与UP、そしてセラピストの地位向上にもつながることなので、経営者として価格改定の判断に至りました。

ー根底に「スタッフの給与を上げたい」という想いが、あるのですね。

そうですね。客単価が上がり、スタッフ一人ひとりの売上も伸びたことで、給与UPを実現。さらに、年間休日112日・徹底した研修サポートといった環境も用意することができて、離職率もかなり減りました。

また、それまでは平日と土日で忙しさに差があったのが、集客が平均化したことで、スタッフの休憩も取りやすくなりましたね。

アロママッサージ・アロマリンパマッサージのほか、ヘッドスパ、足ツボなど多彩なメニュー。美容師・エステティシャン・アイデザイナーからの転職も歓迎している

手厚い研修を用意するワケ

ー先ほど、「徹底した研修サポートがある」とのことでしたが？

2022年から、研修スクール「リイロセラピストアカデミー」をスタートしました。自社スタッフだけではなく、他サロンの方も受講できます。

「YU-SEN」に入社したらまずそこで、さまざまなカリキュラムを受けてもらいます。高いレベルでの技術・接客はもちろん、“セラピストの体を痛めない”という理論に基づいた研修内容になっています。

セラピストは、体力仕事。ただ力任せに押していると、腰や手首を痛めてしまいます。なので、施術中の立ち位置や姿勢、体重の乗せ方など、体の負担を軽減するための施術方法を徹底的に教え込みます。

しっかりした研修があることで求人の応募も多く、20～30名くらいあるでしょうか。そのうち、数名しか採用できないのですが、ありがたいですよね。面接でも、「研修内容」についての質問が目立ちます。

少人数またはマンツーマンでの講座なので、初心者の方でも安心して受講できる。逆にセラピスト未経験のほうが、今までのクセがついていない分、習得がはやい場合もあるという

「長く働く」を叶えるために

ースクールは神戸・元町にあるとのことですが、高知の店舗でスタッフを採用した場合は？

スクールはオンライン受講もありますが、基本的に自サロンのスタッフには、会社が交通費・宿泊費を負担し、リアルでの研修を約半年間、受けてもらいます。研修期間中も、もちろん給料は発生します。高知で2人採用した場合などは、逆に神戸から講師に来てもらうことも。

ーいずれにしても、結構な投資ですね。

丸一年働いてもらって、やっとトントンかな…という感じ（笑）。でも、目先のことだけではなく、会社として「教育」には投資すべきだと考えています。

自社でスクールを運営するのは、スタッフのキャリアアップのためでもあります。ずっとセラピストとしてやっていきたい人もいますが、そうでない場合、スクール講師というステージも提示できるので。

今、産休に入っているスタッフがいますが、しばらくセラピストを休むと不安ですよね。指が震えたり、スピードが遅くなっていることもあるんです。そういった場合も、復帰前にスクールで研修を受けられます。

ー それは安心ですね。最後に、今後の構想を教えてください。

セラピストの地位向上のためにも、「リイロセラピストアカデミー」を使って教育をしてくれるサロンを、もっと増やしたいと思っています。

リラクゼーション業界に携わって、約15年。30代・40代で体が悲鳴を上げて、辞めざるを得なくなってしまったセラピストを、たくさん見てきました。

最初にきちんとした技術教育を受ければ、自分の体を痛めない施術ができる。キャリアアップしながら長く活躍できるセラピストを増やすことが、目標です。