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美容業界に関する情報・調査を集めた「Beauty総研」サイトに過去掲載されていたインタビュー記事をご紹介いたします。

ヘアサロン領域

2013.11.05

200坪という日本最大級のヘアサロンを2006年にオープンさせて以来、デザイン性の高さとファンの多さで、常に進化を続けるGARDEN。今年は銀座にRamie (ラミエ)という新ブランド店をオープンし、下半期にはニューヨーク出店も控えています。スタッフ数164人。名実ともに美容業界をリードするこのサロンを率いる須崎さんに、「個と組織」の関わりについて伺いました。そこには、「ひとつの方向に定めない」「スリム化しない」という、GARDEN流のオリジナル哲学がありました。

PROFILE

須崎 勝己

須崎勝己 すざき・かつき
2006年森内雅樹、加藤敏行両氏と共に「GARDEN」を東京・原宿に設立。
サロン面積200坪、セット面40面、シャンプー台24台という広大なスケールにて日本でも類をみないのサロンを成功させる。
2008年には銀座に「drive for garden」をOPEN。
2010年には森内氏のプライベートブランド「Un ami」を表参道にオープン。
2012年4月にはGARDENのリニューアルと共に、世界へ向かう新たな旗艦店として「GARDEN Tokyo」を銀座中央通りにOPEN。11月には、同じく銀座にdrive for gardenが移転リニューアルOPEN。
2013年9月には、新大人世代に向けた新ブランド「Ramie」を銀座並木通りにOPEN。

ビューティーを幅広い視点からとらえた鋭い発想は、美容という枠を超え草分け的存在として常に注目を浴びる。今までの枠にとらわれないブランディングとビジネスモデルで、これからの美容のあり方、豊かさ、美容の可能性を追求し続け、日本を代表するビューティーブランドを目指す。現在は、第一線に立ちながらも、セミナー活動、サロンプロデュースなど多岐にわたり活動する。

|第4章|独立という道、組織で夢を叶えるという道

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野嶋 先ほどのお話にあった、Ramieという新しいサロンが銀座にでき、次はいよいよニューヨークですね。独立を選ぶのではなく、仲間のまま大きくなっていくというのは、独立が多いこの業界への須崎さんなりのアンチテーゼのようにも見えます。

須崎 独立する人のうち、ずっと自分のお店が持ちたくて独立するというのは、恐らく3割ぐらいしかいないと思うんです。あとの7割は、きっと何か歯車がずれて独立せざるを得なくて独立する人たちだと思うんです。事実自分もそうでしたから。それが悪いわけではないのですが、やはり、美容業界がいつまでも子どもである理由の大きなひとつでもあると思います。それは利己的であると言う事、だから成熟した大人が増えない。
 成熟した大人が多ければ多いほど、やっぱり僕は組織化していくんだと思うんです。そういう業界にしていかないと、例えば給料の問題にしても、大きな問題に立ち向かっていけないですよね。
 とは言っても、サラリーマン化していってしまうのがいいわけではないから、街のいいレストランのように、小さいけれど一流の店というのも必要で、そのバランスをとっていきながら業界が成熟していくのかなと思ったりします。

野嶋 GARDENではミッションや、クレドのようなものはあるんですか?

須崎 ないです。

野嶋 それはあえてつくらないという選択をされているんでしょうか。

須崎 そうですね。会社理念などは、あったほうがいいということはよく言われますし、自分の中でも何度も検討したんですけれども、やはり難しいなと思ってしまいます。そもそもスタートが僕ら3人の共同経営で、3人の思想がまったく違うので。僕が一番大事だと思っていることも、例えば森内と加藤とはまだ完全に共有できていないのが事実なんです。一番核になる柱がそもそも3本あることになる。「これがGARDENにとって一番大事なことだ」というものをつくりようがないというのが正直なところかもしれないですね。

野嶋 それでも、言葉にしにくくても、方向性は一致しているように見えますが。

須崎 もちろん一致しているんです。でも、表現方法は三者三様なので、はっきり言葉にしては言いにくかったりするんですよね。言葉にするのが嫌いな人間もいたりして。
 でも、やっと最近になってきて、今度は幹部たちがじわじわと「なんとなくこんな感じだよねー」という、僕らにとって大事なものが何かが浸透し、それを表現してくれるようになった気がします。
 ニューヨークのサロンも何のためにやるのか? といったら、ニューヨークに行きたい一部の人間のためでも僕たちトップのためではない。自分のためだけじゃないGARDENの全てのスタッフのためという、利他の目的というのがだんだん明確になっている気がします。Ramieだって、1人の夢のためにつくるんじゃない。後輩たちのために、そういう姿を見せたかったんだよね、とか、そういうことですね。

野嶋 これから10年めに向けて店舗を新しくニューヨークに出して、次のステージにいき、雇用を守り、増収をはかりということは、とても難しいところですよね。そのときに、何をよりどころにしていくのかというのが、お伺いしたかったのですが。

須崎 そうですね。ある意味、今までは、ゾウとトラとライオンなんかがいて、僕が全部手綱を持っていて、たまたま鎖を持っているのが僕だからつながっているというような状態だったと思うんです。でも、それが今やっと、その鎖を外してもそれ以上檻の外に出ないようになってきたのかなって(笑)。え? 待てよ。ここにいたほうが楽しいかな、お互いに協力してやっていった方いいんじゃないかなって思う人間が増えてきた。やっと最近なんですけれどね。
 本来、ちゃんと軸になるものを先につくって、そこに向かって人を育てていくというのが早いというのはわかるんです。でも、あえてそれをやらなかったことで、うちはほとんどの幹部が辞めていない。時代にあわせてイノベーションして、経営者の考えをスリムに研ぎすませていけばいくほど、やっぱり古い時代の価値観を持っている人間は削ぎ落とされていくのですが、うちはそれをしていない。みんなの持っているものを、砂場で少しずつ固めていったイメージなんです。ときどき水でパンパンたたいて、また砂を集めてぎゅっと固めて、山をつくっていくようなイメージ。それはそれで、ひとつの価値のある組織のつくり方なんじゃないかなと僕は思っているので。
 一見遠回りに見えるかもしれませんが、その普通じゃないやり方がもしかしたら、差別化になるかもしれないし、僕にとってのミッションかもしれないです。

野嶋 なるほど。その普通ではないGARDENさんの組織のつくられ方が、魅力になっているのだということがよくわかりました。今日は、とてもいいお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

(写真/中野愛子 文/増田ゆみ)

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