第3章目指すは、美容業界で「年商1位」
「従業員第一主義は今後も変わらない。
その先に、“業界1位”の道筋が見えてくる。」
ロンドさんではCSR(企業の社会的責任)の活動に力を入れていますね。その一環で、銀座のサロン周辺の清掃活動もされている。始めたきっかけは?
石田●CSRというと大企業が思い浮かぶしスケールメリットがあってこそ社会の役に立てる部分もあるでしょう。でも企業が大きくなってから新しいことを始めるって、すごく難しいと思うんです。だから会社が小さい今のうちから、CSRに取り組む風土を育んでいこうと思って始めました。銀座の清掃活動を始めて1年ほどですが、この3月からは表参道に新しく出店したサロン周辺でも始めています。
CSRって難しく感じるかもしれませんが、人に活力を与えたり自信を取り戻したりする手伝いができる美容業は、「仕事そのものが社会貢献の活動」とも言える。ロンドグループのみんなには、こうした自分たちの仕事の意義をしっかりわかったうえで働ける人間に育ってほしいんです。意義を理解して働くことが、理念である「物心両面の幸福の追求」の「心の幸福」につながりますから。そのために日々の仕事に加えて、清掃活動にも取り組んでいきたいと考えています。
あと、ロンドだけがやればいいとは思っていなくて。社会貢献は1人でするよりも会社単位ならもっとできることがあるし、業界単位ならもっと大きなことができる。だからどんどん仲間を増やしたくて、縁があるサロンさんにも声をかけています。表参道でもすでに2社が参加すると言ってくれているんです。
今後の活動も楽しみですね。「業界で年商1位」という目標はいつまでに達成したいとお考えでしょう?また、現状で売上がトップクラスの会社と、どう差別化を図っていくイメージですか。
吉田●年商1位の実現にはあと20年くらい、僕らが50歳くらいまでには達成したいと思っています。どう差別化していくかに関しては…、まだ明確にできていないのが正直なところです。
石田●僕としては「ソーシャルグッドな(=社会に利益をもたらす)企業であること」というのは決めています。あとは、規模が大きくなって店舗数が増えると、どうしても大衆化しておしゃれさが減少しがちですよね。なので現在のロンドのブランディングを薄めないままで広げていけたら、そこに他社との差異が生まれるんじゃないかなとは思っています。
吉田●ただ10店舗ならできても、100店舗や200店舗になると出店地も多岐にわたるし、ブランディングが難しくなる。それをどうしたら実現できるのか…、具体策は見えていないけれど、プロモーションとデザインがカギかなと考えています。
短期的な未来についての計画は?
吉田●2018年は、新店舗を4店ほど出す計画をしています。来年以降、もっと先は年間2ケタ出店も視野に入れていますが、お話したようにブランド力を保ちながら店舗数を拡大するには超えなきゃならない障壁があるので、そこをどうするか考えながら進めます。もっとこう、ズバッと明確に戦略をお話しできないのは、自分たちとしても悔しい!
石田●あと、「女性スタッフのライフプランにあった働く場を作る」ことも課題のひとつ。いま産休・育休に4名入っているんですが、彼女たちが復帰したときは働く時間帯や長さが限られるでしょう。そういうスタッフでも、やりがいをもって働ける場をつくりたい。
「年商1位」というのは非常に大きな目標ですし簡単なことではないですが、ロンドさんには期待がもてます。というのは、離職率ゼロであり、常に従業員満足度(ES)をベースに考えているから。今後のサービス業において、ESというのは成功のカギになるでしょう。
吉田●「従業員第一主義」というのは今後も変わりません。スタッフからの声が強まれば現在の中価格帯以外に、高価格帯のラインを立ち上げることも考えています。僕らはもともと高価格帯サロン出身でその世界も知っているので、出そうと思えばできますしね。あと産休・育休のブランク明けでも働きやすい仕組みを考えていきたい。「キッズサロン」の構想も、選択肢のひとつにあります。
石田●今年から男性幹部6名、女性幹部5名でだいたい男女比がイーブンにできたので、今後より「女性幹部が活躍できる場」も作っていきたい。さらに社員が増えたら、社内にマネジメントやマーケティングなどのバックオフィス部門を立ち上げて、プレイヤー以外のセカンドキャリアを選択できる道筋も用意したいですね。
吉田●最後に言わせていただきたいことがあります。今回はインタビューしていただいて何だかこう、偉そうに話していますけど、たかだか創業5年目の、まだまだ若輩者ですからね、会社も我々も。計画通りにいかずにこれから失敗もあるでしょう。来年はガクッと落ちるかもしれない(笑)。僕たちが正解だとも思っていませんし、「精進していくだけ」という気持ちでいます。
石田●これからもいろいろあるでしょうが、僕らは6人が代表というのが強み。もともと友達だから一緒にいて楽しいし、仕事にやりがいがあるし、お金が目的でやっているわけじゃない。だから僕らなら、この先も進んでいけると思っています。
「代表が6人いるから、誰かが何かに気づく。
だから軌道修正が速い」とのこと。
6人それぞれが、強みをいかし弱みを補う。
きれいごとに聞こえてしまうかもしれませんが、
“お金じゃない”原動力が、言葉の端々から伝わってきます。
美容業界で年商1位・・・それは
「幸せなスタッフを増やすこと」に他ならない。
いや、彼らにとって、“それこそがすべて”なのだと思いました。