連載ショートストーリー
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マーコ
4年間スタイリストとして活躍し、妊娠を機に退職。現在は専業主婦。31歳。IT企業に勤める夫と、2歳の長女と幸せに暮らしつつ、美容師に戻りたい気持ちが高まってきている。
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マーコの夫
マーコとは専門学校時代の同級生。元美容師。結婚を機に家族との時間をつくるために転職。IT企業で営業をしており収入はそこそこ。家族が一番大事な「気持ちはイクメン」。
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マーコの長女
2歳。元美容師夫婦の娘だけあって、キラキラしたものやキレイなものが大好き。ママに髪をかわいくしてもらうのが何よりうれしい。夢はパパのお嫁さんになること。
やっぱりまだ、
長時間労働のサロンの方が
多いのかな…
専門家
ママ美容師さんが働きやすいサロンは着実に増えています!
服部美奈子
ホットペッパービューティーアカデミーでは、ブランクを経て復職された美容師さんたちについて調査をしています。勤務先の満足度については、退職前の勤務先が48.8%だったのに対し、復職後では68.3%と満足度が大幅にアップしていました。つまり、多くの方が休職前よりも働きやすい環境を手に入れているということです。
特に、労働時間の長さに対する満足度の変化が大きく、休職前22.0%だったのが現在56.1%と飛躍的に向上しています。この背景には、9:00以降の出勤や18:00以前の退勤ができている人が増加していることがあります。また、週の平均勤務日数が休職前の5.1日から、復職後は4.4日と減っており、週に2日以上は休めるようになっていることもあります。
我々が取材してきた中でも、短い勤務時間が可能なサロンは確実に増えてきています。
ママ美容師を採用しているオーナー
働き方はスタッフの希望や事情に合わせています。
福本貴子さん
LUKE free・愛知
ご自身も4年間のブランク歴をもつ1児のママ
私自身が子育てをしながらサロン勤務の経験があるので、ママ美容師を積極的に採用しています。育児で時間に制限がある人はパートで、バリバリ働きたい人はフルタイムでと、個々の希望に合わせて働き方を選べるようにしています。多様な働き方の人が共存できるよう、「お互いさま」の気持ちを忘れないようにスタッフには心がけてもらっています。例えば、フルタイムの人には「パートの人のおかげで平日にセミナーに行けるんだよ」とか、ママ美容師には「スタッフみんなのおかげで急な休みも対応できるんだよ」と伝えるなどです。どんな状況の人でも長く仕事を続けられる環境を提供するのが、オーナーの役割だと考えています。
ママ美容師を採用しているオーナー
好きなときに働ける、ママスタッフ中心のサロンをつくりました。
鈴木 僚さん
LUACE 川口・埼玉
奥さまも美容師でご自身も一児のパパ
実力のある女性スタイリストたちが、妊娠・出産や育児のために美容師を続けられなくなることに疑問を感じていました。そのため、自分が独立してサロンをつくるときに、女性スタイリストがママになっても活躍できることをコンセプトにしたのです。経験者のみを採用し、ブランクがある人でも歓迎です。なのでスタッフ全員が、働きたい時間に働ける制度にしました。お客さまも小さなお子さまの子育て中の方が中心なので、ママ美容師さんだからこそ、深い接客ができています。少子化で若い美容師が減っているため、多くのサロンは人手不足です。これからは、技術はもっているけれど働く時間に制限がある美容師を積極的に採用する、うちのようなサロンが増えていくと思います。私自身もそのために他のサロンに働きかけるなど、努力していきたいと思ってます。
ママ美容師を採用しているオーナー
訪問美容なら直行直帰が可能で、ママ美容師に適しています。
杉本剛英さん
美容室 空・東京
サロンをバリアフリーにし、訪問美容に力を入れています
私のサロンでもブランクのあるママ美容師を積極的に採用しています。実際にブランクが9年や25年というスタッフも活躍しています。フルタイム勤務が難しいスタッフも多いですが、働く時間はスタッフの都合に合わせられるようにしています。例えば、サロンのホームページでスタッフごとに予約を入れられる時間を公開しています。また、うちのサロンは訪問美容に興味がある人を採用しており、ママ美容師にも介護施設へ施術に行ってもらっています。訪問美容の際には、サロンに出社せずに直行直帰ができるので、ママ美容師にも働きやすい環境になっていると思います。