第2章管理部・美容師の分業制で業務を効率化
「急成長できたのは管理部のサポートがカギ。
おかげで目の前のお客さんに全力投球できる。」
「ALBUM」さんは創業4年目で4店舗を展開する急成長を遂げています。立ち上げ当初は業務委託の美容師が多かったと思いますが、現在は?
現在スタッフは約100名いて、社員のスタイリストとアシスタントが3割、業務委託のスタイリストが6割、残り1割は管理部の社員スタッフです。
管理部門に1割のスタッフを割くのは、美容サロンとしては珍しいですね。
管理部があるおかげで、ここまで成長できたのだと思います。美容師ってお客さんをリピートさせなきゃいけないし、紹介のお客さんや新規客を呼ばないといけない。でもうちは業務委託スタッフが多くて、社員じゃないので強制することはできません。社員にしても、お客さんを呼び込む方にパワーをかけず、目の前のお客さんに全力投球できたほうがいいわけです。
だからそうした、ホットペッパービューティーの更新作業や、広告用の写真・映像の編集などは管理部が担当しています。以前の店ではそういうのも僕が全部ひとりでしていたんですけど、あれもこれもって考えていたら頭おかしくなりますよ(笑)。今は、めちゃスッキリしました。
管理部では個々のスタッフのインスタの投稿内容についてもサポートしているのでしょうか。
投稿自体は個々のスタッフがしますが、どんな投稿の反響が高いか、フォロワーが多い人の傾向などを分析して月1回スタッフにフィードバックしています。写真だけじゃなくて動画もですね。セルフ巻きやメイクのハウツー、照明の具合、文字の入れ方など、どんな動画がウケるのかを分析して、わかりやすくかみ砕いてスタッフに伝えます。
スタッフはそうしたノウハウを参考にしながら、自撮りや外国人風ヘア、カラー、ガーリーといった押し出したいスタイルや世界観を決めて、自分のインスタのイメージを統一させる。そして個々の方向性に応じた技術指導を、僕らはしていく。結果的に各店の店長はフォロワーが5万人以上いるし、渋谷店・店長の夏実は1年間でフォロワーが7万人も増えたんですよ。
教育や管理をするうえで、業務委託スタッフと社員が混在していることの難しさは?
うちは業務委託の子が社員アシスタントを指導することもあるし、社員と業務委託の境目があまりないほうだと思います。「そういうのは自分はやりません」というような、ある意味で業務委託に染まりきった人は採用時からはじくようにしています。サロンがきれいなほうがお客さんは来る、結果的には稼げるってことがわかっているので、彼らは掃除なども率先してやってくれる。
お客さんとお客さんの間に1~2時間の暇な空白ができるサロンもありますが、うちはひっきりなしにお客さんが来るし、面貸しサロンと違って業務委託の人にもフリーのお客さんをどんどん担当してもらう。忙しいぶん稼げるし、サロンとして一体化してやろうという気持ちになるんだと思います。新宿で一番のサロンになるには、やってもらうしかないですしね。
「ALBUM」さんはホットペッパービューティーをとても活用していただいていて、「予約時売上ランキング」も重視されていますね。
それはとても重視しています。インスタのフォロワー数がどれだけ多くたって、それだけじゃ意味ない、「予約」してもらわないと。ホットペッパービューティーを攻略しないと、お客さんは来ませんからね。
そのためにこの新宿店をオープンさせるにあたっては、新宿エリアの全店のクチコミ、スタイル写真を調査・分析しました。このへんも管理部の担当業務です。価格帯も調べて、これくらいならお客さんが来るだろうという値段設定をしています。だから新宿店と渋谷店では価格設定が少し違うんですよ。
成功の兆しをデータから見つけ出して、その方針に従って徹底してやるのが「ALBUM」さんの強みですね。
せっかく管理部がいろいろと調べて出してくれた方針や目標値も、やらなければ意味がないですから。それに数字や目標を出されたら、クリアしないと嫌な性分なんですよ。
「ALBUM」さんは価格が低く、その点でも若い女性の支持を集めていますね。
僕が昔いたサロンだと平均客単価は1万7000円くらいでしたが、ここは1万円いくかどうか。でも来店周期が以前のサロンでは2カ月のところ、うちだと1カ月なので年間のトータル金額は同じなんですよね。有名店出身の業務委託スタッフは「料金設定が安すぎませんか?」という人もよくいるけど、僕は「単価が高いから上手」とは思わないし、設定金額にプライドは置いていません。うちは「安いけどうまい」という自負があります。