「バーバー」人気の理由
今「バーバー」が人気の理由
近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。
THE BARBER LUI'S(札幌市中央区)
目標は技術日本一!
札幌の若きバーバーの挑戦とは?
2017年8月のオープンから1年ほどで、すでに札幌で確かな存在感を発揮している「THE BARBER LUI’S」。代表・伊藤雄介さんの方針は「お客さまを満足させる技術の追求」といたってシンプルです。
しかし“満足の基準”は、お客さまによりいろいろ。それらを的確に把握し高い技術力で応えることこそ、このバーバーの躍進の理由なのです。そこで技術向上の工夫やニーズをキャッチする秘訣について、伊藤さんに伺いました。
目指したのは、快適性とデザイン性を両立する店づくり。
独立の思いを胸に修業に励んだ20代。
代表の伊藤さんは、32歳。小さい頃からものづくりが好きで、進学先は農業高校の環境造園科。しかし高校卒業時の進路選びでは造園技師ではなく理容師の道を志した。「ずっと現場に立ちたいタイプなので、より長く現役でいられそうな理容師を選びました」と伊藤さん。専門学校を出た後は、故郷の北海道を離れ東京のバーバーに就職した。その後は札幌に戻り、さらに2店舗で修業。その間「20代後半までには独立したい」という思いが強くあり、心には作りたい店のイメージを常に描いていたという。
自ら手がけたこだわりの内装デザイン。
念願かなって開いた店舗は、無骨な男らしさを兼ね備えたアメリカンといった雰囲気。内装も伊藤さん自身が考えたものだ。レトロ調のタイルや店内に設えたバーカウンターなど随所にこだわりが光る店内。とくにシェービング時にお客さまが見上げる天井は「絶対にこだわりたかった」というポイント。木材と照明を組み合わせた、スタイリッシュな天井にした。また、バーバーチェアは「お客さまが1時間以上座るものだから」と、座り心地も重視した。常にゲスト目線を忘れずに、デザインと快適さを両立させている。
目に見える“日本一”のため、コンテスト優勝を目指す。
目標はコンテスト優勝という目に見える“日本一”。
理容師を志した頃から、伊藤さんの目標は決まっていた。それは「日本一になる」こと。それも明確な指標のある日本一、つまりコンテストでの優勝だ。最初の修業先に選んだ東京の店舗も、オーナーがコンテストで優勝経験があったことから選んだ。全国大会で2016年は準優勝、2017年は全国3位。「2018年に優勝してコンテスト出場を締めくくりたい」との目標を掲げ、練習を繰り返す。勉強のために各種大会の見学などにも足繁く通っている。
時間が経過してわかるカット技術の重要性。
伊藤さんが技術にこだわる理由は、それがお客さまの期待に応える唯一にして最大の武器であると知っているから。「クリッパー(バリカン)でできることでも、ハサミで同じことができないといけない。お客さまから希望があったときに“できません”というわけにいきませんから」とその思いを明かす。また、カット技術の高さはスタイルの持続性にもつながるとか。カット直後だけではなく少し伸びたときもかっこいいこと。そんなスタイリングがお客さまの支持につながっている。
ビジネスマンのニーズに応えるメニュー展開と提案。
技術に裏付けられた独自の「似合わせ」スタイル。
ターゲットは20代後半から30代後半のビジネスマン。「近年の札幌には見た目に気を使うビジネスマンが増えている。これならいけると思いました」と伊藤さん。ただしフェード(刈り上げ)の注文は2割ほど。基本はお客さまの個性に合わせて、伊藤さんが提案するスタイルが好評だという。「顔の輪郭、髪質、髪量、お店に入ってきたときの表情。それらを総合して、スタイルを提案します」この「似合わせ」もまた、伊藤さんの技術の賜物だ。
スパコースの注文割合も高水準。
メニューはカット+シェービングが中心だが、スキャルプスパやフェイスリフトアップなどの利用が3~4割と高水準な点もこちらの特徴。東京時代の修業先がエステサロン併設店舗だったことから、最先端の技術を習得したという伊藤さん。独立後も化粧品の情報収集や技術訓練を欠かさず、ビジネスマンの信頼を集めている。さらなる満足度アップのため、シェービング用のスチーマーや歯のホワイトニングマシンといった先端機器も積極的に導入する。
オーナーインタビュー
Q.自らのセンスを磨くために実践されていることはありますか?
A.物事をよく見て、そして考えてみることです。
街を歩いているときでも、アンテナを張って物事をよく見ることを意識しています。たとえばショップや飲食店を訪れた際に「なぜこれを置いたのか?」「なぜこの色にしたのか?」といった疑問を持つ。そしてそれに対する答えを自分なりにしっかりと考えてみる。そうすることで理論的な思考が身についてくると思います。
Q.店内にバーカウンターを設置した理由を教えてください。
A.普通ではないことをやってみたかったからです。
カットの後にエスプレッソやコーラを飲んで落ち着いてもらえる。そういう実用的なメリットももちろんあります。ただ一番は、普通の店にはしたくなかったという気持ちから。昔から外から見てもよくわからない店に憧れがあって。「あそこ何屋だろう?」と言われるとうれしいです(笑)。
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