PEOPLE.04 瀬戸 健 RIZAPグループ 代表取締役社長
究極の「お願い力」で 組織の成長にコミット。
誕生から6年経った2018年2月時点で累計会員数10万人を突破。グループ全体の売上は約1382億円、さらに2019年3月期には2500億円を見込む勢いだ。
創業者でありRIZAPグループの代表取締役である瀬戸健氏。わずか40歳にしてグループ全体で7000人超の社員を率いる瀬戸氏は、いかに組織を急成長に導いたのか?
Profileプロフィール
せと・たけし●1978年、福岡県生まれ。「RIZAPグループ株式会社」代表取締役社長。2003年、健康食品の販売を主とする健康コーポレーションを設立。「豆乳クッキーダイエット」などヒット商品を開発・販売し、2006年に株式を上場。2012年、パーソナルトレーニングジム「RIZAP」を立ち上げて以降、M&Aによる事業拡大を積極的に推進。現在は美容・健康関連事業からアパレル、ライフスタイル、エンターテイメントまでグループ全体で86社(2018年10月1日時点)を展開している。
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トレーニングという手段ではなく変われるという“体験”を提供。
千葉
(ホットペッパービューティーアカデミー・アカデミー長)
RIZAPさんは美容を含め、現在は多種多様の事業をされています。
RIZAPができたことで、これまで美容などの自己投資にお金を出さなかった人が出すようになったりと、マーケットが広がったと考えています。瀬戸さんは、美容業界をどう見ていますか?瀬戸
美容分野というのは経済が成熟した今だからこそ、今後の成長産業だと思っています。戦後は食べることで精いっぱい、人からどう見られるか気にする余裕なんてなかったでしょう。それが日々の食事に困らなくなったことで、目先ではなく将来に目を向けられるようになり、物質ではなく「精神的な幸せ」を探すようになった。
服だって昔は身を包む実用品でしたが、今は「自分の価値を高める」ものになりましたよね。そうした付加価値にお金を出したり自分へ投資する行為は、成熟した社会だから求められると思います。
千葉
確かに、RIZAPも決して安くはありませんが、それでもやりたいという人が殺到するのは現代社会ならではと言えますね。
瀬戸
美容にしてもトレーニングにしても目的が多様化しています。安価なサービスもあれば、RIZAPを選んでくれる人もいる。付加価値に対する思いというのは人によってピンキリです。ですからお金をいただく対価として、お客さまが何を望んでいるのか考えることがとても重要。
お客さまはトレーニングという手段のみを欲しているのではなく、その先に目的がある。我々は手段ではなく、「人は変われる」と伝えること、「変化する体験」を提供していると考えています。
千葉
RIZAPが誕生したのは2012年ですが、瀬戸さんが起業されたのは2003年の24歳のとき。健康食品の販売からスタートされて、ずっと順調に成長されているイメージがあります。
瀬戸
実際は山あり谷ありでしたよ。最初は大豆のサプリメントを扱っていたのですが、これがまったく売れませんでした。資本金として用意したお金もどんどん減るばかり。夫婦で食費を1カ月1万円に抑えていたんですけど、そんなときに奥さんが100円のおにぎりを買ってきましてね。「もったいないじゃないか」とケンカしたことも(笑)。
千葉
好転するきっかけは?
瀬戸
商品を買ってくれた人にオマケとして「おからクッキー」をプレゼントしていたところ、「これを売ってほしい」という声がありまして。それで販売を始めたんですが、売上は微々たるもので…。でも「食事の代わりに食べている」ってお客さまの話を聞いたとき、「このおからクッキーに栄養を加えて、ダイエット食品にしたら売れるのでは」と思いついた。そうして誕生した「豆乳クッキーダイエット」が爆発的に売れたんです。