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どうしたらできるか?それを常に考える。
千葉
会社が成長するにつれて社員もどんどん増えているかと思いますが、社員とのかかわり方は昔と比べて変わりましたか?
瀬戸
グループ社員が現在は7000人を超える規模なので、1人と話す絶対量は変わりました。ただ、本質的なスタンスは変えずに、「どう工夫したらかかわりを持てるか」を考えています。
社員が話しかけやすくするために、僕は社長室を用意していません。時間がかかるから、あらたまった会議はなるべくせず、立ち話で結論まで出すことも多い。立ち話なら1~2分で終わりますからね、お互いにムダがなくなります。そんな風に、社員とのかかわりを大切にするという「想い」は捨てず、「手段」を変えたんです。
千葉
コミュニケーションをとても重視されているんですね。
瀬戸
たとえば体調が悪くて病院に行ったとして、精密検査もされずに「とりあえず開腹してみるか」なんて言われたら、たまったもんじゃないですよね?精密検査をするから、正しく症状がわかり、適切な処置ができるんです。人間関係も同じこと。コミュニケーションをとって現状認識をすることが大切です。社長室に閉じこもっていても、得することなんてありません。
千葉
ご自分のパソコンもないとか?
瀬戸
そうです。机に向かってパソコンを使うタイミングをうまく作れないから、必要ないなと思って。僕は机も椅子もないです。書類のファイリングとかもできない。うまく管理できないから、自分でモノを持たないようにしています。ハードを持つのは倉庫を抱えているようなもので、ジャマなんです。だからメモリだけ持っていればいい、という考え方。
千葉
そうした姿勢が、企業の急成長を叶えてきた秘訣でもありそうです。
瀬戸
僕は妄想だけするのは嫌いで、思い立ったらすぐやる。「どうやったら実現できるか」を常に考えます。やらないことを前提にする「けどけど星人」っているでしょう?世界一周がしたい「けど」時間がないと考える。それじゃあグチとストレスが溜まるばかり。「できない」と言った瞬間、思考は止まり実現が遠のきます。僕は「からから星人」。世界一周がしたい「から」仕事をがんばる。そうすると、いろいろ実現できるものなんです。
千葉
瀬戸さんは「自分は何もできない」と言う一方で、決してあきらめるわけではないですよね。
瀬戸
整理整頓もできないし、気も利かない。自分にできないことが明確な分、できることだけをやってきました。起業当初はお金もないし知識もない。でも「できない」と言ってもムダです。だから、自分にあるものは何か?を考える。「気合と根性はあるから、それで戦おう」ってね。
僕は、苦手分野をがんばる必要はないと思うんです。それよりも、自分の得意分野で勝負する。
人って案外、「ココがあなたのいいところだね」ってほめられたひと言を忘れがち。叱られたり落ち込んだ経験ばかりをストックしちゃう人が多いんです。それだと、もったいない。自分ができることを考えて動く。できることからまずやって、ステップアップしていけばいい。
千葉
今後の展望は?
瀬戸
僕には高い目標があります。日本を、そして世界を代表する企業になって、社会に貢献したい。いろんな商品やサービスを通じて自己実現を体験してもらい、「人は変われる」ということを伝えていきたい。
その目標から逆算すると、現状は僕も会社も足りないことだらけです。目標を実現するためには、社員に見栄を張らない。自社の採用面接でも、相手に「まだこんな部分が足りていない」と正直に伝えています。だからあなたに助けてほしい、と話す。すると相手も、「この部分なら自分が力になれるな」って、助けたいという気持ちになってくれると思います。
自分の足りないところをみんなに助けられて、RIZAPグループはここまできました。僕自身は、本当に、何もすごくないんです。
揃って「ないです」とのお答えが。
たとえば目標数字が到達しない時には、「なぜできないんだ」ではなく、
「どうしたらできるか」という視点で話してくれるそう。
それぞれの「得意」「不得意」を、組織全体で補い合っているのです。
瀬戸さんは、こう言いました。
“自分の足りないところを理解したうえで、自己実現をしてほしい。”
「人は変われる」。・・・それはRIZAPのお客さまだけではなく、
社員一人ひとりにも向けたメッセージなのだと思いました。