サロンで働く先輩女性たち

子どもが3歳になるまでは専業主婦でいるつもりだったという平田さん。「流行の移り変わりが早いので、不安になって結局すぐに復帰しました」

Q. 妊娠5カ月の時に退職していますが、復職は考えていましたか？

A. いずれ戻ってくるつもりで、いったん退職しました

　30歳で結婚・妊娠したのですが、それは自分の仕事に手ごたえを感じられるようになったからなんです。20代の時は技術も接客も満足できず、モチベーションがぐらぐら揺らいでいました。30歳になって自信がついてきたので、そろそろ仕事と家庭を両立できるのではないかと。そこで同棲していた彼と話し合って、結婚し、子どもを授かりました。当時働いていたサロンに託児所があったので、子どもを預けて働くことができるという安心感もありましたね。
　妊娠5カ月で退職したのは、店の階段の上り下りで足を滑らせてしまわないか不安だったからです。当時のオーナーが「いつでも戻ってきてくれていいよ」と言ってくれていたので、子育てが落ち着いたら戻ってくるつもりでした。

「美容師の仕事の魅力は、人との出会い」。神戸のサロンで知り合い、今のサロンまで遥々通ってくださるお客さまもいる

Q. 母親になって、仕事への向き合い方に変化はありましたか？

A. 「子どものために頑張ろう！」とモチベーションがアップしました。

　自分のためだけではなく、家族のために頑張らなければと思うようになり、仕事をはじめいろいろなことに責任感を持って取り組めるようになりました。迷いのあった20代の頃と比べて、モチベーションがとても高くなったと思います。39歳で離婚して、娘とふたりきりで生きて行かなければいけないと思ったら、より心が強くなりましたよ。人に頼らず、自分の力でやらなければと。いつも一番に考えているのは娘のことですが、娘が大切だからこそ、仕事と一層真剣に向き合えるようになりました。

「目下の目標は、3店舗目のオープンに携わることです」と平田さん

Q. 美容師を長く続けてきてよかったと思えることは？

A. 経験値が上がり、得てきたスキルを次の目標に生かせることです。

　18年かけて経験をたくさん積んできたおかげで、メンタルが強くなりました。接客では想定外のこともしばしば発生しますが、ちょっとやそっとのことでは動揺しなくなりましたよ。
　でも私はまだ成長の過程にいて、もっと上を目指しているので、振り返る段階ではないですね。先月から姉妹店にも不定期で通うようになって、幹部ミーティングにも参加するようになりました。「会社のことを一緒に考えてほしい」と言っていただいているので、オーナーの大坂さんたちと共に、この会社を成長させていきたい。実は神戸では夫婦でお店をやっていたんです。いろんなサロンでオープニングスタッフも経験しているので、これまでに得てきたものを、ここで生かしていきたいと思っています。