第4章サロン経営にとどまらない未来図
「GOALDのあり方こそ正解。
そう言えるモデルケースを提示したい。」
今後の事業構想は?
現在は「GOALD」としてサロン事業を展開していますが、あくまでも「GOALD」というひとつの会社の中にある、サロン事業です。今後はプロダクト、イベント、メディア、教育事業も始めたいし、美容を軸にしたライフスタイルカンパニーにしていきたいですね。プロダクト事業というと、美容師の場合メーカーとライセンス契約をして展開する場合が多いですが、自社でメーカーを立ち上げて自走できるようにしたい。リスクはありますが、そのレバレッジとしてスケール感が出るので、とことんリスクを背負う覚悟です。そうして日本一のメンズヘアケアブランドを確立したい。それだけじゃなく、僕が美容師を目指した理由と同じように、「メンズに自信をつけてもらうために役立つプロダクト」も世に送り出したいですね。
これだけ情報やモノがあふれている世の中ですから、お客さまにとって「これは間違いない」というものが必要です。「誰が」提供するかが、選ばれるためには重要。うちはサロンの看板があるし、サロンがあることでリアルな意見、生きた情報が得られる。その点も、商品開発するうえでメリットになります。
構想がたくさんありますね。
一方で、何でも自社だけでやろうとしてはダメだとも思っていて。他業種でも業界内でも、お互いに得意なところを活かして、お客さまのために何ができるかが大事です。だから同じ志を持ったプロフェッショナルと組んだ事業も派生させていきたい。美容と他分野を融合させると新たな可能性も見えてきます。たとえばITに強い企業と組めば、デジタルマーケティングやECサイトも強化できるし、D2C(※)として直にお客さまに商品を届けることができます。サブスクリプション型にしたり、他にもできることがたくさんあるでしょう。
(※自社で企画・製造した商品を、自社のECサイトを用いて直接販売する仕組み)
事業規模として目標値はありますか?
前に5年で年商10億円を達成したので、今度は3年で10億円にいきたい。その先も拡大できて伸び続けるビジネスモデルと、仕組みの確立もありきで。将来的には年商200億企業になりたいですね。とはいえ、年商って結局は「どれだけ人を喜ばせることができたか」を数値化したものだと思っているので。数字よりも「美容師としてどこまでできるか」、そこに挑戦することが目標です。
僕は美容業界をもっとよくしたいんです。そのためには上場をして、めちゃくちゃエリートを育成する美容学校もつくりたい。メンズ専門の学校ですね。美容師って女の子メインの職業というイメージがあるから、それを払しょくしたいです。
あとは、若いお客さまの可能性あるアイデアや夢に投資して、コンサルや人材サポートができるベンチャーキャピタル的なチームを持ちたい。また美容師のセンス、ヒューマンスキルや情報量、アナウンス能力を活かして飲食、ブライダル、ホテル業界にも手を伸ばしたいとも考えています。
上場なんてメリットよりリスクがデカいかもしれないけど、それくらいしないと業界を変えていけない。仲間の夢を叶えられないし、ワクワクさせることはできないと思うから。
美容業界をよくするために、何が重要だとお考えですか。
とにかく教育産業なので、長期的な教育体制ですね。フリーランスやシェアサロンなど、美容業界にもさまざまな働き方が出てきています。それぞれの目的があるから、どれが正解ということはありません。
でも僕は、人と人が摩擦することで必ず成長すると思うので、長期的な教育ができるサロンであることが大事です。自己実現と成長実感を大切にし、安心して将来が描ける組織。大切な人に胸を張って語れる仕事であり組織でありたい。僕がつくりたいもの、たとえば入社したらしっかりと教育があって、自己実現のためのサポートがあって…みたいな体制って、一般の大手企業には当たり前のことなんですよね。社会一般では普通のことが、美容業界に取り入れると「新しい」ことになる。なので、美容業界にとらわれず、いろんな人に会って、いいと思うものを取り入れていきたい。
いまは「スタイリストになった後にどうすればいいのか」を、業界として示していない状況だと思うんです。だからこそ、バックオフィスを整えたり成長する仕組みを用意して「GOALDのやり方こそが正解だ」と言えるものを提示していきたいですね。