ファンを作るサロ友
ファンを作る「サロ友」とは?
少子高齢化でお客さまが減る中、リピート客獲得がより重要になっています。
そんな中、「顧客同士のつながり」を生み出すことで「サロンのファン」を作る…「サロ友」についてご紹介していきます。
小顔矯正サロン「フルールクレール」(東京都豊島区)
2つのサロンがコラボした婚活イベントとは?
JR駒込駅から徒歩すぐの場所にある「フルールクレール」は、40代~50代を中心に、幅広い年代の女性から支持されている小顔矯正サロンです。代表の田中恵美子さんは、地域の事業者コミュニティ「駒込美容と健康の会」をゼロから立ち上げた行動派。今年1月には、同じ駒込エリアに位置する美容室「ヘア&ケア サンムーン」の代表・中山瑞貴さんと共に、お客さま同士をつなげる婚活イベントもスタートさせました。
美容サロン主催の異色イベントには、どんな工夫が凝らされているのか。代表のおふたりに話を伺いました。
美容サロン主催の異色イベントには、どんな工夫が凝らされているのか。代表のおふたりに話を伺いました。
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美容・健康に携わる地元事業者のコミュニティを発足。
地域活性を目指して立ち上げた「駒込美容と健康の会」。
「フルールクレール」が位置する駒込エリアは、東京の中心を環状に運行するJR山手線の沿線にある。「都心でありながらも、山手線の中では最も降車人数が少ない駅と言われていて、商業が発展しづらい街でもあります」と田中さん。地元の同業者たちと横のつながりを作り、地域活性につなげたいという思いから、2019年2月に「駒込美容と健康の会」を発足させた。メンバーは、駒込エリアで美容や健康に関わる事業を行っているオーナーやスタッフたち。月に1回ペースで交流会を催し、互いの事業内容についての説明や情報交換などを行いながら、親交を深めているという。
「駒込美容と健康の会」メンバーによる共同イベントを開催。
2019年11月には「駒込美容と健康の会」のうちの5社が、初のコラボレーションイベント「小顔マルシェ」を開催。小顔矯正や痩身、美容鍼、美容室、スキンケアの事業を行う美容のプロたちが一堂に会し、各方面からの「小顔」を提案しながら、お客さまへそれぞれ10分ほどの体験を提供した。1日だけの開催だったが、各社のお客さまを中心に約40名ほどが来場。反響はよく、参加した5社の間でお客さまの相互来店が起きるようになった。「初めての試みでいくつか課題は残ったものの、お互いの店の認知を広げて、お客さまが巡る仕組みを作るという、1つの目的は果たせました」と田中さんは振り返る。
さらなる地域活性に向けて次のイベントを検討していた時、共同での婚活イベントを提案してきたのが、「駒込美容と健康の会」のメンバーであり、「小顔マルシェ」にも参加していた中山さんだった。「フルールクレール」単独でも婚活イベントを開催したことがあった田中さんは、二つ返事で話に乗り、企画は動き出すこととなった。
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2つのサロンがコラボした婚活イベント。
第1回目では、10組中4組のマッチングが成功。
「フルールクレール」と「ヘア&ケア サンムーン」のお客さまとその友人、総勢20名が参加した第1回目の婚活イベントは、2020年1月に開催。お酒と軽食を用意した会場で会話やゲームなどを楽しみ、4組のカップルが成立した。「楽しかった」という参加者の声を受けて、3月に第2回目の開催も予定している。
「1回目を開催してみて、得られた気づきもありました」と話すのは中山さん。次回はよりよい場にするべく、開始前には男女それぞれに振る舞いのレクチャーを予定。「田中さんから男性参加者へ、僕から女性参加者へ、異性の立場から好感が持てる対応と注意すべき振る舞いを伝えて、イベントでの時間が実りあるものになるようにサポートしたいです」。
2回目に向けてのアイデアも溢れる。
田中さんと中山さんの間では、第2回目の開催に向けて新たな演出の話し合いも進められている。「美容サロンならではのサービスとして、イベント開始前に女性参加者へ、ヘアセットと小顔エステの体験を提供することを考えています。実際サロンには、いつもお見合いの前に小顔エステを受けにいらっしゃるお客さまもいるんですよ」と田中さん。中山さんも「前髪を整えたり毛先を巻いたりするだけでも、少し自信がついて、イベントに前向きに臨めるはず」と話す。
また次回以降には、「マッチングが成立した参加者たちの二度目の会」も計画している。「せっかくカップルが成立しても、消極的でデートへと進められなかったり、ふたりだけで会ったら緊張で話が弾まなかったりして、おつきあいにつながらないことが多いんです。そこをフォローしたいので、マッチングできた複数のカップルでもう一度集まれるイベントを計画しています」と中山さん。二度目の会ではクッキングなどの共同作業を織り交ぜ、参加者たちがお互いをさらに深く知る機会を設けていく予定だという。
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お客さま同士をつなげるイベントは他にも。
おしゃれして女子トークを楽しむ「フルクレ美酒の会」。
婚活イベントの他にも、「フルールクレール」ではお客さま同士をつなげるイベントを多彩に開催している。最も初期のものは、2015年と2016年に各1回ずつ実施した「フルクレ美酒の会」。貸切にしたレストランで、20代~50代の年齢さまざまなお客さまたちが、田中さんと共に女子トークを楽しんだ。「私が無類のお酒好きで、そんな話をサロンでしていると、愛酒家のお客さまがどんどん名乗りを上げてくださって。みんなで飲んだら楽しそうだと思って企画したんです。20代の悩みは50代なら簡単に解決できることもあるし、年代も立場も違う女性同士の交流は、お互いによい刺激になるだろうと考えました。ここ数年は準備にかける余力がなく開催できていませんが、お客さまからは大変好評をいただきました」と田中さん。
イベントが評判で常設店をオープンした「BARエミコ」。
お酒を介して人と人をつなげる場として、2019年10月~12月には田中さんがママを務める「BARエミコ」も開催。行きつけのバーを間借りし、月に1回のイベント営業を3回試みた。そこには駒込の友人、知人はもちろんのこと、サロンのお客さまたちも集まり、新たな交流の輪が生まれることに。「常連のお客さまがお友だちを連れて来てくださったり、その場に居合わせた人たちにサロンの魅力を語ってくださったりしたことで、サロンに新規のお客さまを得ることもできました」と、田中さんはにっこり。
手応えを感じ、2020年3月から、サロン近くのカフェの夜の時間帯を利用して、本格的なバー営業にも乗り出した。「バーも婚活イベントも、事業として本気で取り組みたいと考えています。バーは地域のハブとして、みんなが情報交換できる場になればいいなと思いますし、婚活イベントでカップルになったふたりがそこでデートをしてくれるような流れが作れたら理想的ですね」と田中さんは語る。
代表インタビュー
Q.中山さんに伺います。婚活イベントを田中さんへ提案したきっかけは?
A.地元で開催していた合コンイベントを、より本格的なものにしたいと思ったからです。
実は田中さんへお話しする以前から、「駒込合コン」と称するイベントを開催していたんです。1年ほど前に友人が駒込に飲食店をオープンしたので、その店の宣伝も兼ねて始めたイベントでした。月に1回、男女の知り合いを店に集めて、飲み会を催していたんです。1年続けて店にはお客さまが定着。もっと本格的に出会いの場をプロデュースしたいと思い、田中さんへ協力を呼び掛けました。僕としては、イベントを企画すること自体が楽しいし、参加した方たちが幸せになってくれればそれで満足なんです。でもいずれは、参加する方の髪型や服装をコーディネイトさせてもらうなど、美容の仕事につなげていけたら嬉しいですね。
Q.田中さんに伺います。さらに今後、取り組んでいきたいことは?
A.サロンを任せられるように、スタッフの育成に力を注ぎます。
うちのサロンでは今年から、スタッフが3名に増えました。今後は私を除いた3名のみで店を回していけるようにするのが目標です。バーの事業や婚活イベントからサロンへ集客していく計画はありますが、お客さまにリピートしてもらうためには、スタッフの技術を上げることが一番の課題。そこで今年は、スタッフの育成に特に力を入れていきたいと思っています。それと共に、バーや婚活イベントの運営を波に乗せられるように頑張りたいです。
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