第2章ステップボーンカットの可能性
「生産性を上げるという意味でも、
ステップボーンカットが役に立てる。」
SAYURIさんは「ステップボーンカット」の考案創始者でもあります。この技術を広めようと思ったきっかけを教えてください。
この技術は、私が5年の歳月をかけて発明したものです。昔は、自分のところのサロンさえよければよかった部分もあったと思います。技術という、自分にとって“命のコンテンツ”を出すことは、絶対にいやでした。それが、うちの強みでもあったので。
でも、この技術を広げることで「美容師さん、お客さん、地球環境に還元できる。みんながハッピーになれる」と、だんだん思うようになって。いいものは公開すべきかな、って。そこで、2012年に「一般社団法人 ステップボーンカット協会」を発足して、教育認定機関として「ステップボーンカットアカデミー」をスタートさせました。
ステップボーンカットの特徴は?
技術ではかなり困難である「特許」を取得し、国に認められたヘアカット技術です。立体的な骨格をつくり、より「似合わせ」「小顔」を作り出すまったく新しいカット。カット後は、ノンブローで何もいらない、ドライヤーもいらないので電力を削減できます。また、中に髪の毛が残らないからシャンプー不要で節水にもつながる。特殊なカットなので、パーマ液も、カラーも最小限で済みます。なので、材料費は20%くらい削減できるんじゃないかな。薬剤もアレルギー反応が少ないものを原料にしているので、手荒れが少なくなります。
カット時間も大幅に短縮できるのが特徴。人によりますが、シャンプーしないこともあります。「カットローション」というオリジナルプロダクトがあって、それをつけると水分量が増えるので、ウェットでカットして、ハンドドライしたら終了。基本的にはすべて1回でフィニッシュするので、そうすると、1パネルをシザー1開閉で切る。前頭で64開閉で切れるんです。何度も同じところを切りません。まさに「一刀入魂」です。
講習を受ければ、この技術を手に入れることができるんですか?
はい。以前は優れたカット技術って、優れた感性と才能ある美容師だけのものだったと思うんです。でもステップボーンカットは、コースマニュアルを実直に受けてトレーニングを実践すれば、誰でも同じスタイルで切れて、個々のカットアレンジが簡単にできます。結果、カット単価だけでなく、お客さまの再来・紹介が増えて、売上アップできる仕組みです。
具体的には、どのくらいの単価アップになりますか?
サロンの環境、その人のキャリアもあるので、個人差はありますが・・・。ヘアカットが通常4000円だったら、ステップボーンカットは6000円~8000円でも大丈夫だと思います。5000円以上であれば、会員の方は自由に価格を決めていいようにしています。
一方、お客さまも時間を大事にしたいですよね。2時間でできるものは何でもしたい、という方もいます。カットが早く終わるので、そのぶん追加でトリートメント、スパをしてくれるようになったり。
あとは、店販の売上も上がります。ステップボーンカットのオリジナルプロダクトとして、「小顔シャンプー・トリートメント」、顔のリフトアップ効果が期待できる「小顔ミスト」などがあって。カットで小顔にしたら、プロダクトでもそれを叶える。そうすると、お客さまも効果を実感していただきやすいので、リピートにつながります。
先ほど「ステップボーンカットは、コロナの時代にこそふさわしい」とのことでしたね。
コロナ以前と比べると、お客さまの美容室へのニーズは70%程度になっているのではないでしょうか?大失業時代に入り、格差が一気に広がっていますよね。それに伴って、美容室の格差も顕著にあらわれてきます。だから、「高単価でもお客さまに選ばれるレベルの高い美容師を目指しませんか?」と。それを叶えるのが、ステップボーンカットです。
いま現在、どのくらいのサロンで導入されていますか?
650店舗くらいですね。法人会員の場合は、年会費3万円。宣伝広告に「ステップボーンカット」という言葉を自由に使って構いません。サロンが利益を上げていくためのものなので。
「美容室は生産性が低い」とよく言われますが、生産性が低ければ、朝から晩まで働くしかないんです。アメリカなどでは、美容師さんて裕福ですよね。勤務先までタクシーで通ったり、毎日チップも入ってきます。それと比べると、日本の美容師さんはそこまで恵まれていません。みんなマジメにやっているのに。なので「生産性を上げる」という意味でも、ステップボーンカットがお役に立てると思いました。
ステップボーンカットで一番重要なのは、「生産性ありき」ということです。価値があるから、生産性が上がるんです。