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第3章美容師としての“普通”とは

「どんなにテクノロジーが進んでも、
美容師の仕事はリモートできない。」

人が辞めないサロンとしても知られる「Cocoon」。創業から12年、第一期生はいまも全員一緒に働く仲間

しいて言うなら、コロナがあってよかったことは?

僕は、ひとつもないです…。コロナがチャンス、という人もいる。そう言えるのは総じて勢いのある企業だと思うし、もちろんそれを否定はしません。でも僕はそうは思えない。スタッフやお客さん、みんなの普通であることや自由が制限され、大小あれど世界中すべての人たちが息苦しくなりました。そんななかで、自社だけが上々なことに“続き”があるとは思えない…。僕にとってコロナは、“つらい”しかない。それが正直な気持ちですよ。数パーセントだろうが、売上やスタッフの士気は下がっているのだから、その状況が、よかったわけがないんです。

…「コロナを逆手にとればチャンス」とか僕が言ったほうが、編集さん的に撮れ高があるのもわかるんだけど、すみません(笑)。

いえいえ!正直、そういった言葉を求めていたところがあったかもしれません。でも、そのお答えが、経営者のリアルな気持ちだとも思います。
最初に少しSNSの話が出ましたが、すべてのSNSをまったく目にしないのですか?

スタッフはやっていますが、僕自身はSNSをやっていなくて、見ることも一切しません。きっかけ作りは大切だし、これからの人は特に、やったほうがいいと思います。ただ、そっちが主軸になってはいけないのではないかと。

SNSでのフォロワーが1万人いるというのは、とんでもない努力がいることだし、すごいことです。でも、目の前のお客さんがくれる「1いいね」は、SNSの「1000いいね」くらいの威力があるんじゃないかな、って。いまはブームもあってSNSのほうが早い見返りがあるとみんな思ってるけど、確実にリピートしてくれるお客さんとリアルな場で深度を深めたほうが、長い目で見ると価値があるような気がします。

自分が現場の美容師でいることにこだわるのは、売り物を間違ってしまうことのないように、というのがあります。SNSは「情報」が売り物で、美容室の売り物は「カット」。そのカットの解釈を、お客さまと、どうすり合わせていくか?Zoomなどオンラインも浸透してきているけれど、僕らの仕事は、どうやったってリモートではできない。この先どんなにテクノロジーが進んだとしても、できないと思います。

このご時世にあって、「SNSを見ない」というのは強い意志がないと難しいのでは?

いや、強いのではなくて、弱いからです。もし美容師としてマジメに書いた僕の投稿が「10いいね」しかつかなくて、朝ランを投稿した美容師さんに「500いいね」ついていたら、やっかんでしまうじゃないですか(笑)。だから、フォロワーゼロどころか、アプリすら入れていません。SNSで一喜一憂していたら、僕の場合、普通でいられなくなる。普通を、普通でいられるって、一番難しいんです。

なるほど、深いですね。

コロナもそう。世の中の普通が、普通ではなくなりました。みんなと会う、ご飯に行く。それだけのことが、いま思うと“エンタメ”だった。だからいまは、お店として、美容師として、当たり前のことを当たり前にやる。お客さんと「続き」のあることを、きちっとみんなでやっていきたい。「続き」って、お互いがいないとできない。お客さんとも、スタッフとも。それが「深度を深める」ということです。

先ほどサロンに入ったと同時に、スタッフのみなさん一人ひとりが、すごく明るく挨拶してくれたのが印象的で。「顧客深度」の教育が行き渡っているのを実感しました。

僕は、教え方はうまくない。学ぶ側のセンスに、チューニングを合わせているだけです。お客さんも、スタッフも、「相手に合わせてチューニング」する。髪のことはお客さんより経験しているし、美容師としてもスタッフより少しだけ多く経験しているから、ちょっと先に起こるであろうことはわかるつもりです。それを、お互いにすり合わせていく。

…僕が話していることって、タイトルになるようなパワーワードないでしょ?大丈夫?SNSで拡散もできないから、この記事はPVも上がらないんじゃないの…?(笑)

僕は美容師として、当たり前のことを、当たり前に、“普通”にやっているだけだから。その“普通”を、お客さんとチューニングしながら、とことん究めていきたいですね。

VANさんの言う“普通”と、こちらが思う“普通”。
それは少し違っていたのかもしれませんが、最後にはすごく納得している自分がいました。きっとVANさんがチューニングしてくれていたのでしょう。

コロナで大事とされてきたもの。それもVANさんのフィルターを通すと、まったく逆の考えもあることに気づかされ、自分のなかの“普通”が、何度も覆されました。

VANさんは言いました。「美容師に向いていると思ったことは一度もない。もうちょっと先があるんじゃないか?と、すごく悩む。だから飽きないし、一生続けたい」と。

美容師として“普通”であることにこだわり、お客さんはそれを心地よく感じ、満足してリピートする。間違いなく言えるのは、VANさんの“普通”とは、とんでもなく高いレベル。長い年月をかけて辿りついた、「顧客深度」の先にあるものだということです。

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