「バーバー」人気の理由
今「バーバー」が人気の理由
近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。
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MERICAN BARBERSHOP( JR神戸線三ノ宮駅より徒歩5分)
バーバーがネオ大衆スタンドを併設
あの「MERICAN BARBERSHOP」が、2021年5月1日に神戸・旧居留地にてリニューアルオープン。ビル1Fのフロア内にはネオ大衆スタンド「MERICAN GOODSTAND」を中心に、美容室「Daisy」「Breath beauu」を統合した「MERICANビューティーパーラー」を併設。気になるコンセプトや狙いについて、オーナーの結野多久也さんに伺いました。
※ランチは2021年5月20日から、夜は6月21日からスタート。
男女問わず「自分たちのスタイル」に共感してくれる人たちを呼びたかった。
美容室と店舗統合に至った経緯とは?
「僕らがもともとやりたかったことは、ノンバイナリー(男性、女性といった枠組みを当てはめない)なバーバーづくり。」と結野さんは語る。「男女関係なく、僕らのスタイルに共感してくれる人たちを呼びたかった。なので美容室やバーバーが別店舗として存在しているっていうのが、そこから矛盾しているように感じてきたんです。」そういった想いから、今回3店舗を統合し、さらに飲食店をも併設した巨大店舗を創り上げた。
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今回ビルの1Fに路面店としてリニューアルオープン。広々とした店内の様子が外からも見て取れる
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路上に出された看板もノンバイナリーな雰囲気。男女関係なく”ハンサムなスタイル”が好きな人がターゲットだ
バーバーのデザインコンセプトは"どこかの街にある地下鉄の駅"。
駅には人が集まる。だから音楽や飲食、住宅などのコンテンツが増えていく。「何かをきっかけに色んなカルチャーが生まれるというのが、僕らに似ていると感じたんです」と結野さん。目指すのは”ライフスタイルの入口”としてのバーバーだ。ここで見て聞いて感じたことが、訪れる人のライフスタイルに反映される……そんな心の琴線に触れるようなものを厳選して置いているそうだ。
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広い空間はまるでN.Y.の地下鉄のような雰囲気を感じさせる。雑多なようでいて、秩序も存在している
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ネオ大衆スタンドの裏にも、二席だけのバーバースペースがある。まるで秘密基地のような親密さが漂う
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ラジカセや古いコミックスなどが並ぶ棚。懐かしくもあり、普遍的な魅力を放っている
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「中村商店」「FLAGSTUFF」とコラボして作ったカットクロス。何気なく使う道具にもこだわりが光る
”ネオクラシック”が自分たちのスタイル。
飲食店を併設した理由とは?
飲食店の併設は、福岡に続いて今回二店舗目。その理由を結野さんに聞いてみた。「”ヘアカット”だけで終わりたくないからですね。コーヒー一杯、アルコール一杯をきっかけに会話が生まれて、誰かが誰かとつながる。オンライン上じゃなく、リアルの場でくつろげるというのが価値だと思っているんです。」人と人がくつろいだ雰囲気の中で出会い、カルチャーを生み出していく発信地となっていきそうだ。
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エントランスを入ってすぐ目に入る、バースタンド。6月からはここでもアルコールが楽しめるとのこと
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バースタンドは、バーバースペースに隣接。ドリンクを楽しむ前後に、気楽にヘアカットを利用できる
角打ちを”ネオクラシック”にアレンジ。
「MERICAN BARBERSHOP」では、”ネオクラシック”を自分たちのスタイルとしてきた。つまり、昔からある馴染み深いものを、自分たちの世界観の中で再定義することだ。今回、神戸の高級ブランドショップが立ち並ぶ旧居留地に、関西が誇るカルチャーである”角打ち”を持ってきたのもその流れからだ。”ネオ大衆スタンド”としてデザインされたその空間は斬新で、クールで、どこか懐かしい。思わず昼から仲間と集い、酒を酌み交わしたくなるような気持ちにさせる。
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”ニューススタンド”をイメージしたという飲食スペース。バーバーとはBGMも異なり、くつろいだ雰囲気だ
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飲食スペースは外からも様子が見える。ちょっと妖しげなライトが通行人の興味をそそる
メニューのラインナップにも光る「MERICAN BARBERSHOP」らしさ。
ランチには、友人でもあるミシュラン獲得シェフが監修したスパイスカレー、ワッフルチキンやサラダなどが楽しめる。夜のメニューには神戸の郷土料理であるイカナゴの釘煮をおしゃれにアレンジしたフードや、薬瓶に入ったアルコールを使って作るドリンク、ジャパンクラフトのビールやワインなどを用意。飲食でも”ネオクラシック”なスタイルが楽しめるそうだ。
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ミシュラン獲得シェフが監修したというスパイスカレー。食欲をそそる香りが魅力的だ
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アメリカ南部のソウルフードだというワッフルチキン。あまじょっぱい味わいでクセになる
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焼酎などがメディシンボトル(薬瓶)に入れられて、整然と並んでいる。ここから好きなものを自分で選ぶスタイル
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ジャパンクラフト(グレープリパブリック)のワイン。懐かしさと新しさを感じさせるデザインが新鮮だ
オーナーインタビュー
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結野多久也さん。1978年、神戸市生まれ。外資系企業を経て、2005年より祖父が創業した美容用品卸売業・株式会社日仏商会へ。その経験を活かし2011年に美容室「Breath beauu」をオープン。同美容室の一角で営業を始めたバーバーが人気を呼び、2015年にそれを独立・発展させた店舗「MERICAN BARBERSHOP」を、2018年には福岡に「MERICAN BARBERSHOP FUK」をオープンした
Q.今後のショップの予定は?
A.さまざまなジャンルのブランドとのコラボを予定。
緊急事態宣言の影響もあって、飲食は6月から本格スタート。「猿田彦コーヒー」とのコラボも予定しています。7月には「FLAGSTUFF」や「寅壱」「スタンレー」など、さまざまなアパレルブランドとのコラボ商品をローンチ予定です。
Q.これから挑戦したいことは?
A.”場所”とのコラボにも挑戦していきたい。
これまで色んな”プロダクト(商品)”とのコラボはやってきましたが、今後は”場所”とのコラボに挑戦していきたいですね。北海道物産展を僕らのスタイルでアレンジするようなイメージです。すごく良いお店やカルチャーがあって地元では有名な場所はたくさんありますが、小さな店が多いので意外と知られていないんですよね。そういう、知る人ぞ知る格好良い”プロダクト”を掘り起こして、イベントを通じて広めていきたいと考えています。
Salon Data
MERICAN BARBERSHOP【メリケンバーバーショップ】
- アクセス
- JR神戸線三ノ宮駅より徒歩5分
- 創業年
- 2015年
- 店舗数
- 2店舗
- 設備
- 18席
- スタッフ数
- 20名 ※MERICAN BARBERSHOP