女性スタッフが辞めない
サロンの秘訣

結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。

vol.7スタイリストの事情に合わせた勤務条件で、長く働ける環境に。

BEETLE Hair ～natural～
／ヘアサロン

東京都世田谷区

1993年に秋田で創業し、4年前から東京都内・下北沢に進出したBEETLEグループ。7店舗あるグループ全体でママスタイリストが7名おり、早くから女性スタイリストが長く働けるサロンを展開してきました。

「BEETLE Hair ～natural～」は、ママスタイリストを中心に、スタイリングはもちろんお客さまのライフスタイルに合わせたヘアケアの提案などで信頼を築き、高いリピート率を誇っています。

1取り組み

出産後は本人の希望に合わせて、雇用形態を選択。

どんなやり方？

　13年前に最初の産休・育休を取り、現在は3児の母であるママスタイリストを筆頭に、グループ全体で7名のママスタイリストがいる「BEETLE」。出産後は個別の希望と事情に合わせた雇用形態を選ぶことができる。例えば育児中心で、夫の扶養の範囲で働きたいという場合は時給のパートとして勤務。時間の許す限りがんばりたいスタイリストは、月の勤務時間と売上予測から月給制にするなど、希望の働き方と実績によって柔軟に話し合い、対応している。

メリットは？

　スタイリスト自身が希望の働き方を選べるため、優秀な人材の離職を防げるだけでなく、失客を防ぐことにも繋がっている。また、「せっかくうちの会社に入ってキャリアを積み、結婚・出産もして幸せに歩んできた道を、さらに幸せにして後輩に見せてほしい」とオーナーの田中さんが語るように、後輩スタイリストのよいロールモデルにもなっている。

秋田店のメンバー。この中にもママスタイリストが2名いる

2取り組み

スタイリストに合わせた定休日や、
年中無休のシフト制で希望の曜日に休める体制。

どんなやり方？

　「BEETLE Hair ～natural～」はママスタイリストである和田さんが店長を務めるため、日曜・月曜・祝日を定休日に。営業時間も和田さんの保育園への送り迎えを考慮して9：00～18：00としている。スタッフの数が多いグループの他店は、基本は年中無休のシフト制。スタッフごとに休みの曜日を決めて、ママスタイリストが保育園の都合に合わせて休んでも、店の営業に支障がない仕組みとなっている。

メリットは？

　ママスタイリストが育児や保育園の事情で欠勤することを、最低限に抑えられている。また、グループの他店ではスタイリストごとに休む曜日が決まっているため、お客さまにもわかりやすくなっている。オーナーの田中さんは、ママスタイリストの勤務時間が短くても、ベテランが接客することでひとり当たりの接客時間が短くなり、結果、回転率がよくなると考えている。

ママスタイリストの和田さん（向かって左）が店長であることから、グループ内でも働きやすさがより、考慮されている

3取り組み

スタイリストたちにたくさんの経験をさせる。

どんな取り組み？

　ママスタイリストに限らず、スタイリストたちにはヘアとメイクだけでなく、本人の希望でエステやネイル、まつ毛カールなどさまざまなジャンルにチャレンジさせて、仕事の幅を広げてもらっている。そのためのセミナーやイベントにどんどん参加してもらい、お客さまにトータルビューティーを提供できるお店と人材に育てている。

メリットは？

　「サロンはおもてなしの場。お客さまがお金を持ってくるから売り上げが上がるのではなく、スタッフがどれだけお客さまにタネをまき、それが実るかどうか。そのタネ=経験を持たせるのがオーナーの役目だと思っています」と、オーナーの田中さん。長いおつきあいのお客さまが年齢とともにヘア以外の美容の悩みを抱えたときに、すべてに応えられる経験をスタイリストに積ませているため、リピート率が高く、顧客離れが少なくなっている。

「BEETLE Hair ～natural～」では、店長がスキルアップするとともにママとなったことで、客層がOLさんからママへと広がっている

オーナーインタビュー

オーナーの田中和寿さん。1993年に創業しご自身もトータルビューティーをてがける

Q. 勤務時間限定のママスタイリストの増加に不安はありませんでしたか？

A. お客さまは店につくもの。不安はありませんでした。

　お客さまが店を訪れる一番の理由はスタイリストですが、私はお客さまはお店につくものだと考えています。自分の担当以外のお客さまでもスタッフ全員でお客さまをおもてなしすれば、「知っている顔がいて楽しいお店」と思っていただけます。担当のスタイリストが産休に入ったり辞めたりした場合でも、次の1回くらいはお客さまは試しに元の店に訪れるものですよね。そのときに「担当が復帰するまでまた来よう」と思っていただけるか、「他店に変えよう」と思われるかが決まります。お客さまをつなぎ止められるムードがあれば、ママスタイリストも安心して産休に入れると思います。

Q. 女性スタッフが活躍できる秘訣は？

A. スタッフが元気で楽しく働ける環境をつくること。

　キャリアのある女性スタッフに続けてもらうことは店にとっても大きなメリットです。人は、自分の時間があるから育児もがんばれたり、人に認められ求められることで、やりがいを感じられるもの。子どもを持った女性スタッフが楽しく元気に働けるために、勤務時間を調整したり、新しい経験を積ませてあげることが大事だと思っています。