現在まで店舗展開をしてきましたのは、「社員一人ひとりのポジション＝居場所を作りたい」といった想いからです。
　ヘアサロンというのは、おもにデザインをご提供するビジネスでした。よく言われる言葉ですが、今後は「美と健康」をテーマに掲げ、さらなる可能性を探っていきたいと思っています。
　この先、「TJ天気予報」が私の手を離れるときにもスムーズに次世代に引き継げるように、財務状況も整え準備を進めていますが、特に引き継いでもらいたいことが3つあります。「お客さまへの想い」「社員のみなさんへの想い」「地域社会の中で本当に喜んでいただける存在を目指して果敢に挑戦していく姿勢」です。どれくらい、この想いを具体的な形にしてつなげていってもらえるのかが、一番の関心ごとですね。　
　今後、大きく市場が変化する中で、お客さまのニーズを先取りして「こんなサービスを待っていた」と言っていただける私たちでありたいです。

今後は人口の減少や高齢化の問題、また近年は格安サロンの台頭もあり、競争は激化し美容室経営もどのように先を描いていけばいいのか、難しい時代を迎えます。20年後はどうなっているのか正直私にも想像がつきませんが、現在、弊社をご利用いただいているお客さまが、私くらいの年齢を迎えられるわけです。美に対してはもちろんですが、心身ともに健康で豊かな時間を楽しめることが、キーポイントになるように思います。
　私自身の心理的変化や身体的変化も、弊社のサービスを準備するうえで参考になります。弊社では昨年より岩盤ホットヨガをスタートしていますが、ご要望の多さにびっくりしています。また、ヘッドスパがすっかりサロンに根付いてきましたが、育毛ケアについても大きな市場が広がっています。同時にウィッグ市場も大いに可能性があるように思います。ヘアカラーや育毛ケアが来店動機で、カットがオプションメニュー･･･、そんな時代が来るかもしれませんね。また、男性のお客さまの取り込みを、もっと真剣に考えていく必要があるとも思っています。

ヘアビジネスから事業領域を広げること、またヘアビジネスにおいても、よりニッチな市場を深掘りしていくことがこれからの成長のポイントのように思います。年金生活の方々の人口が増えることによって、「短時間・低料金」といったサロン形態も、もっと多くなるでしょうね。
　弊社も、来る時代を見つめながら、2～3年先のサービスを具体的に描いてチャレンジしていきたいと思っています。

お客さまに笑顔になっていただくために、私たちが笑顔をお届けできるよう心を育て、知識・技術を熟成し、自身の成長にチャレンジしていく。そんな私たちであり続けたいと思います。そのようなより良い会社、やりがいを持てる会社にするには、「社員のみなさんがいきいきと輝ける環境をより充実していくこと」が大事だと認識しています。具体的にひとつあげると、退職金についても考えています。設立当初から退職金は用意させていただいておりますが、一般の優良企業並みと言えるくらいに、その金額をもっと上げたいですね。そのような「企業としての力」を蓄えていきたいと思っています。それも、弊社で安心して「長く働きたい」と思っていただくこと、また「この仕事を選んでよかった、この会社を選んでよかった」と思っていただくことにつながります。
　経営者は、お客さまやスタッフに育ててもらっているもの。みんなで得た成果を、みんなで分かち合うのは、当然のことです。職場環境を整えるということは、私が社員のみなさんにできる「還元のひとつ」に過ぎません。

• 

  「美容師は、人の気持ちを汲み取る仕事。自身の心を育てる勉強がたくさんできる職業ですね」、と大前さん