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第2章なぜ早期デビュー&高待遇が可能なのか

「理想と現実にギャップがあるなら、
改革の余地があるチャンスってこと」

「社員は全員主人公」という社員第一主義を掲げています。それはどういう想いから?

阿部●一人ひとりの人生は一人称視点で見たら誰でも「自分が主人公」ですよね、当たり前ですけど。それなのに、働くことで「会社に使われている立場なんだ」と感じるような企業にしたくないって気持ちがあって。ただ、「自分だけが主人公」だと考えちゃうと、相手が脇役ってことになってしまう。そうではなくて、「一人ひとりが主人公で、主人公が集まった会社なんだよ」って相手を尊重する大切さは、繰り返し伝えています。あと僕自身に関しては脇役に徹して、主人公である社員の人生を成功させたいですね。

鈴木●「全員が主人公」の例を挙げると、うちにはアシスタントという概念がないんです。入社後、まずはジュニアスタイリストという立場になります。アシスタントがいないから、売れっ子も新人も関係なく、助け合わないとやっていけない環境。だから店長が下の子たちのサポートに入ることも普通にあります。

アシスタント期間がなく、最短3カ月でのデビューを可能にしているものは何でしょう。

吉田●一番は、学校並みに「教育に時間を割いていること」ですね。僕が新人時代に勤めたサロンは朝晩1時間が教育にあてられましたが、うちは1日6時間。その時間はサロンワークができないので稼ぎがない状態ですが、長期視点で見たら2年も3年もアシスタントでいるよりは早くデビューしたほうが生産性は上がる。そしてこれだけ濃密な教育ができるのは新人をアカデミーに送り出してくれる先輩スタッフの存在があればこそなので、「感謝の気持ちが大事だよ」と新人にも伝えていて。社員同士の助け合いがあるおかげで、早期デビューが可能になっています。

教育方針やカリキュラムはサロンによってさまざま。いまのやり方にした決め手は?

吉田●教える人によって内容が違うことがままあるので、まずは「教育部」として一つの正解を設定し、それを教えるアカデミー方式に。そして教えるのは80点の状態まででいいから、早く現場に入って、お客さまとふれあう楽しさを体験してほしくてこの方法にしました。僕自身、新人時代は3カ月間ずっとシャンプーばかり。「何のために美容師になったんだっけ?」と疑問に感じたことも…。だから完ぺきじゃないとしても、モデル価格、ジュニアスタイリスト価格で、お客さまを施術する経験を積んでもらいます。

阿部●教育に関心がなかった時代が美容業界は長かったと思うんです。自分が受けたようにしか教育しない固定観念が強くて、改革しようとしなかった。変わったのはカリスマ美容師ブームが崩壊した後にアシスタントを経験した、僕たちの5歳上くらいの世代からなのでは?カリスマが強烈な実力で「こういうものだ」と印象を固めていた文化が弱体化して、僕ら世代は教育改革の必要性に目覚めた。そして上の世代も変化の必要性を感じるようになった、という変革期がいまなのかなと。

技術カリキュラムに関しては動画で見られるようにするなど、いろいろな改革をしていますね。

吉田●教育用の動画に関しては、スタッフの残業を減らすために制作しました。僕自身もそうでしたが、新人の頃は先輩に付き合ってもらって、スタイリストになったら新人のために時間を割いて…とどうしても残業になりがち。でも動画なら通勤の移動時間とか、家だとか、空いた時間にいつでも見ることができますから。

阿部●「美容師は新卒後1年間で辞める人が5割」だなんて調査結果もありますが、そう聞くとどんなひどい業界だよって感じですよね。ちなみにうちの離職は、創業3年経ちましたが新卒1名を含め、計5名にとどまっています。

美容業界に飛び込んできた、みんなのワクワクを叶えるのが僕らのロマン。「現実はそんなに甘くない」と言われたら「やった、そうなんだ!」って、僕のなかのブルーオーシャンランプが点灯します(笑)。理想と現実にギャップがあるってことは、改革できる部分がある。誰も手を付けていないところだからこそ、“チャンス”にとらえて、よりよく変えられる部分は変えています。

労働環境や待遇の改善で言うと、給与も高水準ですよね。現在の平均給与は?

鈴木●平均給与は2020年時点だと約30万円で、今年の分はまだ確定していませんが上がっています。昨年は8店舗の出店をし、現在の社員数87人のうち47人は昨年雇用しました。年商も昨年の3億から今年は5億3,000万円見込みと増えているため、給与額も上げていて。現状だとだいたい32万~33万円くらいかと思います。

うちは「職場改善アンケート」というのを取っているんですが、それを見たところ、みんな額に満足しているかというと、意外とそうでもなくて(笑)。僕が勤めていた頃と比べると歩合もだいぶ高くしているんですが…。たとえば、ほかのサロンで100万売上で月給は24万円くらいのこともありますが、うちなら月給40万円くらい。でも、いまいるスタッフにとっては、その金額をもらえることがいい意味で「当たり前」になっているんですよね。なのでここ1年で、さらに歩合率も上げました。

給料をアップしていくには原資が必要です。それは多角経営で得ているところが大きいですか?

鈴木●そうですね。美容室の利益率って10%とかそこらしかなくて、だけど給料はもっと上げていきたい。「打倒!公務員、打倒!大卒」が目標なので(笑)。でもとにかく稼ぐためにといってブラック化するわけにはいかないし、予約を獲得する仕組みづくりもがんばってはいるけど限界もある。ということで多角化展開は必然なのかなと。

阿部●原資を確保するために、予算委員会を組んでタオル、材料費、宣伝広告費など、何にいくら使っているかを詳細に洗い出し、削れるところは削るってこともしているよね。

鈴木●材料費の削減に関しては、たとえば売上に対する材料費率を8%から7%に下げたらスタッフ1人あたり3,000円のボーナスを出す、といった仕組みにしています。その材料係は1年目スタッフの担当。まだ売上が少ない彼らからすると、3,000円という金額は貴重です。すごくやる気を出して、がんばってくれていますね。

  • 技術教育用の動画が視聴できるスマホアプリを自社開発。まずは動画を確認し、それを基本として先輩に質問する流れができ、教える側・教わる側どちらにとっても効率的だ

  • 海外事業部や教育部など6つの事業部があり、美容師は入社後に営業マネージメント部に所属。「材料係」「美化係」などの役割が与えられ、新人時代から責任感とやりがいを感じる仕組みに。事業部内で利益が上がると、ボーナスとして分配される

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