イノベーターが
見ている未来
vol.78
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
「Agu.」グループ、株式会社AB&Company
代表取締役
市瀬 一浩さん (age.40)
美容業界に、大きなニュース!2021年11月19日、業務委託サロン最大手の美容室「Agu.」を展開する「株式会社AB&Company」が、マザーズ上場。美容室としては、日本で6社目の快挙となる。今後のさらなる挑戦とは?
・「AB&Company」WEBサイト
https://ab-company.co.jp
・スタイリストファーストに迫った、市瀬さん「トップインタビュー」(2020年10月)
https://hba.beauty.hotpepper.jp/check/23061/
第1章業務委託サロン初の上場
「業務委託だからと、あきらめてほしくない。
美容業界でも、ほかの産業でも」
この度は、マザーズ上場おめでとうございます。前回のトップインタビューから約1年。今回は「特別版」といった形で、上場を中心にうかがいたいと思います。
まず、上場承認の連絡を聞いたときのお気持ちは?
喜び半分、安堵半分といった感じでした。私たちがやってきたことは間違ってはいない、と信じてはいましたが、上場は決して容易なことではなかったので…。
上場の目的を、教えてください。
大きくは、「経営管理面の強化」「信用力の向上」「認知度の向上」の3つです。それには、上場をするほかない、と。FC(フランチャイズ)を始めた2013~2014年頃から頭の中でイメージはしていて、2017年から本格的に準備をしてきました。
当初は2020年での上場を目指していたものの、コロナ禍ということもあり約1年遅らせましたが、結果的にこのタイミングでよかったと思います。
上場の準備というのは、具体的に?
会社を大きくしないと、上場を視野に入れることはできません。なので、まずはFCオーナーを育てて、仕組みをつくり、着実に店舗を増やしてきました。一方で、本部の機能を強化するため、2018年頃は3~4名だった本部の人員を、60名くらいに増やしました。店舗・FCオーナーが増えていくなか、どう本部で一元管理するのか、ということが課題になってくるからです。
私自身、会社を成長させることは得意でしたが、上場に関する知識は、正直なかったんです。本部の人員強化や、投資ファンドである「CLSA Capital Partners」との資本提携(2018年3月)も、それらを意識してのことです。本部の経営陣のなかにも、そういった知見を持っている者が数人いたので、「CLSA」の方々を含め、私の考えをぶつけて何度も壁打ちしてきました。
業務委託サロンでは「初」の上場。そのあたりは、いかがですか?
美容業界でも、ほかの産業でも「業務委託だから」と、あきらめてほしくないんです。我々の上場が、業務委託メインでがんばっていらっしゃる経営者の方に、強いメッセージをお伝えできていたとしたら、うれしいですね。
業務委託と正社員という「働き方」の部分は、各審査段階で厳しくチェックしていただきました。それに対しては、適切な労働環境であることを、きちんと示すことが必要になってきます。弊社では、業務委託スタイリストの方々に「業務委託制がしっかり担保されているか」など、年に2回、働く環境についてアンケートを実施しています。きちんとした労働環境であるという点で優位性があったように思います。
業務委託サロンでは「初」の上場!
現在655店舗、次に目指すは1,000店舗。