Vol.1/美容業界の常識は社会のヒジョーシキ!?
- サロンの労務知識
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vol.2
〜「マイナンバー」はどうすればいい!?編〜
Vol.1で、「2016年1月からマイナンバー制度が導入されると、労働保険や社会保険に入っていないサロンは経営でごまかしがきかなくなる」とお伝えしました。それはなぜなのか、今回はマイナンバー制度と経営について解説します。
須多井 リスオ(スタイ リスオ)
小尾奈 サロヒコ(オオナ サロヒコ)
赤出 ミーコ(アカデ ミーコ)
秋田センセイ
ビューティー
マイナンバーとは、日本に住民票がある人全員に付けられる12ケタの個人番号のこと。住民票があれば外国人も含まれます。2015年の10月以降に「通知カード」の送付が開始されましたが、そこに自分のマイナンバーが記載されています。
マイナンバー導入の目的は、「行政の効率化」、「国民の利便性の向上」、「公平・公正な社会の実現」。2016年1月から、社会保障、税、災害対策の行政手続で徐々にマイナンバーが必要になっていきます。
また、国民や住民個人の番号とは別に、法人には法人番号が付けられ、登記上の所在地に通知が送られてきます。一法人に対して1つの番号なので、支店や事業所には付けられません。また、個人事業主にも付けられません。
個人は、最初に役所から「通知カード」が送られてきて自分の番号(マイナンバー)を知ることになります。その後、別途申請することで、運転免許証などのように写真が入った「個人番号カード」を取得することもできます。「個人番号カード」は公的身分証明書として本人確認に利用でき、将来はさまざまな公的サービスを受ける際に便利に使えるものですが、取得は義務ではありません。「公的身分証明書として運転免許証やパスポートがあるので『通知カード』で自分のマイナンバーがわかればよい」という人は「個人番号カード」を取得しなくても大丈夫です。尚、「通知カード」は、令和2年5月25日以降は、新規発行や再交付は行いませんが、マイナンバーカードの申請は引き続き可能です。
みなさんが毎月スタッフに給与を支払う際、所得税などを源泉徴収したり、スタッフが納めるべき社会保険料などを給与から天引きして、事業所としてまとめて納めていると思います。
前述のように、マイナンバーは税分野と社会保障分野における行政手続きに必要。スタッフ分の税金や社会保険料をサロンが天引きして納めるために、スタッフたちのマイナンバーを教えてもらわなければなりません(扶養家族がいるスタッフの場合は、その家族分も)。正社員だけでなく、契約社員やパート、アルバイトも同様です。たとえサロンが法人でなくても、人を雇って給与を支払い、所得税等の源泉徴収や労働保険などに加入している場合は(個人事業主でも人を雇う場合、加入要件を満たせば労働保険加入は義務)、スタッフからマイナンバーを取得する必要があります。
ただし、スタッフのマイナンバーは「社会保障及び税に関する手続書類の作成事務を処理するために必要がある場合に限って、スタッフ等に個人番号の提供を求めることができる」とされているため、それ以外の目的でスタッフのマイナンバーを取得したり使用したりすることは禁じられています。
税務と社会保険という2つの分野でマイナンバーを記載した書面を提出することが要求されています。スタッフから拒否されると、行政機関に提出する書類の記載事項が欠けてしまいます。よって、マイナンバーの記載が必要であることをスタッフにきちんと説明しましょう。それでも拒否されたときは、マイナンバーの提出を拒否された経緯を書面に残すなど、書類の提出先(税務署や年金事務所など)の指示に従ってください。
スタッフからマイナンバーを集める際、注意すべき点が2つあります。
1番目はスタッフに対して「利用目的をきちんと明示する」こと。ポイント2でお伝えしたように、「みんなの給与から税金などを徴収する手続きのために必要なんだよ。マイナンバーの記載漏れがあると正式な書類とならないため、事務手続きに支障をきたすことが考えられるんだよ」ということをきちんと伝えましょう。
2番目は「マイナンバー取得時の本人確認は厳格に行う」ということ。これはなりすましを防ぐためで、スタッフからマイナンバーを教えてもらう際、「マイナンバーの番号確認」と「本人確認」を同時に行うことが必要です。そのため、マイナンバーが書かれた「通知カード」と、本人であることを証明する運転免許証などの公的身分証明書の両方が必要となります。ただし、前述のマイナンバーの「個人番号カード」を持っているスタッフは、それ1つで大丈夫です。くれぐれも「タロー君の番号何番?」「123456789012です!」などと会話やメールで番号だけ聞いて終わりにはしないように。
マイナンバー制度による税や社会保障の手続きは、2016年1月から始まりますので、現在雇っているスタッフ分についてはできるだけ早めに収集することをお勧めします。また、新しく人を採用する場合、1日でも雇い賃金を支払ったらマイナンバーが必要になりますので、面接などをして採用が決まった段階(内定を出したとき)で、マイナンバーを収集することをお勧めします。
次号では、集めたスタッフのマイナンバーの管理方法について解説します。
監修
特定社会保険労務士
秋田繁樹さん
プロフィール:
社会保険労務士法人秋田国際人事総研 代表。東京都社会保険労務士会所属。国内大手生命保険会社、大手企業のシステムインテグレーターなどを経て、独立開業。人事労務のスペシャリストとして、多店舗展開の美容室の労務管理や就業規則・社内規定などにも詳しく、多数の美容室の指導相談に当たっている。http://www.akita-sr.com/
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