Vol.1/美容業界の常識は社会のヒジョーシキ!?
- サロンの労務知識
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サロンオーナー必見!
vol.4
〜「社会保障」のキホンを知る編〜
人を雇用するときに、経営者としての責任が問われやすいのに、サロンオーナーが詳細を知らないケースが多いのが社会保障のこと。今回からは、マイナンバー制度が実施された以上、知らないでは済まされない社会保障について解説します。
※青文字・下線が付いた箇所をクリックすると、その言葉の説明が見られます。
須多井 リスオ(スタイ リスオ)
小尾奈 サロヒコ(オオナ サロヒコ)
赤出 ミーコ(アカデ ミーコ)
秋田センセイ
ビューティー
みなさんも「社会保険」や「雇用保険」などの言葉を聞いたことがあると思います。これらは人が会社などの組織で働くときに加入する保険のことですが、それを専門で扱う仕事をしていなければ、種類や内容について正しく認識している人は一般企業の会社員でも多くはいないようです。
しかし、サロンの経営者ともなればそうは言っていられません。まずは種類と名称について正しく知っておきましょう。
労務における社会保障は、大きく分けて2つ、さらに2つずつ分けて全部で4つの保険のことを指します。
【社会保障に含まれる保険】
●労働保険→労災保険と雇用保険の2つがあり、その総称のことです。
●社会保険→健康保険と厚生年金保険の2つがあり、その総称のことです。
「社会保障」全部のことを「社会保険」と呼んでいる人もいますが、正しくは上記のように分かれています。まずはこの用語を今日から覚えてください。
4つの保険について、必ず入る義務のあるものと、任意のものについて解説します。
労働保険 | 労災保険 | オーナーが法人であっても個人事業主であっても、人をひとりでも、1日でも雇ったら必ず全員、加入しなければなりません。スタッフが正社員の場合はもちろん、パートでもアルバイトでも同様です。 |
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雇用保険 | オーナーが法人であっても個人事業主であっても、人をひとりでも雇ったら加入しなければなりません。
しかし、雇っているスタッフを全員加入させるのではなく、「週20時間以上、かつ31日以上働き続ける」スタッフが適用されます。つまりパートでもバイトでもこの条件に当てはまれば、雇用保険に加入させなければなりません。ただし、昼間の学校に通う学生や、日雇いで毎日その都度給与を支払うスタッフなどは適用外です。 |
|
社会保険 | 健康保険 | サロンが法人登録されている場合は、人を雇わずオーナーがひとりでサロンを経営していても加入しなければなりません。
一方、オーナーが個人事業主である場合は健康保険の加入は任意となります。通常は個人事業主でも5人以上雇っている場合は加入が義務づけされていますが、特定の業種にはその義務はなく、美容業は適用事業所に該当しないため任意加入となります。任意なので、オーナーが魅力的なサロンづくりを目指して加入したい場合はもちろん加入できます。 個人事業主のオーナーが健康保険の加入をしない場合は、スタッフたちに個人で国民健康保険に加入してもらうことになります。 |
厚生年金保険 | 健康保険と同様で、オーナーが法人である場合は、人を雇わずオーナーがひとりでサロンを経営していても加入しなければならず、オーナーが個人事業主である場合はスタッフの厚生年金保険の加入は任意となります。
個人事業主のオーナーが厚生年金保険の加入をしない場合は、スタッフたちに個人で国民年金を納めてもらうことになります。 国民年金は20歳以上の国民全員に義務づけられた制度で、サロンで厚生年金保険に加入した場合、納付はスタッフ分もまとめてサロンが行うことになります。 |
各保険の目的や事業主負担額の目安などの詳細については、次回以降で詳しく解説していきます。
法人なのにいずれかの保険に入っていなかったり、個人事業主でも労働保険に入っていない場合、行政からの指導が入る場合があります。特にマイナンバー制度が導入されてからは、税分野と社会保障分野のデータがつながりを持つため、給与を支払っているスタッフが社会保障の保険に入っていないことがすぐに把握できると考えられます。健全な経営のために、適切に加入するようにしましょう。
次号は「労災保険」編です。
監修
特定社会保険労務士
秋田繁樹さん
プロフィール:
社会保険労務士法人秋田国際人事総研 代表。東京都社会保険労務士会所属。国内大手生命保険会社、大手企業のシステムインテグレーターなどを経て、独立開業。人事労務のスペシャリストとして、多店舗展開の美容室の労務管理や就業規則・社内規定などにも詳しく、多数の美容室の指導相談に当たっている。http://www.akita-sr.com/
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