お客さまに支持されたサロンを表彰する日本最大級のアワード、「HOT PEPPER Beauty AWARD」。「GOLD Prize」「SILVER Prize」受賞サロン、または「注目サロン」に選出されたサロンへのインタビュー。取り組みや受賞の秘訣をうかがいます。
【新潟】スタイリスト一人の小さな理容室。
メンズならではの会話で、リピーター9割!
be-can (ビーキャン)
HOT PEPPER Beauty AWARD 2022 GOLD Prize
新潟市西区の住宅街にある「be-can」は、2席のみの理容室。スタイリストは、オーナーの吉澤さん一人だ。HOT PEPPER Beauty AWARD 2021にてSILVER Prize、2022はGOLD Prize受賞。オープンして10年、なんと最初の3カ月以外は、集客に困ったことがないという。リピーター9割という圧倒的な吸引力の秘訣は、どこにあるのか?
https://beauty.hotpepper.jp/slnH000229528/CONCEPT
プライベート空間で、ゆったり寛げる理容室。お客さま一人ひとりに、じっくり向き合った接客を心がけている。
AWARD受賞・
売上アップに向けた
取り組み
メニューをセットにしたクーポンで、迷わせない!
パーマ提案はしながらも、断れる「逃げ道」をつくる
「スタイル写真」は、親近感を大切に
メニューをセットにしたクーポンで、迷わせない!
HOT PEPPER Beautyに出しているクーポンは8件と、決して多くはない。その理由を、オーナーの吉澤さんはこう語る。「クーポン枚数が多いのも、それはそれでいいと思うのですが、僕自身はお客さまが迷ってしまう気がして…。なので、枚数を少なくして、ひとつのクーポンにいろんなメニューを組み合わせるようにしています」
なかには、シェービングを「怖い」と思う人もいるそうだが、ナノスチームを浴びながらのシェービングの気持ちよさ&剃ったあとの肌のなめらかさは、一度経験するとハマる。
また、眉をどのように整えていいのかわからないメンズも多い。眉毛カット&眉シェーブ(余計な産毛を剃ること)をすると劇的にかっこよくなるので、これもリピートする人が多いメニュー。
このように、セットクーポンは「未経験の方によさを知ってもらう」という意味でも有効だ。
お客さまは20代~40代が中心。ビジネスパーソンには身だしなみのセットメニュー、大学生には平日限定のお得クーポン
パーマ提案はしながらも、断れる「逃げ道」をつくる
パーマをかけるとイマドキのスタイルになるだけでなく、家でのスタイリングがラクになる。だが、パーマ=クルンクルンになってしまうのでは?と、抵抗を持っている人も…。そこで、カウンセリングではパーマの写真を見せながら、どんな雰囲気になるかを丁寧に説明。さらに、最初は「ゆるめ」から始めて、「普通」・「強め」と段階を踏むことも可能であることを伝える。
ただし、無理強いはしない!特に学生はお金がないこともあるので「お金がないなら、やらなくてもいいよ。お金に余裕がある時にやってみたらどう?」という一言を添えて、“断りやすい”提案を心がけている。
2022年11月に内装をリニューアル。飾られているディスプレイも、より男性ウケするものをセレクト
「スタイル写真」は、親近感を大切に
お客さまのうち6割が、近くに住む大学生。上で記述したパーマ提案の際も、見せる写真がモデルのようなイケメンばかりだと、それが自分に似合うかどうか想像しにくいもの。なので、実際にbe-canでパーマをかけた、お客さまの写真を使用。
HOT PEPPER Beautyのスタイルページも同様だ。新規のお客さまにも、親近感を持ってもらえる写真を意識している。
HOT PEPPER Beautyのスタイル写真
オーナーインタビュー
吉澤 信也さん
長野県生まれ。理容専門学校を卒業後、都内の有名サロンに約10年勤務。「東京都理容競技大会」にて準優勝に輝いたこともあるほど、卓越した技術にも定評がある。その後、2012年に奥さまの実家である新潟で理容室を開業。
ークーポンで、ほかに意識していることはありますか?
お店が得をしないクーポンは、つくらない。単純に単価を大きく下げる、ということはしません。土日は常に予約でいっぱいなので、下げるとしても平日に来てもらえるよう学生向けに200~300円くらいです。
それなら学生さんもうれしいし、お店としても土日と平日の集客バランスがとれる。お互いにとって、いいですよね。
ー押し売りをしない、というのも印象的です。
僕自身、押し売りされるのが嫌なので(笑)。「売上」というお店都合で、提案をすることはありません。
もちろん、お客さまにとって必要であれば、メニューも店販もおすすめします。でも常に、お客さまが断りやすい「逃げ道」を、会話のなかでつくるようにしています。
ーやさしい気遣いですね。
男性は特に、髪のボリュームが気になってくる方もいると思いますが、どのような提案をされますか?
お客さまから、そのことを相談されるまでは、こちらから触れることは絶対にしません。もし相談されたら、パーマやスタイリングで解決できる場合もあるので、家でもできるやり方を含めて、お伝えします。
ヘッドスパも、抜け毛予防やリラクゼーションという観点での説明はしますが、過度に期待させるようなことは言いませんね。
ー大学生のお客さまが、6割とか。吉澤さんは「頼れる兄貴」という存在なのでは?
2席のみと小さいお店なので相談しやすい、というのがあるかもしれません。
ありがたいことにヘアスタイル以外のこと…たとえぱ恋愛や就職について相談されることもあります。たいしたことは言えないのですが、自分にできる精一杯の助言はします。
次に来店してくださった時に、「この間の面接どうだった?」とか話の続きができるように、カルテに会話の内容を書くようにしています。
でも、メンズは月1回と来店周期が早く、リピーターさんが多いので、会話はほぼ頭に入っていますね。人との信頼関係をつくるうえで、「会話を覚えている」ことって大事だと思うんです。あと、「お客さまの名前を呼ぶ」ことも意識しています。
ー確かに、名前を呼んでもらえるだけで、うれしいものですよね。
ほかに、メンズならではの提案はありますか?
女性は髪型を変えなくても、結んだり編み込んだりと、毎日アレンジを楽しめますよね?でも、男性はそこまで変えられない。
なので、複数ワックスの使い分けを提案しています。「普段、ワックスは何を使っているの?」と聞いて、お客さまが言ったことは絶対に否定せず。「それもいいけど、ワックスを2~3個使い分けるだけで、すごく印象が変わるよ」と。その日のシチュエーションによって、ナチュラルとか、かためてみようとか。そうすると、毎日気分が変わって、お客さまもスタイリングが楽しくなってくるんです。
ー今後、店舗を増やす予定は?
大きくしたいとは、思わないです。小さい店だからこそ、お客さまとプライベートな会話ができるので。
ーHOT PEPPER Beauty AWARD 2021ではSILVER Prize、2022はGOLD Prize。次も狙いますか?
賞を取りたいとか、売上をあげたい、という気持ちはゼロなんです。お客さまの生活、人生に寄り添って、その人がよりよい生活が送れるお手伝いがしたい。それだけですね。
取材レポート
現在、スタイリストは吉澤さんのみ。アシスタントは1名、38歳の笹川さんだ。聞けば、脱サラして、理容専門学校の通信で学びながら働いているという。
『彼は家族もいて、38歳で理容師を目指すというのは勇気のいる決断。でも、すごくやる気があるから応援したい。歳が近いので話も合うし、経営の話もします。来年にはスタイリストデビュー、4~5年後には店を出したいと目標も明確だから、技術だけではなく、接客やコミュニケーションを学ぶ姿勢も前向き。“独立するときは、花を贈るよ!”って話しているんです』
吉澤さんが、自分=店都合で考えないのは、対:お客さまだけではない。スタッフの人生にも、本気で寄り添っている。その誠実さが、伝わってきた。
be-can (ビーキャン)
- アクセス
- 新潟県新潟市西区新通南3-6-15
- 創業年
- 2012年
- 店舗数
- 1店舗
- 設備
- セット面2席
- スタッフ数
- スタイリスト1名/アシスタント1名