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第2章高リピート率の秘訣はカウンセリング

「“似合わせ”は、当たり前。
お客さまが気づいていない理想も叶える」

多彩なアイラインエクステのデザインを可視化し、お客さまにわかりやすく伝えるために「アイラッシュシミュレーター」も開発した

現在は長野県内のほか、東京都内にもサロンを展開。どちらもリピート率はほぼ100%だとか。その秘訣は?

根底に「お客さまに寄り添い、お客さまの喜びが自分の喜びである」という考え方にあると思います。そして寄り添うために、パーソナルなカウンセリングを重視していること。

私たちは新規のお客さまの場合だと、30分間はカウンセリングに時間をかけます。すると心が通じ合う感覚があるんですよ。そうして悩みを共有すると、それを改善するための施術ができる。お客さまには、どこのサロンでもできる同じようなデザインではなくて、自分だけのオーダーメイドのアイラインエクステが体験できたと喜んでいただける。大変ありがたいことに、それがリピートにつながっているのだと思います。

「うちもカウンセリングをしているけどな…」というサロンもあると思いますが、カウンセリングの内容が違うのでしょうか。

そうですね、まつげというよりも「目元の印象を変える、アイラインエクステのためのカウンセリング」なのでちょっと特殊です。

私は顔のカウンセリングを行う「ヴィザジスト」の資格を持っているのですが、そのメソッドや行動心理学も利用しながらカウンセリングをしていきます。

たとえばお客さまのメイクを見て、その方がどこの部分を気にしていて、どんな目になりたいのかを読み取ったり。お客さま自身が明確にはできていない、悩みや理想を引き出していくという方法なんです。

この方法であれば、「何もわからないから提案してほしい」というお客さまに対しても、満足していただけるデザインを提案できる点が強み。カウンセリングを通じて、お客さまがご自身の気持ちに気づいたり、漠然と考えていたことを言語化することができます。

本人も気づいていない要望を、言語化するというのは?

「自分の顔のここが嫌だな」とは思っていても、「どうしたらいいのか」までは想像できないと思うんですね。たとえばまつげをビューラーでグッと強めに上げていても、カールが強めなのが好みだとは限らなくて。お話を聞いていくと、実は「まつげがすぐに落ちてくるのが嫌だから、カールが保つように強めにしている」というご自分なりの理由があったりするんです。

また、たとえば顔が大きく見えることに悩んでいても、普通はまつエクで改善できるなんて思わないからヒアリングしても悩みとして出てきませんよね。そういう思い浮かばないようなことや、自分から言い出しにくいことはカウンセリング時のチェックシートに項目を用意しておきます。それを見てヒアリングする際にこちらから「だったら、こういう方法がありますよ」と提案しています。

そうして気持ちをくみ取って、話が出てくるように誘導することが一番大事。それをふまえて施術をすると「そうそう、これが私のなりたい姿なんだ!」と喜んでいただけます。

カウンセリングがまず土台であり、その解決策となるのが技術なんですね。

そうなんです。技術が上手なだけでは、お客さまを満足させられないと私は思っています。施術者はきれいに作ること、技術が上手なことにフォーカスしがちですが、お客さまからしたらそこはスタンダードであって欲しくて。そのうえで「似合う」「なりたい」「悩み解消」この3つを同時に叶えることが“お客さまの満足”につながると思っています。

アイデザイナーの世界だけではなく美容師さんも「似合わせ」という言葉を使うと思いますが、“似合わせ”だけではなく、お客さまのお悩みやご自身をどう表現したいのかという「パーソナルな部分に寄り添う」ことを一番大切にしています。そこをカウンセリングで引き出してこそ、アイラインエクステの技術も活きてきます。オーダーメイドでデザインできるだけあって方向性を間違えると、まったく要望とは違ったものになってしまうんです。

カウンセリング方法も施術的な部分も特殊ですが、伊東さんだけの独自技法とはせずに現在は長野店を任せているスタッフの方はもちろん、他店のアイデザイナーの方にもこの技法を伝授しています。それができるのは、ロジカルに体系化して説明するのがお得意なんでしょうね。

いえいえ、得意とは真逆で、すごく苦手だったんです!アイラインエクステがお客さまに感動していただける技術であることは、日々お客さまを通じて確信していたので他の人にも共有したいけれど、私は元々感性とか感覚的なタイプなので最初は言葉でうまく伝えられませんでした。「こうすればできる」と思っても、知らない人からしたら「なぜそうなのか」というのが納得できないし、説明ができない。どうしたらいいんだろう…と、常にもどかしく思っていました。

そんなとき、まつエク商材メーカー「日本アイラッシュ総研(当時は松風)」さんでメイク理論のセミナーを受講する機会があって。私はメイクアップも独学でやってきたのですが、セミナーを聞いて「私のしていること、伝えたいことはこれだ!」と思ったんです。それで錯視効果だとか印象コントロールといったメイク理論と私の考えを掛け合わせながら、アイラインエクステやカウンセリングのマニュアルテキストを作り上げていきました。

それは誰かに頼んだわけではなく、お一人で作っていった?

一人で黙々と、メイク理論などもめちゃくちゃ勉強しながら…、完成まで約10年かかりました。自分の頭の中にあるものを落とし込まなくてはいけないので、自分でやるしかない。大変ではありましたけど、それがよかった面もあります。セミナーで教える際に、質問されてもうまく答えられなかった部分を一つひとつ潰していくことで自分の中で整理できましたし、「自信をもって施術ができない」という方にも「私も最初はそうでしたが、理論を理解するとお客さまにも納得していただける提案ができますよ」と実感をもってお伝えすることができています。

アイラインエクステのテキストを作り上げる過程で顔全体のデザインについて考えていった結果、まつげだけではなくアイブロウのパーソナルなデザインにもつなげることができて。アイブロウのテキストに関しては1カ月ほどで完成させることができました。

理論の確立まで約10年の時間がかかっても、あきらめようとは思いませんでしたか?

当時、いろんな方から「まだあきらめていなかったの?」とよく言われました(笑)。でも私自身がこのアイラインエクステの素晴らしさに感動していたし、当時からサロンで施術してお客さまが喜ぶ姿を毎日見ているわけです。だから、どうにかしてこの技術を皆さんにもお伝えしたい、形にしたいという気持ちがあったので…。

ただ完成させたといっても、常にバージョンアップさせる必要があるので改定は重ねています。この技術を活用したいと言ってくださる方がしっかりと落とし込みができるように。そしてその先のお客さまが、いまよりも更に喜んでくださるようにと思い、常に試行錯誤しています。

たとえばパーソナルカラーに応じたデザイン方法の資料や、デザインを分かりやすくお客さまに提案できる資料とか。美容の専門職の方や、知識やこだわりがあるお客さまもいらっしゃるので、私たちも勉強を続けなければなりません。そうしたカラー診断など、さまざまな知識の裏付けをもってデザイン提案すると、こだわりのあるお客さまも納得してくださるんです。

  • 目の輪郭を縁取る「アイライン」とまつげをデザインする「アイデザイン」の多重構造で、目元の印象はここまで変わる

  • まつげだけではなく目元をトータルにデザインするため、顔分析や骨格の見極めを取り入れたアイブロウメニューも提供している

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