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第3章独自メソッドを日本中に、そしてアジアに

「パーソナライズしたデザインを
業界のスタンダードにしたい」

リピーターが多いこともあり、1カ月ごとに開放する予約は毎回ほぼ満席に。カウンセリングに時間をかけるぶん施術は素早く行う工夫も凝らし、お客さまの負担軽減と回転率アップを叶えている

現在は長野と東京に2店舗ありますが、今後の店舗展開のご予定は?

店舗を拡大していくことにはまったく興味がなくて。以前は事業を大きくすることがアイラインエクステの発展に必要だと考えたこともありましたが、店舗拡大に失敗した経験もあって…。この技術は誰にでもできる簡単なものではないし、みんなをまとめてサロン展開していくことが私には向いていないことに気づきました。

だから長野店も幼馴染の親友と、私の妹の2人だけに任せています。東京の店舗は社員ではなく業務委託スタッフにしています。「場所は貸すし技術はすべて盗んでもらっていいし、独立したいときはお客さまも連れていって構わない」というスタンスです。

私は自社のスタッフにこだわらず、外部の技術者の皆さんにアイラインエクステを引き継ぎ、広めていきたいと思っています。

簡単に身に付く技術ではないけれど、長野店を任せているお2人にはセンスがあったんですね。

それが2人とも最初はセンスもないし技術もなかなか上達しないし、どうしようかと思ったくらいなんですよ(笑)。けれど、2人とも「お客さまに喜んでもらえると嬉しい」という気持ちが強かったし、常に自分を向上させようと努力を重ねてくれました。そういう想いさえあれば、技術的な部分は、繰り返し学んで練習すれば身に付けることができることを、私は2人から学びました。

いまでは全く宣伝もしていないのに常に3カ月先まで予約が埋まるサロンに成長したのは、2人のおかげなんです。

だからこそ、伊東さんと想いを同じくする方に伝えたいわけですね。そのために先ほどお話に出たセミナーもされていると。

以前から「日本アイラッシュ総研」さんと共にアイラインエクステの普及活動も行ってきて、2019年に立ち上げたアイラインエクステの資格制度の講師も務めています。アイラッシュソムリエという資格が取得できるのですが、受講すればすぐ取れるわけではなくて試験に合格するハードルは高め。それでも意欲の高い方が受講して、認定資格を取得してくださっています。

ここ数年は、アイブロウへの注目度も高まっていますよね。国内だけではなく、シンガポールや台湾といったアジア圏でもセミナー講師をさせていただいています。まつげと眉、両方でお顔をデザインするパーソナルメソッドは大変ありがたいことに、国内・海外ともに好評いただいております。

すでに外部に技術を広める活動を実践されていますが、どうなることが最終目標ですか?

パターン化されたデザインを選ぶメニューではなく、パーソナルなカウンセリングから個々にあったパーソナルデザインをオーダーメイドするアイラインエクステやアイブロウが、業界のスタンダードになることが一番の目標です。

アイ業界に限らないことかもしれませんが、どうしてもはやりに飛びつきがちな部分がありますよね。「これがはやりだ」となったら、そのデザイン一色になってしまう。その技術も講習を受けたらなんとなくできて、どのサロンでも同じようなことをして、だけど一瞬だけ流行して飽きられてしまう。それって結局、業界が疲弊して衰退につながってしまうと思うんです。

お客さまの望みは「自分をよりよくすること」。そのために流行を取り入れるのはいいけれど、新しいことに飛びつくだけではダメだと私は思うんです。継続的に知識を学んで技術を深化させていく、そういう地道な積み重ねがお客さまに喜ばれ、信頼されるサロンになるためには必要だと思います。そのために、お客さまの想いに寄り添う、パーソナルなカウンセリングを含めた技術を広めたいのです。

既製品からオーダーメイドの技術へ、という感じでしょうか。

まさに、その通りです。まつげもアイブロウも、ちょっとしたことでその人の魅力をもっと高めることができて、そのおかげで外に出ることが楽しくなったり、自分を好きになったりと、人を変える力があります。

まだまだそのパワーをお伝えしきれていないので、たくさんのサロン、アイデザイナーのみなさんに広げていきたいと思っています。

アイラインエクステやカウンセリングマニュアルの完成までにかかった年数は、約10年。
『自分に対して足りないと思うことはいっぱいあっても、あきらめようと思ったことは一度もない』そう語った、伊東さん。

そこまで苦労して確立させたメソッドを、
隠すことなく、すべて伝えたいと言います。

『昨日もスタッフから電話がきたんです。“こういう施術をしたら、すごく喜んでもらえたよ!”という報告で。“それは最高に幸せだね!”と言いました』

自分の目にコンプレックスがあった伊東さんだからこそわかる、お客さまの喜び。
たかが、まつげ。されど、まつげ。
その喜びが日本中に、そしてアジアへと広がる日は、近いかもしれません。

サロンに立ち続けるかたわら、セミナー活動にも力を入れている

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